AI半導体メーカーの業績は、現実離れした数値に思えるほどの水準に達している。マイクロンテクノロジーは3カ月間で調整後純利益384億ドル(約6兆600億円)を計上した。ASMLはほぼ50億ユーロを稼ぎ出した。TSMCの四半期利益は69%増の約236億ドル(約3兆7300億円)に達した。
しかし、投資家が好決算を素直に好感することはなかった。マイクロンの株価は決算発表後に下落した。ASMLの当初の上昇は半導体株の売りに押されて消え去った。TSMCの米国ADRも、過去最高水準の四半期業績だったにもかかわらず下落した。筆者にとって、この市場の反応は相次ぐ好決算以上に興味深い。市場は2年間にわたり、AI需要が本物かどうかを問い続けてきた。答えは出た。顧客企業はメモリーや最先端半導体、そしてそれらを製造する露光装置などをこぞって調達している。
議論は次の段階に移っている。投資家はいま、この成功がどれほど株価に織り込まれているか、そして今日の並外れた利益が明日業界が構築するものにどう影響するかを見極めなければならない。87%という高い売上総利益率(粗利益率)は目覚ましい数値だ。しかしそれは同時に、競合他社の参入を促すシグナルでもある。
AIチップ決算が変えた論点
マイクロンは第4四半期の売上高が542億3000万ドル(約8兆5600億円)、調整後1株当たり利益が33.42ドル、粗利益率が87%だったと発表した。今四半期について、経営陣は売上高を約615億ドル(約9兆7100億円)、粗利益率は86%超を維持すると予測している。
筆者は決算発表後、マイクロンの粗利益率こそが市場予想を上回る決算の中に潜む警告だったと書いた。これは需要が消え去ろうとしているという予測ではない。需要は極めて旺盛だ。警告とは、供給不足がいかに膨大な利益を生み出しているかをマイクロン、サムスン、SKハイニックスの3社すべてが認識したときに何が起きるかということだ。競合他社が87%の粗利益率を上げているのを目にして、そのシェアを奪おうとしない企業など存在しない。
高帯域幅メモリー(HBM)の製造は容易ではない。先端プロセッサーとともに製品認証を受ける必要があり、パッケージング能力は逼迫しており、顧客は従来のメモリーサイクルよりも長期的なコミットメントを行っている。これらの違いは重要であり、マイクロンを10年前よりも優れた事業体にしている。しかし、製造における基本的な経済原理が変わるわけではない。十分な資金と時間、そして技術的進歩があれば、供給は必ず増える。
株価が期待外れに終わるために、マイクロンが2023年の壊滅的なメモリー不況に逆戻りする必要はない。粗利益率が75%に低下したとしても、同社は依然として極めて高い収益性を維持できる。しかし、マイクロンが予想する売上高水準では、粗利益率がわずか1%低下するだけで、四半期ベースの売上総利益は6億ドル(約948億円)以上も減少する計算になる。パーセンテージとしては無害に見える低下でも、年間では数十億ドルの利益を失わせる可能性がある。



