働き方

2026.10.19 09:42

人は変われるのか? 就職と定着を支える認知行動療法の可能性

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1980年代初頭、筆者が所属していた地域の職業訓練団体にはアンティークの真鍮製列車のベルがあり、就職が決まるたびにそれを鳴らしていた。しかし、祝福の瞬間であっても、その就業が極めて脆く、多くは数カ月あるいはそれ以上に短期間で失われることを理解していた。

スキルを習得できないことが失職の原因となるケースもあったが、それ以上に頻繁だったのはマインドセットや行動に起因する失職だ。絶望感や怒り、不安が混ざり合ったマインドセットはモチベーションを奪い、無断欠勤や同僚・上司との衝突を引き起こした。45年が経過した現在でも、長期生活保護受給者、服役経験者、不登校・未就労の若者、依存症などからの回復期にある人々といった就労支援システムが対象とする人々において、離職の最も一般的な原因はスキルの不足ではなく行動面にある。

ジョー・バンクマンはスタンフォード大学法科大学院の教授であり、実務に携わる心理学者でもある。過去2年間、彼は「ハイリスク」の若者、服役経験者、生活保護受給者らを対象に行動介入をテストしている職業訓練団体と交流を重ねてきた。これらの介入の中心となるのが、対象者の就職と定着の目標に合わせてカスタマイズされた認知行動療法(CBT)のアプローチだ。

バンクマンが指摘するように、CBTによる介入のいずれも特効薬ではなく、長期的な雇用への影響はまだ見極める必要がある。しかし、ロカ(Roca)、フォーチュン・ソサエティ(Fortune Society)、READIシカゴ、Center for Employment Opportunitiesなどの団体による取り組みでは、逮捕率、再犯率、公的扶助の受給率の低下が報告されている。これらは現実的で常識的なアプローチであり、低コストで拡張性も高い。

さらに、社会の周縁にいる若者や成人を対象とした優れた行動介入のすべてがそうであるように、CBTによる介入は自信、個人の責任感、そして主体性を育むことを目的としている。参加者に対し、被害者意識や諦めを拒むよう促すのだ。

アプレンティスシップス・フォー・アメリカ(Apprenticeships for America)のディレクターを務めるジョン・コルボーンと筆者は先日、バンクマンと会談した。彼はこれらのCBT介入に見出す可能性について語ってくれた。

ロカ:ハイリスク若年層と「Rewire CBT」

CBTの根幹は、思考、感情、行動が相互に関連していることを求職者に理解させるためのツールであることだ。役に立たない思考パターンや感情を認識して変えることで、行動面での反応を切り替え、職場での成功率を高めることができる。過去を長く掘り下げる一部の心理療法とは異なり、CBTは現在の課題と具体的な目標に焦点を当てる。

バンクマンが最近訪問した団体のひとつが、16〜24歳の「ハイリスクの若者」に特化したロカだ。参加者の大半は、司法手続きの対象となった経験や路上での暴力に関わった過去を持つ。38年前にボストンで設立されたロカは、現在ボストンとボルティモアで活動を展開している。

「午前5時45分、私はロカが運営する職業訓練の現場にいる」と、バンクマンはボルティモアのロカを最近訪問した際の記録に記している。「私は、これから市の請負業務としてごみ拾いに向かう十数人の若者と半円になって座っている。職業訓練のディレクターは、彼らを『最もタフな中の最もタフな者たち』と表現し、こう付け加えた。『彼らは撃つ側にも撃たれる側にもなる者たちだ。問題は、彼らに仕事ができないことではなく、職を得られない、あるいは長続きしないことなのだ』」

ロカの雇用戦略は、就労経験、数年にわたる個別カウンセリング、就労に関連したCBTを組み合わせた3年間のプログラムだ。まずはユースワーカーが地域の街頭に出て参加者を勧誘する「執拗なアウトリーチ」から始まる。参加者が登録されると、不参加や業務の不履行があった場合にはユースワーカーが即座にフォローアップを行う。ロカの就労体験プログラム(移行的雇用)では、公共機関の保守・清掃プロジェクトにおいてロカの指導員が監督するチームを活用し、職場での適切な行動様式を身につけることを主な目的としている。

ロカは「Rewire CBT」と名付けられた独自のCBTアプローチをマサチューセッツ総合病院と共同開発し、日々の就労体験の中に組み込んでいる。現場の指導員やユースワーカーは、参加者に対して思考、感情、行動の関連性を意識するよう促す。参加者は、特定の状況によって引き起こされるネガティブな思考を特定し、感情的・身体的な反応を自覚したうえで、その反応とそれ以降の行動との間に一拍置く練習をする。

例として、参加者の指導員が「また遅刻だ。この仕事を真剣に受け止めていない」と言ったとする。軽視されたと感じるとすぐ反応することに慣れている人の場合、流れは(i)怒り(「彼は自分をばかにしている」)、(ii)指導員に悪態をつく、(iii)仕事を放棄する、または解雇される、となり得る。ロカのCBT介入は、この流れを配線し直そうとする。(i)引き金を認識する、(ii)思考と身体的反応を特定する、(iii)一拍置いて結果を考える、(iv)別の反応を選ぶ、という流れである。

「ネガティブな感情や思考を認識し、反応する前に一呼吸置くことの重要性は、勤務時間を通じて実践される」とバンクマンは説明する。「一日の始まりには、リーダーが『今の気分はどうだ?』と尋ねる。落ち込んでいる、あるいは怒っていると答えた参加者はグループから共感を得た後、状況を言い換える(リフレイムする)方法はないか、改善するために取れる行動はないかを尋ねられる。その構造は明確に非階層的だ」

午前中の後半、作業チームが休憩を取っているとき、バンクマンはグループに話すよう求められた。

「午前9時30分。私はイースト・ボルティモアの公園にいる。先ほどロカで半円になって座っていた若者たちは、ごみ拾いをしている。私はCBTの訓練を受けた心理学者として紹介され、話す機会を与えられた。『ときどき、これに疑問を持つこともあるはずだ』と私は言った。『早起きして、寒い中で働かなければならない。なぜこれをするのか』。答えはすぐ返ってきた。『やり続けるんだ』と1人が言う。『自分は撃たれたことがある。自分の命を大切にするためにこれをしている』と別の1人が言う。3人目は『価値観に基づいて行動するんだ』と付け加えた」

バンクマンは、勤務時間を通じたCBTの実践と、その日の終わりの観察をこう記している。

「彼らの回答と、それがCBTの目標をいかに反映しているかに深い感銘を受けた。私自身も同様のプロトコルを使用しているが、私のクライアントがロカのチームほどの理解を示す回答ができるかどうかはわからない。また、彼らが価値観を非常に重視していることにも強く印象づけられた」

フォーチュン・ソサエティ:司法関与者と「Thinking for a Change」

バンクマンはニューヨーク州クイーンズに拠点を置くフォーチュン・ソサエティも訪問した。同団体は司法手続きを経験した人々の支援を行う全米最大級の支援機関であり、各区にオフィスを構えている。住居施設の運営をはじめ、教育、行動保健、個別およびグループカウンセリングなど多岐にわたる事業を展開しているが、支援アプローチの中心にあるのは雇用だ。

フォーチュン・ソサエティのCBTアプローチはロカのものとは異なる。出所直後の人々を対象とした3週間のワークショップを中心に構成されている。ワークショップは毎朝9時から午後3時まで開催され、その前後の時間に個別カウンセリングやケースマネジメントが行われる。シンシナティ大学矯正研究所とフォーチュン・ソサエティが共同開発したCBTカリキュラムは、思考と行動のつながりを理解させ、リスク要因を特定して管理し、職場での成功に必要な行動様式を養うという、ロカと類似した就労準備の目標を掲げている。

フォーチュン・ソサエティのCBTに関するメモの中で、バンクマンは次のように振り返っている。「グループディスカッションとワークブック演習を組み合わせたこのCBTカリキュラムは、時間をかけて洗練された非常に緻密なものだと感じる。参加者はワークブックに自身の感情と思考、そしてそれらが行動とどのように結びついているかを記入していく」

フォーチュン・ソサエティは、調査機関MDRCが数年前に評価した、CBTを試す複数の就労プログラムの1つだった。MDRCの研究者は、これらのプログラムの参加者と、最近収監から解放された人々からなる対照群を比較した。全体として、少なくとも短期的な雇用、所得、再犯において、差は統計的に有意ではなかった。しかし、フォーチュン・ソサエティは例外だった。同プログラムの参加者は対照群と比較して、再犯率の大幅な低下を示したのだ。

研究者らにとって、この結果は就労支援サービスに単にCBTカリキュラムを追加するだけでは成果が上がらないことを示唆していた。CBTカリキュラムの質と実施のあり方が重要であり、フォーチュン・ソサエティの成果は、同団体がCBTにいかに真剣に取り組んでいるかを反映している。

人は本当に変われるのか?

人は本当に変われるのだろうか。

「ロカの若者やフォーチュン・ソサエティの大人たちが、運営側が聞きたがっている言葉をただ口にしているだけだと考える人が多いことは承知している」とバンクマンは認める。「しかし私の経験上、信じてもいないことを人に言わせるのは決して容易ではない。自らの言葉を使って健全な形で捉え直させることができれば、それは行動目標を強化することにつながる。人間は、自分が発した言葉を自ら耳にすることで、それをより強く信じるようになるのだ」

バンクマンはさらにこう付け加える。「職業訓練プログラムには、長期にわたってCBTを実施するための設備や資金がない。しかし、就労支援分野以外のCBT成功事例から知見を得た短期間のCBT戦略であっても、参加者が仕事を見つけ、それを維持する能力を向上させられると考える理由は十分にある」

職業訓練の分野で35年の経験を持つ同僚のジョン・コルボーンと筆者はここ数年間、行動科学や神経科学の最新の進歩を社会の周縁にいる労働者の支援にいかに取り入れられるかを追究してきた。過去20年間で、神経科学は行動の神経学的要因に関するさまざまな洞察をもたらしてきた。私たちは、これらの洞察を訓練プログラムに応用できると信じるに至った。

「人々を仕事につなげる業務に携わったことのある人なら誰でも、自己破壊的な行動が、最高の技術スキルを持つ人さえも損なう様子を見てきた」とジョンは記している。「世界最高のスキル訓練をもってしても、タイミングの悪い上司への激しい反発を克服することはできない。だが、かつてジョブコーチを途方に暮れさせていたこうしたネガティブな行動に対し、いまでは求職者の行動パターンを組み替えるための実質的なツールがある」

さらにジョンはこう説明する。「CBTが登場しているのは、労働力開発分野が、こうした足を引っ張る行動がしばしばクライアントのより広範な過去の経験に根ざしていることを理解するようになったからでもある。もはやネガティブな行動を、文化やロールモデルの問題として片づけることはできない。行動の神経学的基盤を理解することで、それに対処する新たなツールが得られるのだ」

(forbes.com 原文)

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