企業のIT担当者は、システムが発する大量の警告を確認し、障害の原因を調べ、必要な修復作業を繰り返している。警告が多すぎると重要な異常を見落とし、システム停止につながることもある。企業のネットワークやサーバーの監視、障害対応を支援するソフトウェアを手がける米国のソーラーウィンズ(SolarWinds)は、人間に代わって状況を判断し、作業を実行する「AIエージェント」を活用し、IT運用の自動化を進めている。
同社では、わずか4人で始まった社内チームが、AIを活用して約2週間でエージェントの試作版を開発した。ソーラーウィンズによると、AIエージェントによる開発成果は、社内の人間のエンジニアチームの5倍に達した。さらに2026年10月14日には、IT機器の点検や障害の修復を自動化する「Avior」を発表した。AIの活用範囲は、プログラムの作成から検査、ITシステムの運用へと広がっている。開発の効率化と人間の作業負担の軽減が期待される反面、AIにどこまで仕事を任せ、暴走をどう防ぐかという課題も浮かび上がっている。
ソーラーウィンズの「Avior」、IT機器の監視から修復まで自動化
ソーラーウィンズが米国時間2026年10月14日に発表した「Avior」は、企業のIT環境で起きる問題の修復を自動化するAIエージェントシステムだ。AIエージェントに達成すべき目標や結果を設定し、IT担当者が役割の異なる複数のエージェントを連携させて作業できるように設計されている。
Aviorが担うのは、関連するアラート(システムが発する警告)を照合して問題を調べる作業や、IT機器の継続的な点検だ。システムの設定が意図した状態からずれる「構成ドリフト」の修復、設定情報のバックアップ、処理能力の監視、IT資産の導入から廃棄までの管理にも対応する。
4人で始まった開発チーム、約2週間で試作版を構築
ソーラーウィンズのソフトウェアエンジニアリング担当副社長、ピーター・チョイによると、Area 51は米国内各地にいる4人のエンジニアで始まった。ZoomやTeamsで通話しながら開発を進め、チームは約25人に拡大した。顧客のIT担当者が日常的に繰り返す単調な作業を減らすため、運用上の問題を自動修復する仕組みを目指した。
AIを使ってプログラムを作成するコーディングツールを活用した結果、エージェントの試作版は約2週間で開発できた。開発からわずか2カ月以内に、試験利用する顧客約12社から利用希望が寄せられた。ソーラーウィンズの取り組みは、AIエージェントが企業のソフトウェア開発とIT運用の両方を変えつつあることを示している。



