製品

2026.10.18 09:00

iPhone 18 Proの搭載チップ「A20 Pro」で探る、競合との差を生むアップルの強み

HAYAVISTA - stock.adobe.com

HAYAVISTA - stock.adobe.com

iPhone 18 Proが発売され、搭載チップ「A20 Pro」によってアップルの半導体戦略がかつてないほど鮮明になった。今回の製品発表で最も重要なのは、個々の新機能よりもA20 Proそのものだと考える。

(開示事項:ティム・バジャリンが設立したクリエイティブ・ストラテジーズの調査は、世界各国の数多くのテクノロジー企業が購読している。購読企業にはアップル、インテル、AMD、クアルコムも含まれる。)

A20 Proのシングルコア性能はPC向け高性能チップを上回る

まず、純粋な処理性能を見てみよう。Geekbench 7の測定結果では、A20 Proはシングルコア性能でインテル、AMD、クアルコムの最上位PC向けチップを上回った。シングルコア性能は、CPUを構成する処理コア1つの能力を示す。A20 Proは、クアルコムやMediaTekが開発した高性能Androidスマートフォン向けチップにも先行している。アプリの起動、ウェブ閲覧、メッセージの送受信、写真編集など、日常的な操作の多くがシングルコア性能に左右される。

なぜA18 Proは低価格Macでも競争力を保てるのか

アップルの旧世代チップも十分に通用する。2024年に設計されたA18 Proは、599ドルの「MacBook Neo」に搭載されている。

(※日本でのMacBook Neoの価格は11万9800円から)

アップルは、かつて最上位スマートフォンで使ったチップを低価格のMacに採用しても、競争力を維持できる。旧世代でも競争力を保てる点は、アップルが半導体開発で大きく先行していることを物語る。同社はハードウェアとソフトウェアをともに管理し、消費電力を抑えながら高い性能を発揮するよう両方を調整できる。複数の供給企業や提携先に依存する競合にとって、同じ手法を再現するのは難しい。

バッテリー駆動時間・画質・機密データ保護を支える専用回路

ただし、ここまで取り上げたシングルコア性能の測定結果は、CPUの能力を示すにすぎない。スマートフォン向けのシステムオンチップ(SoC)は、CPUだけでなく、画像処理を担うGPUや各種の専用回路も1つのチップに組み込んでいる。CPU以外の回路にも、アップルが製品で重視する要素が表れている。

例えば、バッテリー駆動時間だ。アップルは製品仕様で動画の再生時間を示し、iPhone 18 Proでは最大36時間としている。長時間の動画再生を可能にする要因には、A20 Proに搭載された動画の復号専用回路がある。圧縮された動画データを再生できる形に戻す処理を、CPUやGPUに任せる場合よりも少ない電力で実行できる。GPUはハードウェアによるレイトレーシングに対応しており、ゲーム内の光や反射をよりリアルに表現できる。画像信号プロセッサーは写真の画質を高める。

Secure Enclaveは、チップ内の他の部分から隔離された領域だ。暗号鍵や顔認証機能「Face ID」に関する情報など、機密性の高いデータを保持する。暗号処理を高速化する専用回路も備えている。各回路に割り当てられた役割には、アップルが利用者にとって何を重要だと考えているかが表れている。

次ページ > アップルはAIをどこで処理し、利用者のプライバシーをどう守るか

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事