多くのリーダーシップ文化は、バーンアウト(燃え尽き)を単に容認するだけでなく、それを評価し、報いている。そして、組織で昇進するリーダーとは、周りについていくために最も多くの犠牲を払っている人びとであることが少なくない。
医療、法務、オペレーション、起業といった高負荷の分野では、体調不良を押して働き、私生活の大切な節目を逃し、常に連絡が取れる状態でいることが、献身度を測る暗黙の基準になり得る。
ファイナンスの現場では、業務の多くが締め切り主導で周期的に繰り返されるため、燃え尽きから抜け出すのが特に難しい。月次決算は四半期決算に、四半期決算は年次決算へと続き、その後も監査、予算、予測、取締役会、そして次に発生する想定外の問題が待っている。ファイナンスリーダーは、組織内の他部門が答えを持たないときにも答えを出すことを期待される。皮肉なことに、信頼されるほど、常に連絡が取れることが例外ではなく当然とみなされやすくなる。やがて、「いつでも、もう一つ対応できる人」であることこそが、自身を燃え尽きさせる原因になり得るのだ。
世界保健機関(WHO)によると、バーンアウトは「うまく管理されなかった慢性的な職場ストレスに起因する」職業上の現象と定義されている。それにもかかわらず、私たちはその原因となる行動の多くを評価し続けている。
それは持続可能なリーダーシップとは言えない。
女性リーダーが背負う「見えない負担」
多くの女性リーダーにとって、仕事は背負っている負担の一部にすぎない。役員や事業主であると同時に、妻であり、母であり、娘であり、姉妹であり、叔母であり、介護者であり、メンターであり、そして情緒的な支柱でもある。
財務リーダーは、裏で家族の責任を果たしながら、重要なレポートを締め切っているかもしれない。医師は一日中患者の診療にあたり、帰宅後は家族全員の世話をしているかもしれない。法務やオペレーションの幹部は、一日中チームを率いながら、就業時間を過ぎても終わらない責任を背負い続けているかもしれない。事業主の場合、ビジネスに退勤時間など存在しないに等しいため、その境界線はさらに曖昧になる。
そして、さらに別の重荷も重なる。
女性リーダーは、自分がその立場にふさわしいことを証明するために、過度な準備をし、限界を超えて働かなければならないというプレッシャーを感じることがある。休暇を取る前には、留守中に一切の不都合が生じないよう入念な引き継ぎ計画を作成する者もいる。遅くまで残業し、自身の役職レベルに見合わないような業務まで引き受ける。経営陣の一員として会議に出席していながら、なぜか議事録をとる役目を期待されてしまうことすらあるのだ。
個々の行動は小さく見えるかもしれないが、それらが積み重なることで、「誰の戦略的貢献が正当に評価され、誰の労働が単なる当然のことと見なされているか」というメッセージを発することになる。
やがて、無理を重ねることが「存在感を示すための代償」になってしまう。だが、本来そうあるべきではない。
バーンアウトは「献身」の証明ではない
私がこのパターンを理解しているのは、自ら経験してきたからだ。CFOとしてのキャリアの初期、私は過剰労働を誇りの勲章のように感じていた。深夜まで働き、子供の学校行事に参加できず、犠牲を払うことこそが自分の価値を証明すると信じていた。だが最終的に、自分が上の世代から見てきた行動パターンを繰り返しているにすぎないと気づいたのだ。
私はそれを変えることを決意した。
現在、私は意識的に生活の中に「一時停止」の時間を設けている。仕事から離れ、家族との絆を取り戻し、心身をリフレッシュする時間だ。持続可能性のないリーダーシップは成功とは言えないことを、私は学んだ。
バーンアウトはコミットメントの証明ではない。時には、何かを変えなければならないという証拠なのだ。
そして、すべてのバーンアウトが業務量に起因するわけではない。職場環境そのものが問題である場合もある。
高い業績評価を得て、期待に応えているリーダーであっても、ブレる評価基準、不十分なサポート、不当な排除、あるいは「あなたはここにそぐわない」と暗に示し続ける組織文化に苦しむことがある。
人事部や上級幹部、取締役会がいずれ状況を改善してくれると信じたくなるものだ。しかし、彼らの役割や責任は、個々のリーダーの日常的な業務体験を守ることと必ずしも一致するわけではない。
ある時点で、粘り強さが消耗に変わったことを認識しなければならない。有害で不健全な環境から撤退するタイミングを知ることは、リーダーとして下せる最も力強い決断の1つである。
「自分は不可欠だ」という錯覚の真実
リーダーが覚えておくべき、もう1つの不都合な真実がある。
明日あなたが働けなくなったとしても、組織は回り続ける。誰かが会議を代行し、意思決定はなされ、あなたのポジションはいずれ誰かで埋められる。もしあなたが事業主なら、事業は適応するか、あるいはあなたにどれほど依存していたかが露呈するかのどちらかだ。
これは、あなたの貢献が重要ではないという意味ではない。組織とは存続するように作られているということだ。危険なのは、決してあなたのために立ち止まってはくれない役割のために、自身の健康や人間関係を犠牲にすることである。
バーンアウトの悪循環を断ち切る7つの方法
財務リーダーは、資金(キャピタル)に適用するのと同じ規律をキャパシティ(余力)にも適用することで、バーンアウト文化を変える手助けができる。財務上の準備金ゼロで事業を運営するような真似はしないはずなのに、自分自身やチームに対しては余力ゼロで稼働させてしまうことがある。状況を変えるための7つの方法を紹介する。
1. 休息を文化の一部にする:メンバーが実際に休暇を取得するよう促し、休暇中は仕事から完全に切断(オフラインに)できるようにする。
2. 疲弊ではなく「成果」を評価する:長時間労働や「いつでも連絡がつくこと」をリーダーシップの有効性の指標にしてはならない。深夜までオンラインでいるかではなく、仕事の質と影響力に基づいて評価する。
3. 「個人の生活」があることを当たり前にする:通院、子供の学校行事、家族のケアといった事情によって、仕事上の罪悪感を抱かせるようなことがあってはならない。
4. 冗長性(バックアップ体制)を構築する:クロストレーニング(多能工化)、権限移譲、後継者計画は、組織と人間の双方を守る。創業者は、自身が常に現場にいなくても機能するビジネスを構築すべきだ。
5. トップが自ら境界線のお手本を示す:CFOをはじめとするリーダーは、チームに実践させたい行動のモデルとならなければならない。休暇を取るよう言いながら、休暇中の相手にメールを送り続けたり、自分自身が一切オフラインにならなかったりすれば、言葉にしなくとも「本音の期待」を伝えてしまっていることになる。従業員は制度や規律の文言以上に、リーダーの行動を見ている。役員が一度も仕事から離れなければ、他のメンバーも離れてはいけないのだと学習してしまう。
6. 女性に「過度な価値証明」を求めるのをやめる:100%の承認を得るために、女性が200%の成果を出す必要があってはならない。また女性リーダー自身も、自分がその場にふさわしいと証明するためだけに限界を超えて働きすぎる習慣を見直す必要がある。質の高い仕事で十分なのだ。過剰労働が存在感を示すための代償であってはならない。
7. 立ち去るべき時を知る:不健全な環境のすべてが、レジリエンスや時間管理、境界線の引き方の見直しによって改善できるわけではない。自分自身を守るためには、時にはその場を去ることが必要だ。
多くの人が目を背けるリーダーシップの真実
私たちは「強さ」の定義を見直す必要があるのかもしれない。
強さとは、枯渇した状態でいかに長く動き続けられるかではない。リーダーシップとは、自分をどれだけ犠牲にできるかではないのだ。
あなたの仕事は重要だ。あなたのリーダーシップも重要だ。しかし、それら双方を支えているのは、あなた自身の身体的、精神的、感情的なウェルビーイング(心身の健康と幸福)に他ならない。
なぜなら、成功を維持するために自己犠牲を払い続けなければならないのであれば、それは持続可能ではないからだ。そしてそれこそが、次世代のリーダーたちに引き継いではならない基準なのである。



