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『さるかに合戦』のサルは本当に悪者か?〜あの物語を「デカボ視点」で読んでみた #4

「脱炭素」について、暮らしや仕事との具体的な接点を見つけ、「自分の問題」だと感じられている人は、果たしてどれだけいるでしょうか——。

そんな「脱炭素(Decarbonization)」を「デカボ」と呼び、楽しく自分ごと化してもらうための事業を推進する企業「Earth hacks」の代表取締役社長CEO・関根澄人が、身近な出来事やトレンド、誰もが知る物語などを通し、世の中をデカボ視点で読み替えていく連載。第4回は、民話『さるかに合戦』を取り上げます。

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「おにぎりは食べたらそれでおしまい。でも柿の種は、植えれば毎年実がなるよ」——カニにこう持ちかけたのは、サルでした。目先の1個より、毎年実をつける1本を持っておけ。どこかの経済メディアに載っていてもおかしくない理屈です。

柿が色づくこの季節、デカボ視点で柿の木をのぞいてみると、昔から悪役と決まっていたサルの、少し違った顔が見えてきます。

あなたはどっちの立場?『さるかに合戦』に見る脱炭素の縮図

まずは、『さるかに合戦』のあらすじをおさらいしましょう。

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昔々、母ガニが拾ったおにぎりを持って歩いていると、柿の種を拾ったサルが通りかかりました。母ガニは前述のサルの口上に乗り、おにぎりと柿の種を交換することに。母ガニは家に帰って種を植え、毎日世話をしました。

やがて柿は成長し、木にたくさんの実をつけました。けれど木に登れない母ガニは、サルに実をとってきてもらうことに。すると、サルは熟した実を自分だけ食べ、母ガニが文句を言うと、木の上から青く硬い柿を投げつけたのです。母ガニはそれに当たり、死んでしまいました。

残された子ガニたちは母の仇を討つため、栗、蜂、牛の糞、臼を仲間にし、サルの家で待ち伏せしました。サルが帰宅して火にあたると、囲炉裏に隠れていた栗が弾けて飛び出し、サルに火傷を負わせます。サルがそれを冷やそうと水かめに近づくと、蜂が飛び出して刺します。そして、家から逃げ出そうとしたサルは、敷居にある牛の糞で足をすべらせ、そこへ屋根の上で待ち構えていた臼が落ちてきてサルを押しつぶし、懲らしめました——おしまい。

このお話から私たちが受け取っていたのは、「ずるをすれば報いを受ける」「弱い者も力を合わせれば強い者に勝てる」といった教訓だったのではないでしょうか。サルが悪でカニが善。疑ったことのある人は、少ないはずです。

では、この物語をいまの脱炭素の世界に置き換えてみます。カニは、生活者や中小企業。サルは、資金も情報ももつ大企業。柿の木は、実を結ぶまでに時間がかかる脱炭素の取り組みです。ただし後述するように、この配役は場面によって入れ替わります。

おにぎりではなく「柿の種」を選ばせる仕組み

まず着目したいのは、カニの選択です。おにぎりなら今すぐお腹がふくれます。柿は「桃栗三年柿八年」と言われ、実をつけるまで何年もかかる。それでもカニは柿の種を選びました。これは目先の安さや美味しさ、すぐ手に入る便利さを優先するのではなく、少し未来を見据えて「高いけれど長く使えて地球への負担も軽いもの」を選んだようなものです。

そうした選び方をするのは、「まだ一部の意識の高い人だけ」だと思われがちです。けれど私たちの選択は、周囲の人々がどちらへ動いているか(動的規範)に、思いのほか左右されるものです。それを示したのが、米スタンフォード大学の心理学者グレッグ・スパークマンとグレゴリー・ウォルトンが2017年に発表した研究論文に収められた、学内のカフェでの実験結果です。

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文=関根澄人

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「デカボ」で変わる世界の見え方」

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