インドの富豪ムケシュ・アンバニが率いる複合企業リライアンス・インダストリーズの傘下で、通信事業を手がけるジオ・プラットフォームズが、IPO(新規株式公開)で最大3020億ルピー(約5013億円)を調達しようとしている。インド史上最大のIPOになる可能性がある。これまでの最大は、現代自動車のインド法人ヒュンダイ・モーター・インディアが2024年10月のIPOで調達した約2787億ルピー(約4626億円)で、今回の調達額はルピー建てでこれを上回る。
ジオの評価額は約17兆円、時価総額でインド4位に浮上へ
リライアンス・インダストリーズが現地時間10月14日の夜遅くに証券取引所へ提出した届出によると、ジオ・プラットフォームズは今回のIPOの価格帯(投資家が購入を申し込める価格の範囲)を1株あたり1065〜1119ルピー(約1768〜1858円)とし、新株を最大2億7000万株発行する。アンカー投資家(一般向けの募集に先立って株式の割り当てを受ける機関投資家)は、現地時間10月19日から申し込みを始められる見通しだ。個人投資家向けの募集はそのあと、10月21日に始まり、23日に締め切られる。
価格帯の上限で計算すると、ジオ・プラットフォームズの評価額は10兆3000億ルピー(約17兆1000億円)になる。この評価額なら、同社は時価総額でインド第4位の企業になる。上位3社は、親会社のリライアンス・インダストリーズ、通信大手のバーティ・エアテル、民間銀行最大手のHDFC銀行である。メタ・プラットフォームズ(当時はフェイスブック)が同社に57億ドル(約9006億円)を出資し、グーグルもさらに45億ドル(約7110億円)の出資を約束した2020年には、同社の評価額は4兆9000億ルピー(約8兆1300億円)だった。今回の評価額は、その2倍にあたる。
約4565億円を債務の返済に充てる計画
ジオ・プラットフォームズの経営を率いるのは、アンバニ家の家長ムケシュの長男で、マネージングディレクター(経営の実務を統括する役職)を務めるアカシュ・アンバニである。目論見書によると、同社はIPOで調達する資金のうち約2750億ルピー(約4565億円)を、債務の返済に充てる計画だ。
リライアンスの会長であるムケシュ・アンバニは、2025年8月の年次株主総会で、ジオ・プラットフォームズが2026年6月までに上場する可能性があると述べていた。だが、地政学的な緊張のなかで、計画は先送りされた。公開価格などが決まる前の目論見書である、ジオ・プラットフォームズの「仮目論見書」(red herring prospectus)によると、IPO前の持ち株比率は、リライアンスが66.4%、メタが10%、グーグルが8%である。
加入者5億3300万人超のジオ、2026年3月期の純利益は15%増益
ジオ・プラットフォームズは、2026年6月時点で5億3300万人を超える契約者を抱える、インド最大の携帯電話事業者である。2026年3月31日に終わった会計年度の売上高は、前年度比14.6%増の1兆5000億ルピー(約2兆4900億円)、純利益は15%増の3000億ルピー(約4980億円)だった。
同社は2016年にサービスを始めた際、音声通話を無料にし、データ通信も格安で提供して、インドの通信業界を一変させた。その後もデジタル分野で事業を広げてきた同社は、今後7年間で1100億ドル(約17兆3800億円)を投じ、データセンターとAIの新たな取り組みを進める計画だ。
ムケシュ・アンバニは資産約13兆円、インド有数の富豪
フォーブスがリアルタイムで推計しているアンバニの純資産は833億ドル(約13兆1600億円)で、同氏はインドで最も裕福な人物の一人である。アンバニが会長を務めるリライアンス・インダストリーズは、エネルギー、石油化学、通信、小売、メディア、金融サービスの各分野で事業を展開している。



