米国政府が新たな通商法301条調査を開始してから、2026年10月で1年が経つ。この調査は、知的財産権の保護や技術の強制移転に関するコミットメントをはじめ、2020年の「第1段階」米中貿易合意で中国が交わした約束を守っているかを検証するものだ。知的財産を巡る争いが関税を巡るより大きな話題の陰で薄れたと感じていた人々にとって、これはその問題が消え去ったわけではなく、ただ形を変えたに過ぎないことを思い出させるものだ。
この変化を明快に捉えた表現の1つが、シンガポールの元外相から発せられた。2024年6月にニューヨークのアジア・ソサエティで、ジョージ・ヨーは、米国が合意違反とみなす中国の行動に対して「米国はどう対処すべきか」と尋ねられた。彼は1990年代のエピソードを引き合いに出して答えた。シンガポールの情報・芸術相を務めていた当時、彼はディズニーに対し、中国の海賊版業者は実質的に同社の将来の市場を開拓しているのだと伝えたという。今日、ディズニーは中国で正規のロイヤルティを全額回収していると同氏は指摘し、知的財産は「自然と解決する問題だ」と結論づけた。
その5年前の2019年3月、『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』のインタビューで、ヨーはファーウェイ(華為技術)について関連する主張を行っていた。5Gネットワークが国家を外国の諜報活動にさらすという懸念は妥当だが、特定のサプライヤー1社を排除してもその脆弱性は解消されない、というものだ。これら二つの発言は一体をなしている。米国政府がしばしば混同する議論を、的確に分離しているからだ。
一つ目の点について、データは現在、彼の見方を裏付けている。中国の出願人は2024年に世界全体で約180万件の特許を出願したのに対し、米国からの出願は約50万2000件にとどまった。世界知的所有権機関(WIPO)の特許協力条約(PCT)に基づく国際出願制度においても、2025年に中国は7万3718件(5.3%増)を記録し、米国の5万2617件(3.0%減)を引き離して再び首位に立った。ファーウェイは9年連続でPCT出願件数首位の企業となっている。自国企業がバッテリーや通信機器、AIシステムを海外で販売している国にとって、模倣によって失うものは極めて大きい。ただし注意すべき点がある。特許出願は権利化された法的強制力を持つ特許とは異なり、また件数の多さが必ずしも価値の高さを意味するわけではない。



