リーダーシップ

2026.10.15 10:36

スタミナ経営からの脱却──リーダーシップの仕組み化と「手放す技術」

Adobe Stock

Adobe Stock

多くの創業者と同じく、私も事業の運営においてリーダーシップの仕組みではなく、自らのスタミナに頼っていた。自分がハードに働けば働くほど、私の法律事務所の業績は上がった。事務所の成功のあらゆる側面が、私の直接的な関与にかかっていた。私はこの道のりにおけるヒーローであり、少なくとも一時期はその役割を楽しんでいた。

しかし事務所が成長するにつれ、自分がどんどん手薄になっていくのを感じた。苦労して築いた土台にひびが入り始めていることにも気づいた。結局のところ、ヒーローモデルでビジネスを運営することは、長期的な成長とは両立しないのだ。

その時、私はハッとした。事業を拡大(スケール)させるには、規模に応じたリーダーシップの仕組みを構築する必要があるのだと。そのためには新しい習慣が求められる。しかし、何から始めればよいのか。オーナー経営者は、すべての制御(コントロール)を自ら握る状態から、信頼を生み出すリーダーシップの仕組みを確立する状態へと、どのように移行すればよいのだろうか。

リーダーシップの仕組みを試す

自分自身でやるべきタスクと、人に任せられるタスクを見極める現実的なテストが必要だった。私はそれを解き明かすのに多くの時間を費やし、著書『Built to Run: Designing a Business That Thrives Without You』(自分がいなくても繁栄するビジネスの設計法)で、その試行錯誤を4つの簡単なエクササイズにまとめた。どこで線を引くべきか悩んでいるなら、ぜひ試してみてほしい。

  1. 日々の引き継ぎ(デイリー・ハンドオフ):普段自分一人でこなしている日課のタスクを1つ選び、他の人に引き継ぐ。詳細な指示を出してもよいが、進行状況の確認は一切行わない。一日の終わりに、何がうまくいき、何が修正を要するかを評価する。
  2. 「なぜ自分がこれをやっているのか」の監査:1週間、新しいタスクを始めるたびに記録する。週末にそのリストを見返し、なぜ自分がそのタスクを行わなければならないと思うのかを自問する。「自分が一番早いから」「周りから期待されているから」「他人に任せるのが不安だから」という理由であれば、そのタスクに丸をつける。そして毎週、そうしたタスクの1つを引き継いでくれる人を見つける。
  3. 10分間の振り返り(デブリーフィング):一日の終わりに10分を取り、2つの短いリストを作成する。1つ目は、無駄に繰り返す羽目になったタスクのリスト。2つ目は、完全な指示を出していれば他の人がこなせたはずのタスクのリストだ。そこから得られる知見は、時間の節約と会社全体の効率化をもたらすだけでなく、業務マニュアルの初稿にもなる。
  4. 「サイレント・サタデー」テスト:ある土曜日を選び、会社のあらゆる連絡から完全に離れる。信じてほしいのだが、緊急事態が発生すればチームは必ず連絡してくる。月曜日の朝にログインして、何が起こったかを確認する。問題が浮き彫りになったのであれば、それは設計を見直す機会を特定できたということだ。あなたがいなくても順調に進んだすべての出来事は、自らの仕組み(システム)が機能している証拠となる。

これらのエクササイズにより、個人のヒーロー的活躍ではなく仕組みに頼るリーダーシップ構造を設計する作業を、どこから始めればよいかが明確になる。そしてそれこそが、事業拡大(スケール)に対応するリーダーシップの鍵なのだ。

(forbes.com 原文)

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事