経営・戦略

2026.10.15 09:43

すべてのCEOが同じAIを買える時代、模倣できないのは「組織設計」だ

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すべてのCEOが同じAIを買える時代、模倣できないのは「組織設計」だ

過去2年間、筆者は数多くの取締役会に出席してきたが、そこでのAIに関する議論は根本的には「調達」の議論であった。そうした場で特に強く印象に残ったのは、出される答えがいかに似通っているかということだ。直接競合する企業同士のテーブルの上に、全く同じモデル、プラットフォーム、そしてますます共通化するユースケースが並んでいた。本来なら「競合他社が四半期末までに全く同じ条件で購入できるなら、なぜそれが競争優位を生むのか」という当然の疑問が湧くはずだが、それを問う者はほぼ皆無だった。

世界各国の取締役会でこれを目の当たりにしてきた筆者の見解では、持続的な優位性は今や組織アーキテクチャに宿っている。企業向けAIトランスフォーメーションを手がけてきた経験から言えば、実際にリターンを得ている組織は、優れたモデルを持っているのではなく、AIを中心に業務を再設計しているのだ。

そこで必ず問われるのが、CEOがキャリアを賭けて築いてきた機能部門は、この変革が終わったときにもまだ存在するのか、という問いである。筆者がこれまで明確に示されていないと感じるのは、その答えに至る「順序」だ。順序こそが本質である。なぜなら、アーキテクチャとは改善策のリストではないからだ。それは3つの層からなり、順序通りに積み上げてこそ機能する。まず業務の流れを再設計し、次に意思決定の権限を移し、最後に「良い成果」の定義を変える。これを別の順序で進める企業は多いが、巨額の投資をしてもほとんど変化を生み出せない。

第1層:流れを再設計し、機能部門はもはや「容れ物」ではないと受け入れる

機能部門は存続するが、今のかたちのままでは存続しない。なぜなら、それらは「容れ物」として作られたからだ。すなわち、希少な専門人材を効率的に監督できるよう、同じカテゴリの業務を集約した場所であり、まさにその「希少性」が今や緩和されつつある。

筆者の経験から一貫して言えるのは、企業の組織機能は部門間でのバトンタッチではなく、連続したワークフローとして稼働すべきであり、本格的な価値を獲得する組織とほとんど獲得できない組織を分かつものは、エンドツーエンドの再設計であるということだ。

各部門でそれが具体的にどう見えるかは、通念よりも踏み込んでいる。財務・経理部門は数字を集計するのをやめ、それを解釈するようになる。これは昇進のように聞こえるが、現実にはケイパビリティの問題として跳ね返ってくる。集計のスキルと判断のスキルは別物だからだ。人事部門は、人間だけでなくAIエージェントも含めた「労働力」に責任を持ち、その配置、評価、引退を統括するようになる。調達部門は支出の処理から、その背景にあるサプライヤー選定の形成へと移行する。シェアードサービスは、多くの自信ありげな論評に反して、決して廃止されるわけではない。順序が組み替えられるのだ。もはや部門の線引きに縛られないワークフローを回すには、中央集約型のプラットフォームが自然な置き場所となる。

実務的な指針は、機能部門の「内部」で価値を探すのをやめ、機能部門と機能部門の「間」にある隙間に目を向けることだ。価値が部門内で消えることはめったにない。文脈が落ち、意図が失われ、わずかに形を変えて静かにやり直される継ぎ目で、価値は消えていく。

それはまた、機能部門の長に対し、何が残るのかを正直に伝えることでもある。生き残るのは処理量(スループット)ではなく「判断」だ。すなわち、何が優れているかの定義、リスクへの許容度、曖昧なルールの読み解き、そして「ノー」と言える権限である。処理量を守ることで部門を守ろうとするリーダーは、自分が持つ最も脆いものを守っているに過ぎない。

第2層:業務が実際に行われている場所へ権限を移管する

流れを再設計しても権限を再配分しなければ、このサイクルで最も高くつく結果を招く。すなわち、速いプロセスが遅い意思決定に流れ込む、という事態だ。多くの企業におけるボトルネックは、モデルの品質ではなく、インサイトから意思決定に至るまでに立ちはだかる承認プロセスの数である。それらはすべて、情報が遅れて断片的に届き、ダブルチェックが必要だった時代の名残なのだ。誰が、何を、どの基準で、エスカレーションなしに決定できるかを明確に定義し直すことで、通常はテクノロジーが1年で生み出す以上の価値を、わずか1四半期で引き出せる。

ここでは2つの注意点がある。組織再編はアーキテクチャではない。箱と線はリーダーが最も早く変えられるものであり、下敷きとなる業務を再設計せずに人を動かすだけでは、恩恵なき混乱を生む。また、権限は誰かが実際に持たなければならない。自動化されたプロセスには、システム自体ではなくその「アウトプット」に責任を持つ、名前のついた人間のオーナーが必要だ。誰も所有していないプロセスとは、誰も見ていないプロセスに他ならない。

第3層:「良い成果」の定義を変える

最後の層は最もスキップされがちだが、これを省くと他の2つも台無しになる。なぜなら、どれほど見事に業務を再設計したとしても、人間は計測され続けている指標に合わせて最適化行動をとるからだ。

機能部門の業績はこれまで、処理量、取引あたりのコスト、サイクルタイムで評価されてきた。しかし定型業務が自律的に回るようになれば、そうした指標はほぼ意味をなさなくなる。代わりに重要となるのは、例外事象にどれだけ適切に対応できたか、人間の能力がどれだけ真に「判断」のために解放されたか、手戻りやエスカレーションが減っているか、そしてビジネスの成果に結びついたかである。

筆者なら、オペレーティングモデルを変える前に評価指標を変更する。古い指標が劣化しつつあるプロセスからも「成功」を脳天気に報告し続けている間に、新しい指標なら再設計が機能しているかどうかを数週間で明らかにしてくれるからだ。これは人材への影響という点でも重要だ。自動化によって調整の負担が減り判断の負担が増えるため、マネージャーに何人の部下がいるかよりも、そのマネージャーが1週間にどれだけ重大な判断を下さなければならないかの方がはるかに重要になる。

これらを順番に積み上げれば、各層が複利的に効き始める。整理された流れはより良い意思決定を生み、より良い意思決定はより良い情報を生み、より良い情報は再び流れを改善する。競合他社は、自社がライセンス契約したものすべてを数週間でライセンス契約できるだろう。しかし競合にできないのは、小切手を切るだけで、3年間かけて意図的に「組織の作り方」を改善してきた企業の到達点にたどり着くことだ。それこそが、あなたのAI戦略の中で、本当に「あなただけのもの」である唯一の部分なのである。

(forbes.com 原文)

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