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2026.10.15 09:33

AIの隠れたボトルネック「コモディティ問題」、テクノロジー業界に迫る試練

Adobe Stock

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過去20年間の大部分において、テクノロジー業界はまるで物理世界が他人の問題であるかのように振る舞ってきた。

ソフトウェア企業は工場を建設することなく規模を拡大した。クラウドコンピューティングによって、企業はその背後に何があるのかをほとんど気にせず容量を増やせるようになった。テクノロジー企業がハードウェアに進出した場合でさえ、グローバルサプライチェーンは概して必要なものを届けてきた。

AIブームは主に半導体、コンピューティングパワー、電力の観点から議論されている。この3つはいずれも重要だ。しかし、その下には遥かに注目されていない制約が存在する。それがコモディティ(一次産品・原材料)だ。

データセンターは物理的なインフラである。それらを稼働させるために必要な発電所、送電線、変電所、変圧器、冷却システムも同様だ。これらすべてを建設するには、膨大な量の銅、アルミニウム、鉄鋼、その他の材料が必要になる。発電能力の拡大は、ウランや天然ガスも計算に入れることを意味する。半導体製造は独自の特殊金属群に依存している。ガリウム、ゲルマニウム、パラジウム、シリコンなどであり、そのサプライチェーンは西側の管理外に大きく集中している。

テクノロジー企業は、非常に動きの遅い業界に依存するようになりつつある。これは、デジタル速度で進むことに慣れ親しんだ業界にとって新たな問題だ。

見た目以上に「物理的」なAI

ユーザーがスマートフォンに質問を入力し、数秒で回答を得るとき、その体験はほぼ完全にデジタルに感じられる。

しかし、AIには先端的なコンピューティング機器で満たされた大型データセンターが必要だ。そうした施設には膨大な電力が必要となる。電力には発電が必要であり、発電には送電が必要だ。送電には銅、アルミニウム、電気設備が必要になる。データセンターには建設資材、冷却インフラ、予備電源も必要だ。

銅は、これらの層がどのように繋がっているかを示す最も明瞭な例だ。銅は変圧器、送電システム、データセンター、発電設備に使われている。銅需要はすでに、電化、送電網の近代化、再生可能エネルギーによって同時に引き上げられており、そこに今、AIインフラがさらなる圧力を加えている。AIの電力需要が拡大し続ければ、業界が必要とするのは単にチップの追加だけにとどまらない。そうしたチップを取り巻くインフラの需要が大幅に増加することになる。

異なる時間軸で動く2つの業界

テクノロジー企業は「月単位」で考える。鉱業会社は「十年単位」で考える。

テクノロジー企業は、新たな需要に応じて設備投資を劇的に増やすことができる。半導体メーカーは生産能力を拡大できるが、それすらも時間を要する。一方、鉱業会社は単に「来年、銅の生産量を大幅に増やそう」と決めることなどできない。

新たな鉱床は探査されなければならない。資源量を確定する必要がある。冶金学的な作業も完了しなければならない。資金調達を整え、許認可を取得し、インフラを建設する必要がある。このプロセス全体には10年を大きく超える時間がかかり得る。

ソフトウェアの需要が増えれば、追加のコピーは限界費用がほぼゼロで生産される。銅の需要が増えれば、誰かが最終的に別の鉱山を見つけ、許認可を取り、資金を調達し、建設しなければならない。

どれほど強力なコンピューティングパワーであっても、地質学を変えることはできない。

電力は最初の制約に過ぎない

現在のAIインフラを巡る論議の多くは電力に集中しており、それも当然のことだ。すでに電力の確保が、データセンターをどこに、どれだけの速さで建設できるかを左右している。

しかし、電力を確保しても、インフラ全体の問題は解決しない。

送電インフラが電力需要地に接続できなければ、新しい発電所は役に立たない。新しい送電網には材料と設備が必要だ。変圧器はすでに供給の制約に直面している。送電網の拡大には膨大な量の銅とアルミニウムが必要となる。

ここでAIは、他の複数の主要投資テーマと同時に衝突し始める。電気自動車(EV)には銅が必要だ。再生可能エネルギーにも銅が必要だ。送電網の近代化にも銅が必要だ。防衛システムには、先進技術に使われるクリティカルミネラル(重要鉱物)の多くが必要とされる。自国の製造能力を再構築しようとしている国々は、全面的な原材料の確保を求めている。

AIは誰もいないコモディティ市場に参入してくるわけではない。世界中の政府や産業が全く同じ資源を奪い合っているまさにそのタイミングで参入してくるのだ。

ビッグテックは上流へ進出せざるを得ないかもしれない

この状況は最終的に、テクノロジー企業に原材料の調達方法を再考させることになるかもしれない。

何十年もの間、ほとんどの企業はコモディティを「必要なときに購入するもの」として扱ってきた。材料が容易に入手できる場合はそれで機能する。しかし、供給が戦略的な意味を持つようになると機能しなくなる。

この動きはすでにバッテリー材料の分野で見られた。コバルトやリチウムのサプライチェーンが局所集中していることに直面した自動車メーカーは、長期引き取り(オフテイク)契約を結び、鉱山プロジェクトに資金を提供し、場合によっては生産者に直接投資を行った。戦略的論理は明快だった──不足によって追い詰められる前に、材料を確保することだ。

テクノロジー企業も、多くの人が予想するよりも早く同じ決断を迫られる可能性がある。まずは長期供給契約、次に前払い金や戦略的在庫の確保、さらには出資や生産者への直接投資へと進むだろう。

これは、テクノロジー企業が今すぐ銅鉱山の操業を始めるという意味ではない。しかし、テクノロジーと天然資源の境界線はかなり曖昧になっていく。AIインフラの建設に数百億ドルを投じる企業が、プロセスの途中で比較的安価な材料がボトルネックとなり完成が阻害される事態に陥るわけにはいかないのだ。

第3のボトルネック

AI競争は一般に、モデル、チップ、データ、人材の文脈で語られる。それらも引き続き重要だ。しかし、最大規模でAIを展開できる企業は、よりありふれた要素──物理インフラを確保する能力──によって他社との差別化を図るようになるかもしれない。

十分な電力を確保できるか。新しい施設を送電網に接続できるか。必要な変圧器や電気設備を調達できるか。依存している材料は、地政学的緊張が高まる時期でもアクセスが維持される管轄地域から来ているか。

10年前、これらの問いはテクノロジー戦略とは何の関係もなかった。今日、それらは戦略の中核になりつつある。

テクノロジー業界は数十年にわたり、イノベーションによって例外的な制約を克服できることを証明してきた。しかし、工学的な工夫(エンジニアリング)では解決できない制約もある。銅鉱床なしに銅を生産することはできない。物理的な材料なしに送電インフラを建設することはできない。需要が増えたからといって、鉱山開発を都合よく大幅に加速させることはできないのだ。

AIは最終的に世界経済の広範な部分を変革するかもしれない。しかし、その変革をもたらすインフラを建設するには、その下にある物理経済の大幅な拡大が必要となる。

AI競争における第1のボトルネックは先端チップだった。

第2のボトルネックは電力だ。

そして第3のボトルネックは、他のすべてを建設するために必要な原材料である。

そのことを理解し、早期に行動を起こすことこそが、テクノロジー企業の経営陣が今後10年間に直面する最も重要な戦略的課題の一つとなるかもしれない。

(forbes.com 原文)

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