12月17日に発表された11月のロシアの経済指標をみると、小売売上高と失業率、鉱工業生産は予想を下回った。
小売売上高は前年比13.1%の減少で、市場予想のマイナス11.5%を下回った。第4四半期の統計でも、消費の低迷が明らかになると見込まれる。ロンドンのバークレイズ・キャピタルのロシア経済専門のエコノミストは、これで「6期連続の景気後退になる」との見通しを示した。
実質賃金は9.0%減で、10月のマイナス11%からは回復をみせた。ただし、失業率は10月の5.5%から5.8% に悪化。また、鉱工業生産は前年比 で3.5%減少した。アナリスト予想は-2.9%だった。
11月の季節調整済みの鉱工業生産指数も落ち込んだ。ロシアの購買担当者景気指数は2カ月連続で、景況感の改善と悪化の分岐点となる50をわずかに上回る程度にととまっている。
投資も依然として減少している。改善の兆しはみられるものの、前年11月と比べ、4.9%減っている(アナリスト予想は-5.4%)。企業利益は今年に入り、エネルギー分野を中心に増加しているが、これは主に、ルーブル安によるものとみられる(ルーブルは過去12カ月で約16%下落した)。
プーチン大統領は今年10月、モスクワで開催されたVTBキャピタル主催の投資フォーラム「ロシアは呼ぶ」で自国経済について、「一部の専門家らは、景気後退は底を打ったとみており、私も同じ考えだ。我が国の経済は、環境の変化に対応し始めている」述べていた。
さらに、「多くの産業分野では依然として状況の悪化がみられるが、好転している分野もある」として、欧州の経済制裁に伴う食品の輸入代替が効果を上げている農業分野を挙げた。
大統領はさらに、12月17日にモスクワで行った年末恒例の大規模な記者会見でも、自国経済は底を打ち、回復傾向が見え始めているとの見解を改めて強調した。