米大手銀行4行は、7〜9月期(第3四半期)に合わせて約320億ドル(約5兆560億円)の純利益を上げた。私がまずこの数字を取り上げたのは、誰も異を唱えにくい数字だからだ。JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの4行が発表した決算は、景気が傾いているときに普通見られるような内容ではない。
JPモルガンが焦げ付き対策を約790億円増額、なぜ注目すべき数字なのか
そのあとで目にとまったのが、JPモルガンが企業向け融資に備えて積んでいる貸倒引当金(融資の焦げ付きに備えて積み立てておくお金)である。
同行は、この引当金を約5億ドル(約790億円)積み増していた。結局は必要なかったということになるかもしれない。JPモルガンはこれまでも、引当金を積み増しては、のちに取り崩してきた。それでも、決算の数字のなかで私が最も関心を引かれたのは、この数字だった。まるで異なる2つの経済の姿の、ちょうどあいだにある数字だからだ。
潤う大手行と、想定外の金利で借り換えに備える借り手
1つは、銀行の利益が増え、融資が伸び、借り手がきちんと返済を続けている経済である。もう1つは、株式市場の不調が広がっている経済だ。米国の主要上場企業約3000社で構成するラッセル3000指数では、構成銘柄の半数以上が、すでに高値から20%以上下がる弱気相場に入っている。企業は、投資家に成長シナリオを売り込んだときには想定もしていなかった金利で、借金を借り換えようとしている。この2つの経済は、同時に成り立ちうる。実のところ、銀行が稼いでいることそのものが、株式市場の不調を生む一因になっているのかもしれない。



