起業家が陥りがちなよくある過ちは、事業が成長し成功を収めるにつれて、自社をどのように「プロフェッショナル化」していくかという計画を持たずに創業してしまうことだ。
成熟しつつある事業を、創業時に導入した基本的なツールのまま運営し続けることが、コンプライアンス上の不備をはじめ、法務、オペレーション、財務上の問題といったさまざまなリスクに事業を晒すことになるのだと彼らは気づいていない。
すべての起業家が創業時に目指す「成功」そのものが、それを支えるシステムが整備されていない場合、最終的に事業を足元からすくうことになるのは皮肉なことである。
何千ものプロフェッショナルや起業家の会社設立とコンプライアンス維持を支援してきた企業の創業者兼CEOとして、私は確信を持って言いたい。成長する事業をスタートアップのときのやり方のまま運営し続けることはできない。
従業員を雇用し、売上が増加し、業務が複雑化するにつれて、変化する事業を支えるために組織構造やシステムを更新しなければならない。
事業をプロフェッショナル化するためのステップ
基本的に、事業をプロフェッショナル化するとは、業務の規模や高度化に対応できるシステムを構築・導入することにほかならない。これは、1人や2人のキーパーソンに過度に依存することなく効率的に機能するよう、事業の成長に合わせて構造やプロセスを刷新するプロセスである。
事業のプロフェッショナル化に向けた具体的なステップには、以下のようなものが含まれる。
• 正式な法人として事業を登録する
• 法人口座を開設する
• コンプライアンスのプロセスを確立する
• 正式な会計システムを導入する
• 正式な契約書を作成する
• 人事労務の実務を制度化する
• データに関する方針や手順を整備する
このリストを見て圧倒されそうになっても、心配はいらない。事業のプロフェッショナル化は一朝一夕に終わるものではなく、継続的なプロセスだからだ。
対応を先延ばしにする代償
事業のプロフェッショナル化を怠るリスクは数多く存在する。問題が頻発しやすい領域をいくつか見ていこう。
コンプライアンス
企業のコンプライアンス維持を支援することはCorpNetの使命の大きな部分を占めるため、税務期限、申告、報告、ライセンスや許認可の更新、その他のコンプライアンス業務の失念につながる古いシステムのリスクを強調しておきたい。
継続的なコンプライアンスを確保する仕組みを整えておくことは不可欠であり、そうしなかった場合の結果は深刻になり得る。
オペレーション上の問題
これらは、システムが古くなった際に経営者が最初に気づく問題であることが多い。効率を妨げ、業務を遅らせるからである。
例えば、経営者への過度な依存は、本人が不在の場合にプロセス全体の遅延を引き起こす。従業員の役割定義が不明確だと、重要なタスクが落ちてしまう恐れがある。また、手作業に頼りすぎると、ヒューマンエラーが増え、プロセスにばらつきが生じ、情報へのアクセスも難しくなる。
財務上のミス
事業の財務状況を正確に把握することは極めて重要だが、適切なシステムが存在しなければ、その把握自体が危うくなる。
脆弱なシステムでは、経営者がキャッシュフロー、損益、不正、税務などの状況を正確に把握できなくなる。深刻な被害が発生するまで誰も問題に気づかないことこそが、最大の危険である。
法的なトラブル
スモールビジネスのオーナーにとって、重大な法的リスクに晒されることほど不安なものはほとんどない。
しかし、強固なシステムがなければ、個人責任の問題、不完全または古い契約書、雇用紛争、保護されていない知的財産、満たされていない規制要件など、法的なトラブルに直面する可能性がある。
成長機会の喪失
適切なインフラがなければ、企業は自らの成長を支えきれなくなる恐れがある。その結果、資金調達の難航、新製品やサービスの追加の停滞、追加雇用の阻害、他州や他地域への進出の遅れにつながる。
システムが対応しきれなかったために、企業が絶好の機会を見送らざるを得なかったケースを、私はこれまでに何度も目にしてきた。
事業が既存システムの限界を迎えているサイン
プロセスが滞り、ミスが頻発するようになると、多くの経営者はシステムが時代遅れになっていることに気づき始める。
警戒すべきサインには、以下のようなものがある。
• コンプライアンスの期限管理が仕組化されていない: 規制が複雑化しコンプライアンス上の義務が増えるにつれ、税務申告、許認可の更新、報告期限などのタスクを追跡するシステムが必要になる。
• すべての承認を経営者が行っている: 特定の人物への過度な依存は、その人物が対応できなくなった場合に深刻な停滞を引き起こす。
• 企業の法的構造を一度も変更していない: 創業時に適切だった法人格や所有構造は、事業が大きく成長した後は不適切になっている可能性がある。
• 同じミスが何度も繰り返される: 人間はミスをするものだが、適切な手順やチェック体制が整備されていないためにミスが発生する場合もある。これらを整備することで、同じミスの再発を防ぐことができる。
• 文書を一元管理するシステムがない: 処理すべき情報量が増加するにつれ、文書やその取り扱いを管理するシステムは重要性を増していく。
• 財務情報が不透明である: 収支の迅速な把握、未払い・未収金の特定、あるいは財務目標の達成状況の確認が経営者自身で即座にできない場合、財務システムが事業のニーズに追いついていない可能性が高い。
これらは決して警告サインのすべてではないが、思い当たる節があるならば、何をどのように変えるべきか検討すべき時期が来ていると言える。
事業のプロフェッショナル化を進める方法
事業のプロフェッショナル化を検討するのは途方もない作業に思えるかもしれないが、何もしないことの代償はさらに大きい。
私は長年にわたり多くの起業家に会ってきたが、コンプライアンス違反による多額の過料や自社に対する訴訟といった突然の警鐘が鳴るまで、自社のシステムが機能していないことにまったく気づいていなかった人も多かった。
まずは、不十分なシステムによって最も大きな影響を受けている領域や、最も大きなリスクが潜んでいる場所を評価することから、事業のプロフェッショナル化を始めよう。コンプライアンス上の義務、法的構造、あるいは財務管理に対応しきれていないシステムから手をつけるとよい。
また、従業員の時間を最も費やしているプロセスや、特定の人間の時間や専門知識に依存しすぎている業務がどれであるかも考慮するとよい。
同時に、事業システムの更新が必要になるということは、会社が成長し、より高度化していることの証であることも忘れないでほしい。それは成功を示し、さらなる拡大の機会を生み出す好兆頭なのだ。



