2015年に退任した米有力企業のCEOたち

ラルフ・ローレン氏(写真中央)のCEO退任はファッション界を大きく揺るがせた。(FashionStock.com / Shutterstock)

米国では2015年、有力企業の最高経営責任者(CEO)の退任が相次いだ。

「メディア王」と呼ばれる大富豪のルパート・マードック(84)6月、娯楽・メディア大手21世紀フォックスの経営から退き、後任に次男のジェームズ(42)を指名した。退任後は同社の会長となり、長男ラクラン(44)が共同会長に就任した。退任はしたものの、体力・気力はなお衰えておらず、ルパートは引き続き大きな影響力を保つと目されている。

同じく富豪のラルフ・ローレン(76)9月、自身が創業した米有力ブランド、ラルフローレンのCEOを退任すると発表。世界のファッション業界に激震が走った。業績低迷による株価の下落が理由と見られる。後任には、カジュアル衣料大手ギャップの低価格ブランド「オールドネイビー」を率いてきたステファン・ラーソン(41)が指名された。オールドネイビーの業績拡大に貢献したラーソンの手腕に期待し、トップの座を譲った格好だ。ローレンは会長兼最高クリエーティブ責任者として社内にとどまっている。

一方、ユナイテッド航空では9月、スキャンダル絡みでトップが交代した。ジェフ・スマイゼックCEO (61)はニューヨーク・ニュージャージー港湾公社のデビッド・サムソン前会長に便宜を図り、ニュージャージー州のニューアーク空港と前会長の別荘があるサウスカロライナ州コロンビアを結ぶ不採算路線の「会長便」を運行していた疑いで、連邦当局の捜査対象となっている。後任には、社外取締役だったオスカー・ムニョス(米鉄道大手CSXの前社長)が就任した。

化学大手のデュポンでは10月、約7年にわたって会長兼CEOを務めたエレン・クルマン(59)が退任した。物言う株主として知られるネルソン・ペルツとの対立が引き金で、事実上の引責辞任となる。翌11月には、米複合企業タイコ・インターナショナルのエドワード・ブリーン前CEO (59)が暫定会長兼CEOに就任した。トライアン・ファンド・マネジメントを率いるペルツは、デュポンの業績不振の責任を追及し、経営陣の交代とリストラを要求。これに応じないクルマンと数カ月にわたって対立状態にあった。

また、ツイッターは6月、ディック・コストロCEO (52)の辞任を発表した。その後、創業者の一人であるジャック・ドーシー(39)が暫定でCEOに復帰。10月に入って正式に就任した。ツイッターは昨年、経営陣の大半の入れ替えを実施したものの業績が改善せず、長年同社を支援してきた大株主のクリス・サッカも、公にコストロの退任を求めていた。201010月、共同創業者のエヴァン・ウィリアムズの後任として同社トップに就いたコストロは、退任前には取締役会に対し、業績が期待ほどに伸びないことに対するウォール街からの圧力に疲れたと話していた。

マクドナルドではドン・トンプソンCEO (52)1月、辞任を表明した。メキシコ料理チェーンのチポトレをはじめ、「ファストカジュアル」と呼ばれるファストフードとレストランの中間に位置する新業態の外食チェーンが台頭したことなどで、経営悪化が深刻化していたことが原因だ。トンプソンは米主要企業のトップとしては数少ないアフリカ系米国人の1人として、2012年から同職にあった。後任は同社の最高ブランド責任者だったスティーブ・イースターブルック。

このほか、衣料通販大手ランズエンドのエドガー・フーバーCEO2月に辞任。イタリアの高級ファッションブランド、ドルチェ・アンド・ガッバーナ米国社長フェデリカ・マルキオーニが就任した。

大手書店チェーン、バーンズ&ノーブルでは昨年1月に就任したばかりのマイケル・ヒューズビーCEOが、玩具大手マテルでは3年前に就任したブライアン・ストックトンCEOが辞任に追い込まれた。

編集 = 木内涼子

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