経営・戦略

2026.10.13 10:30

Moonshot AIのIPO、約8兆円の評価額で記録更新の可能性 ただし元株主との紛争解決が条件

Avishek Das/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Avishek Das/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

北京を拠点とするAIスタートアップのMoonshotが、香港での新規株式公開(IPO)に向けて非公開での準備を進めている。同社が抱える元株主との争いを解決できれば、中国発のAI企業としては過去最高となる最大500億ドル(約8兆円)の評価額がつく可能性がある。

Moonshot AIが香港上場を申請、約1100億円の請求をめぐり和解協議

人気のチャットボット「Kimi K3」を手がける同社は、すでに500億ドルの評価額を目標にした香港でのIPOを非公開で申請しており、30億ドル〜50億ドル(約4800億~約8000億円)の資金調達を目指している。

しかし同社は現在、初期投資家が7億ドル(約1100億円)の賠償を求める訴訟の解決に向けた示談交渉の真っ只中にある。投資家らは、同社の楊植麟(ヤン・ジーリン)CEOと張宇韜(チャン・ユータオ)CTOが不正行為を働き、取締役会の正式な承認を得ないまま同社を立ち上げたとして非難している。

CEOとCTO、古巣のサーバーと知的財産を無断で移したのか

2016年にヤンとチャンが共同創業したソフトウェア開発企業Recurrent.aiとその投資家らは、両氏が受託者責任に違反したと主張している。主張によれば、両氏は補償や取締役会の承認なしに、主要なサーバーインフラや知的財産をRecurrent.aiからMoonshotへ密かに直接移転し、新会社を設立したという。

また、ヤンとチャンはRecurrent.aiへの関与を段階的に縮小する一方で、同社の初期の投資家にはMoonshotでの持ち分の存在を一切知らせていなかったとされている。

請求額は創業時株式の10.5%分、経営陣は申し立てを否定

請求側はMoonshotが当初発行していた株式の10.5%に相当する補償を求めている。6月の資金調達ラウンドを基準にすると、その価値は7億ドル(約1100億円)以上になる可能性がある。

ヤンはこの疑惑を否定しており、Moonshotの代理人弁護士は中国メディアに対し、この訴えには「法的根拠も事実関係の根拠もない」と語った。

未解決の仲裁は規制上の障害になりうる、取引所の厳格な情報開示ルールも重荷

専門家らは、Moonshotの法的紛争が未解決のままでは、IPOに向けた規制上のハードル、投資家の懐疑的な見方、さらには巨額の財務リスクがもたらされる可能性があると指摘している。Quartz Newsの報道によれば、この訴訟によって上場が完全に中止されるわけではないものの、香港証券取引所の厳格な情報開示ルールの存在により、潜在的な投資家が二の足を踏み、上場手続きが難航する要因になり得るという。進行中の訴訟はMoonshotの財務リスクをさらに増大させる。請求側は株式の10.5%に相当するため、目標とする500億ドル(約8兆円)の評価額でIPOが実現すれば、その潜在的な負債額も劇的に膨れ上がるためだ。

早ければ2027年第1四半期にも実現、生成AI専業として史上最大のIPOとなるか

MoonshotのIPOは早ければ2027年第1四半期にも実施される可能性がある。これが実現すれば生成AI専業の企業としては世界最大規模のIPOとなり、香港でのテクノロジー企業の上場としても2021年以降で最大となる。

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翻訳=江津拓哉

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