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2026.10.12 08:12

AIはコードを書けるが、企業のテックスタックを置き換えることはない

Adobe Stock

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生成AIとエージェント型AIの台頭、そしてAIコーディングツールの機能向上により、従来型のソフトウェア企業、SaaS企業、テクノロジーサービス企業に対する強力な弱気論が生まれている。その主張は一見すると単純明快だ。AIが迅速かつ低コストでソフトウェアを生成できるなら、企業は既存のテクノロジースタックの大部分を置き換え、ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター、アウトソーシング事業者、マネージドサービス企業への支出を削減できるはずだ、というものだ。

私は、この見立ては大幅に誇張されていると考えている。AIはテクノロジーの経済性を変えるだろう。しかし、企業のテックスタックが全面的に置き換わるには、多くの投資家が想定するよりもはるかに長い時間がかかる可能性が高い。私がこの結論に至った理由はいくつかある。

理由1:AIはコードを書き換えられるが、それはテックスタックの置き換えと同義ではない

AIがコードを迅速かつ効果的に生成できること、そしてその能力が高まり続けていることに疑いの余地はない。すでに、AIツールを使ってアプリケーションをリファクタリングしたり、サポートが終了した環境のコードをより新しい技術環境へ移植したりする例が見られる。こうした用途はうまく機能し得る。新しいコードを生成するコストも、かなり妥当な水準になり得る。しかし、それは企業が突然、自社のテクノロジー資産全体を書き換え始めることを意味しない。

その理由は、難しいのはコードを生成することではないからだ。難しいのは、既存のアプリケーションが行っていることのすべて、それが接続しているすべてのシステム、内包するすべての依存関係、そしてそれに依存するすべての業務プロセスを理解することにある。仮にコード生成が実質的に無料になったとしても、テストと統合が無料になるわけではない。

大企業にとって、重要な依存関係を1つ見落とすことによる事業リスクは大きい。書き換えられたシステムが数千ものプロセスやインターフェースにまたがって正しく動作することを証明するコストも大きくなり得る。これにより、置き換えの経済性は大きく変わる。

理由2:稼働しているソフトウェアの価値はライセンス費用を上回る

多くの企業が、大手ソフトウェアベンダーやSaaSベンダーに支払っている金額に不満を抱くのは理解できる。場合によっては、経営幹部が法外な身代金を払っているように感じていることもある。しかし、そのコストは別のものと比較する必要がある。すでに機能しているシステムを置き換えるリスクだ。

大企業の多くは、高価で複雑で洗練されていないかもしれないが、事業の重要な部分を安定して動かしているテクノロジー環境を持っている。ソフトウェア費用を削減するためだけにそうしたシステムを置き換えることは、多くの場合、資本の使い道として説得力に欠ける。

企業は一般に、期待リターンが最も高い施策に投資資金を配分する。この傾向が近いうちに変わる可能性は低い。今日では、それは新たな生産性を生み出し、顧客体験を改善し、ワークフローを自動化し、あるいはまったく新しい業務運営の方法を可能にするエージェント型の新機能への投資を意味することが多い。とはいえ、多くの場合、そうしたエージェント型システムは既存のテクノロジースタックをただちに置き換えるのではなく、その横に置かれることになる。

理由3:テクノロジーの変化は「堆積的」である

私たちは以前にもこのパターンを目にしてきた。テクノロジーは本質的に「堆積的」である傾向がある。既存の層の上に新しい層が追加され、置き換えはゆっくりと進む。もしテクノロジーの置き換えが、新たな技術サイクルのたびに示唆されるほど急速に進むなら、企業にはもはや相当規模のメインフレーム資産は残っていないはずだ。だが、いまも多くの企業がそれを保有している。この点で、AIの統合が根本的に異なるものになる可能性は低い。

理由4:目的適合性

目的適合性という観点でも、もう1つ重要な点がある。今日の企業向けソフトウェアの多くは決定論的である。つまり、定義されたタスクを予測可能な方法で実行する。そうしたワークロードの多くでは、確率論的なAIシステムよりも、決定論的なソフトウェアの方が引き続き高い性能と効率を発揮する可能性がある。

エージェント型テクノロジーが一部の機能を引き継ぐことは間違いない。しかし、選択された領域での限定的な置き換えは、企業全体にわたる大規模な置き換えとはまったく異なる。

テクノロジーサービスにとっての意味

私は、多くの企業が10年後、あるいは15年後でさえ、今日のテクノロジースタックの相当部分を運用し続けている可能性があると考えている。これはテクノロジーサービス業界にとって重要な意味を持つ。

企業向けテクノロジーとコーディング能力を取り巻く既存のエコシステムが消えるわけではない。企業は引き続き、従来型のテクノロジー資産をめぐるシステム統合、マネージドサービス、アウトソーシング、アプリケーションサポート、コンサルティングを必要とする。

もちろん、AIはそうしたサービスの提供方法に影響を与える。生産性向上は、私が「AIによる圧縮」と考える現象を生み出し、プロバイダーがより少ないリソースでより多くの作業をこなせるようにする一方、一部の既存サービスの売上に下押し圧力をかけるだろう。

しかし、圧縮は必ずしも業界の縮小を意味しない。すでに、基礎的な需要がそうした生産性圧力の一部を相殺している状況が見られる。その結果として起こり得るのは、従来型市場の一部における成長鈍化であり、市場そのものが完全に消滅することではない。

最も重要な含意は、AIが最終的には企業のテクノロジー支出を減らすのではなく、増やす可能性があるという点だ。時間の経過とともに、投資の焦点は移る。テクノロジー予算のより大きな割合が、従来型スタックの一部から、エージェント型プラットフォーム、AIネイティブのソフトウェア、コンサルティング、システム統合、新たな形態のサービスへと向かうだろう。

現実的に見れば、企業は今日の事業を動かすシステムを支え続ける一方で、明日の事業を動かすシステムに大規模な投資を続けることになる。従来型のエコシステムは成長ペースが鈍化し、価格と生産性をめぐる圧力に引き続き直面するだろう。それでも、その内部には前進を支える巨大な慣性がある。今後の道筋は、置き換えというよりもローテーションに近い。つまり、当初考えられていたほど弱気な命題ではないということだ。

(forbes.com 原文)

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