ネオジムという元素の名前を知らなくても、自動車やスマートフォン、風力発電機、軍事装備との関わりは深い。ネオジムは17種類あるレアアース(希土類元素)の一種で、強力な磁石などの製造に欠かせない。中国は数十年にわたって精製・磁石製造で圧倒的な地位を築き、欧米の製造企業は中国からの供給が途絶えるリスクを抱えてきた。米国や欧州、その同盟国は中国に代わる鉱山、精製施設、磁石工場の整備に数十億ドル(数千億円)を投じている。
中国依存からの脱却が、レアアース関連企業への投資を後押しする
レアアース関連株を買う投資家の多くは、中国国外で採掘から磁石製造までの供給網が再構築されることに期待している。2024年には、主要レアアースの精製工程の約91%、永久磁石の製造の90%超を中国が占めていた。重要なのは鉱石の採掘量だけではない。鉱石から必要な元素を取り出す精製工程と、製品に組み込む磁石の製造工程に中国の強みが集中している。
中国への依存がもたらす問題は、2025年4月に表面化した。中国政府が中希土類・重希土類の7品目と関連する磁石の輸出に許可を必要とする制度を導入したためだ。ロイターによると、中国から世界各国への永久磁石輸出量は5月に1238トンとなった。前月比52.9%減、前年同月比74%減で、月間輸出量は5年超で最低の水準に落ち込んだ。米国向けは前年同月比93.3%減少し、一部の自動車部品工場が生産を停止した。日本でもスズキが小型車「スイフト」の生産を一時停止した。
各国の政府支援は、レアアースの国際価格が下落するリスクをなくすものではない。それでも、最低購入価格の設定などは価格の下支えとなり、中国国外で生産する企業の採算改善につながる。需要面でも、強い磁力を維持する永久磁石は電気自動車(EV)、ドローン、データセンターの冷却設備、ロボット、ミサイルに使われる。用途が多岐にわたり、しかも中国依存を減らす取り組みが政策主導で進む点が、特定の景気循環に左右されにくい投資材料となっている。
2027年に向けたレアアース株5選、重視したのは生産計画と財務基盤
私は投資ファンドや配当株を専門に執筆し、顧客への投資助言にも携わっている。急速に人気が集中する投資テーマには警戒してきたが、レアアースも例外ではない。発表と試掘の実績しかなく、商業生産へ進めるか不透明な企業も多い。そこで、すでに生産している企業、または2027~2028年に生産を始めるための資金を確保した企業だけを候補に残した。
選定では、生産実績または資金が確保された生産計画、最低価格や引き取り契約などの政府支援、採掘から磁石製造まで手掛ける工程の範囲、財務基盤の強さという4点を比べた。企業価値に対する株価の割安さは、通常の株式分析ほど重視していない。赤字企業が多く、株価収益率(PER)では比較しにくいためだ。売上高・利益などは各社が公表した決算期や過去12カ月の実績を示し、株価・時価総額・PER・配当利回りは2026年10月16日時点の数値を使用する。米国株は米国時間、豪州株はオーストラリア現地時間の終値を基準とした。



