米国は、国内の重要鉱物資源を採掘、開発、再利用するため、9州のハイテク採掘プロジェクトに2950万ドル(約46億7000万円)を投資する。
連邦政府の研究開発プロジェクトを構想段階から民間産業へと迅速に移行させるため、米エネルギー省(DOE)は、同省の国立研究所で開発中の17件のプロジェクトに助成金を授与した。
DOEは、科学局傘下に10の研究所を持ち、国家核安全保障局の下にも3つの研究所を有している。そこでは世界屈指の頭脳が、研究ならびに科学技術イノベーションを通じて政府の任務を遂行している。
エネルギー省次官補のオードリー・ロバートソンは9月30日、助成金の授与を発表し、これらのプロジェクトによって米国の鉱業と重要鉱物のサプライチェーンがより強固な立場に置かれるとの見通しを示した。
ロバートソンは「本日の投資は、国立研究所が持つ革新的な力を最大限に解き放つためのものだ」と述べた。
これらのプロジェクトは、DOEの「未来の鉱山(Mine of the Future)イニシアチブ」の下で資金提供される。同イニシアチブは、採掘イノベーション、重要鉱物の原位置抽出・回収、選鉱という関心テーマのもと、すべての国立研究所から重要鉱物関連の助成提案を募っていた。
国立研究所向け助成金を受け取る州は以下の通りだ。
- カリフォルニア州:ローレンス・バークレー国立研究所(バークレー)、SLAC国立加速器研究所(メンローパーク)、ローレンス・リバモア国立研究所(リバモア)
- コロラド州:ロッキーズ国立研究所(ゴールデン)
- アイダホ州:アイダホ国立研究所(アイダホフォールズ)
- イリノイ州:アルゴンヌ国立研究所(レモント)
- アイオワ州:エイムズ国立研究所(エイムズ)
- ニューメキシコ州:ロスアラモス国立研究所(ロスアラモス)、サンディア国立研究所(アルバカーキ)
- サウスカロライナ州:サバンナリバー国立研究所(ジャクソン)
- テネシー州:オークリッジ国立研究所(オークリッジ)
- ワシントン州:パシフィック・ノースウェスト国立研究所(リッチランド)
例えば、エイムズ研究所は、MICRO-visionプロジェクト(Magnetoacoustic-Induced Condition of Rare-earth Ores Guided by Computer Visionの略)を進めるため、150万ドル(約2億3700万円)の助成を受けた。
研究者らは、音響と磁気エネルギーを使って鉱石を「穏やかに」砕くシステムに取り組んでいる。その後、鉱物を含む破片はリアルタイムで選別されて処理工程に送られ、残りの材料はさらなる精製のために戻される。
エイムズ研究所の重要物質部門ディレクターであり、重要物質イノベーションハブ(Critical Materials Innovation Hub)のディレクターも務めるトム・ログラッソは、助成金の授与に感謝の意を表した。同氏は、同研究所が「重要材料研究、鉱物処理、化学分離、希土類技術において独自の強みを持っている。こうした能力に加え、産業界、大学、国立研究所との強固なパートナーシップにより、国内の重要鉱物サプライチェーンが直面する最も困難な課題の一部に取り組むことができる」と述べた。
廃棄物から鉱物を回収
アルゴンヌは2件の助成を受けた。1件は、低品位の鉱山尾鉱廃棄物からコバルト、銅、ニッケルを迅速に回収するものだ。
もう1件は、鉱山で高度な回転床技術とデジタルモデリングを活用し、低品位材料から希土類元素を抽出するものだ。DOEによれば、希土類元素は石炭灰と鉱山尾鉱から除去され、「現在の方法と比べてコスト、化学薬品、廃棄物を半減させながら、高品質の濃縮物を生産する」という。連邦資金は、このシステムの開発と試験に充てられる。
サンディア国立研究所では、「重要鉱物および構造材料のための鉱山尾鉱のゼロ廃棄物バイオ・電気化学処理」と呼ばれるプロジェクトに助成が行われた。研究者らは、高度な「バイオベースおよび電気化学的手法を用いて鉱山尾鉱から重要鉱物を取り出しつつ、残った材料を有用な建設用原料に変え、残余廃棄物を安全に処理して将来の採掘を支える」ことを目指す。
国内重要鉱物の開発に向けたDOEの投資
今回の新たな連邦助成は、輸入依存を抑えるため、国内の重要鉱物供給源を確保する新たな方法を開発する同様のDOE投資の最新例である。
DOEは9月9日、アリゾナ州、コロラド州、ミズーリ州、バージニア州、テキサス州、ウェストバージニア州などで、革新的な鉱業技術の試験場整備を促進することを目的とした4件のプロジェクトに、総額7300万ドル(約116億円)を助成した。
DOEによれば、「鉱物・鉱業の関係者は、革新的技術を実環境下で試験するための実地サイトを必要としている。これらのプロジェクトは、鉱業の実証場を整備するだけでなく、技術を研究所から実地規模での試験・実証へと進める研究開発プロジェクトも支援する。これは商業導入のリスクを低減するうえで不可欠な段階である」という。



