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アジア

2026.10.12 07:19

AIの逆風がインドのテック長者たちの資産を直撃

本記事は、フォーブスの「インド長者番付2026」特集の一部である。全リストはこちら。

インドのテック業界の巨人たちは、長年続いてきた労働集約型のアウトソーシング事業モデルを揺るがしかねない世界的なAIの波に対する防衛策の構築に全力を注いでいる。神経質になった投資家がインドIT企業の株価を押し下げるなか、この分野に資産が結びついている富豪たちは軒並み純資産を減らしている。中でも最も裕福なのは、HCLテクノロジーズ名誉会長で、かつてインド第3位の富豪だったシブ・ナダールだ。前回の資産算定以降、同社株が18%下落したことで資産は58億ドル(約9180億円)減の274億ドル(約4兆3400億円)となり、順位は7位に後退した。

HCLのライバルであるウィプロとインフォシスの株価はさらに悪化し、いずれも3分の1以上下落、アジム・プレムジとN・R・ナラヤナ・ムルティの資産にも打撃を与えた。ただし両氏の純資産の下げ幅はそれほど大きくない。他の資産がクッションになっているためだ。プレムジは非上場の消費財企業ウィプロ・エンタープライゼズと、プライベートエクイティ会社プレムジインベストを保有する。ムルティのファミリーオフィスであるキャタマラン・ベンチャーズは、投資先企業のIPOが相次いだことで恩恵を受けた。6月にはイーロン・マスクのスペースXが過去最大規模の上場を果たしている。

テック大手各社はAIブームのなかで存在感を保つため体制を立て直している。プネを拠点とするテックコンサルタント5F Worldの会長、ガネーシュ・ナタラジャンは、AIブームは脅威というより機会として捉えるべきだと語る。9月、HCLテックは年間売上高5億ドル(約791億円)から50億ドル(約7910億円)規模の企業がAI活用を拡大するのを支援する一連のサービスを提供する新部門「HCLTech Pulse」を立ち上げた。昨年12月には、AI活用型の組み込み分析プラットフォームを手がけるカリフォルニア拠点のジャスパーソフトを2億4000万ドル(約380億円)で買収した。

3月31日に終了した会計年度で、HCLテックは147億ドル(約2兆3300億円)の売上を計上し、そのうち6億2000万ドル(約981億円)が先進AI関連サービスによるものだった。ムンバイのHDFC証券のアナリスト、アミット・チャンドラは6月のレポートで、HCLテックの先進AI部門は今後2年で10億ドル(約1580億円)規模に成長する可能性があるものの、「従来型の案件への圧力を完全に相殺することはできない」と指摘している。

インフォシスは3年前、生成AIを活用したサービスを提供する「Infosys Topaz」を立ち上げ、AI分野への本格参入を果たした。同サービスの売り上げは、6月30日までの四半期における同社の売上高51億ドル(約8070億円)の8.2%を占めた。一方のウィプロは昨年、AIサービスの「Wipro Intelligence」を展開。最高経営責任者(CEO)のスリニ・パリアは、これが「クライアントが確信を持って事業規模を拡大し、AI駆動型の世界をリードするのに役立つ」と述べた。3月には、企業のAI導入を加速させるため、エヌビディアの「Nvidia AI Enterprise」ソフトウェアを活用したAIデータセンター・ソリューションを発表した。

5F Worldのナタラジャンは、こうした取り組みが、2025年に3000億ドル(約47兆5000億円)超の売上を記録したIT業界において、今後2〜3年で1桁台後半の売上成長につながるとみる。「AIは、インドのテックサービス企業にバリューチェーンのさらに上流へ進み、AI活用型組織の設計者としての立ち位置を確立することを促した」と彼は語る。課題は、エントリーレベル職の人材のリスキリングだと同氏は指摘する。

(forbes.com 原文)

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