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経営・戦略

2026.10.11 08:59

ステフィン・カリーに学ぶ、CEOのための長期活躍戦略

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ステフィン・カリーは、オリンピックの金メダリストであり、4度のNBAチャンピオン、2度のレギュラーシーズンMVP獲得など、数々の輝かしい実績を誇る。プロ18年目のシーズンを迎える今も、彼はコート上でさらなる高みを目指す意欲に満ちている。トップレベルのパフォーマンスを維持し、再び王座を狙えるという自信も揺らいでいない。昨シーズン、膝のトラブルで2カ月間の離脱を余儀なくされたことで、彼のトレーニングや準備において「ロンジェビティ(現役維持・長期活躍)」の重要性は一段と増した。

先日のCNBCのインタビューで、カリーは引退について毎日考えていると明かした。「その意識が自分の取り組み方や準備の仕方に影響を与えている」と彼は語っている。

バスケットボールコートで最高のパフォーマンスを維持するにせよ、企業の取締役会で卓越した腕を振るうにせよ、どのような分野であれ長期的な活躍には絶え間ない適応が求められる。実績のあるアスリートにとってもエグゼクティブにとっても、自己再定義(セルフリインベンション)とは、情熱的な野心を抱き続けながら、変わり続ける環境に対応し、変化する自身の能力に適応していくことを意味する。

「ロンジェビティ」がリーダーシップの経験価値を守る

敵地のプレッシャーの中でプレーオフ終盤に冷静にフリースローを沈めることであれ、不確実なビジネスの荒波の中で組織を導くことであれ、チームが重宝するのはプレッシャー下で真価を発揮できる人材だ。

経験はプレッシャーが頂点に達した状況を打開する助けとなるが、その経験を活用し続ける能力を維持させるのは「健康」だ。

取締役会にとって、経験豊富なCEOは大きな価値をもたらし得る。景気後退を乗り越え、成功した買収と失敗した買収の双方を目の当たりにし、複雑な課題の解決や扉を開くことにつながる人間関係を何十年にもわたって築いてきた可能性が高いからだ。

52歳のCEOは、長年の経営経験を通じてビジネスに多大な貢献ができるかもしれない。しかし、そのリーダーを支える身体的・認知的能力は、現時点で課されている要求や将来の試練に対応できるレベルを保てているだろうか。

プロスポーツチームは、契約前のメディカルチェックを通じて才能と健康のバランスを評価する。選手のこれまでの実績は投資の正当化につながるが、健康状態を評価することで、将来どれだけ貢献できるかについての極めて重要な見通しが得られるのだ。

ロンジェビティには「進化する準備」が必要

身体的な能力を保つこと、精神的な鋭さを維持すること、経済的な安定を確保すること、あるいは自らの分野の最前線に立ち続けることには、絶え間ない適応が求められる。

カリーの取り組む準備は、そうした進化の具体例を示している。サンフランシスコ・クロニクル紙によると、長年彼のトレーナーを務めるブランドン・ペインは今年、カリーに過去最も過酷なメンタルトレーニングを課したという。

そのドリルの1つでは、色付きの数字が表示されるiPadが使われた。それぞれの色が特定の動きに対応し、数字がシュートを打つ前の動作回数を指示する。組み合わせが刻々と変化するなかで、カリーは情報を素早く処理し、瞬時に実行することが求められた。

ペインはカリーとタッグを組み始めた初期から、彼のキャリアのこの段階を見据えて準備を進めてきた。身体能力に変化が生じるなかで、情報処理能力と意思決定能力を強化することを目的としていたのだ。また今夏は、カリーに必要なリカバリーの度合いを把握するため、身体的な負荷量にも変化を付けた。このアプローチは、実績あるエグゼクティブや起業家にとっても非常に示唆に富むものである。

キャリアの初期には、アスリートはスピードや爆発力、素早い疲労回復に大きく頼ることができる。しかしキャリアが進むにつれ、相手の動きを予測することや、どこでエネルギーを集中投入すべきかを見極めることの価値が高まっていく。

CEOや創業者にとっても同様だ。若手の頃は、際限のない長時間労働に耐え、細部にまで干渉し、不規則な健康習慣を無視することができていたかもしれない。

しかしビジネスが拡大するにつれ、リーダーシップにおいては人間関係の構築や権限委譲、チームの育成がより強く求められるようになる。こうした強みを活かし続ける能力を維持するためには、リーダー自身の健康にも同様に意図的なフォーカスを当てる必要があるのだ。

ロンジェビティがリーダーの最も価値ある時期を延ばす

ビジネスにおけるキャリアを通じて、経験、人間関係、判断力は複利のように積み上がっていく。リーダーのキャリア後半は、多くの場合、そうした強みを存分に発揮する絶好の機会となり、従業員、投資家、家族、そして地域社会にまで波及する大きな利益をもたらす。

カリーの挑戦し続ける姿勢は、数十年にわたり輝かしい実績を残してきた人物であっても、社会やチームに貢献できる能力がまだ十二分に残されており、この先に有意義な章が数多く残されていることを思い出させてくれる。そして、絶え間ない自己適応こそが、そうした可能性を手の中に留め続ける手段なのだ。

リーダー個人の能力が価値創造の推進力と密接に結びついていることを踏まえれば、ロンジェビティ(長期的なパフォーマンス維持)は取締役会での戦略的議論において重要な議題となるべきだ。CEOや創業者にとってのロンジェビティとは、事業を成長させ続け、人を育て、より大きなアイディアを追求し、自分たちの世界における「優勝」を勝ち取り続ける能力を守り抜くことなのだ。

(forbes.com 原文)

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