会社を築き上げ、現在は他の経営者を指導してきた30年間、私は戦略、組織文化、燃え尽き症候群について数え切れないほどの対話に立ち会ってきた。だが、こうした問題の大半を根底で支えている仕組みについて語られることは、ほとんどない。その仕組みとは、エゴである。
残念ながら、多くの人は「エゴ」という言葉を聞くと、傲慢さ──自分のことばかり話し続ける経営者──を思い浮かべる。しかし、それは私が使う定義ではないし、自分自身の人生で検証に耐えてきた定義でもない。
私が今理解しているエゴとは、自分が感じてきたあらゆる恐れと、安全を感じるために何を成し遂げなければならないかについて自分に語ってきたあらゆる物語から編み上げられた、絶えず流れる語りである。それは性格特性ではない。むしろソフトウェアのように振る舞う。幼少期の経験によってインストールされ、あなたが下すほぼすべての決断の背後で静かに作動し続けているのだ。
敵ではなく、野生馬
私はエゴを、打ち負かすべき敵というより、野生の馬のように捉えている。手なずければ、野生の馬は一人で進むよりも速く、遠くまで運んでくれる。放し飼いにすれば、同じ動物があなたを振り落とし、進路に立ちはだかるものを踏みにじる。
エゴも同じように働く。私にゼロから会社を築く原動力を与えてくれたのはエゴだった。だが同時に、創業初期の私は衝動的に人を解雇し、見込み客を執拗に追い回したあげく、「二度と電話してくるな」と言われるほどの評判を手にしてしまった。
理解するのに最も時間を要したのは、エゴは「今この瞬間」の中では生き延びられないという事実だ。エゴには、再生すべき過去か、心配すべき未来が必要なのだ。写真アルバムが振り返って眺めるときにだけ意味を持つのと同じである。
たった1日でいいので自分の心を観察してみてほしい。すでに起きたことや次に起きるかもしれないことに比べて、今目の前で実際に起きていることに意識が留まっている時間がいかに少ないかに気づくはずだ。
主人から従者へ
エゴを消し去ることは不可能であり、有用でもない。しかるべき場所に収まったエゴは、あなたのスケジュールを組み立て、現実の危険からあなたを守ってくれる。目指すべきは「処刑」ではなく「降格」である。意識があなたの人生を動かし、エゴはそれに報告する側に回る──これが本来あるべき関係だ。
Forbesシニアコントリビューターのネル・デリック・デベボイス氏は、本誌に掲載された私についてのプロフィール記事で、これと同じ捉え直しの一形態を紹介している。彼女は、本当の問いは、私が自信過剰だったのか、野心的すぎたのかではなかったと書いている。問題は、私が日々行っていたことのどれだけが、その瞬間に応答する真の知性から来ていたのか、そしてどれだけが、もはや当てはまらない状況のなかで何十年も前にインストールされた自動反応から来ていたのか、ということだった。
リカバリー支援団体「Roots Through Recovery」で神経可塑性について執筆するヘナ・ジェロニモ氏も、自身の言葉で関連する指摘をしている。彼女は、古い防衛的なパターンを硬直化させる脳のメカニズムこそが、継続的な注意を向ければ、それらを緩めることを可能にするメカニズムでもあるのだと述べている。
エゴは必ず仕事場に現れる。会議を仕切るのか、それとも部屋の後方で静かにメモを取るのか。それは毎日、私たちが選ぶことである。



