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旅

2026.10.12 08:00

EUが民泊の制限に向けた動きを加速 観光地の住宅不足問題に介入へ

スペイン・バルセロナの観光名所サグラダファミリア付近で行われた過剰観光に対する地元住民の抗議活動。2025年6月15日撮影(Lorena Sopena/Europa Press via Getty Images)

スペイン・バルセロナの観光名所サグラダファミリア付近で行われた過剰観光に対する地元住民の抗議活動。2025年6月15日撮影(Lorena Sopena/Europa Press via Getty Images)

欧州連合(EU)の行政府、欧州委員会は、旅行者向けの短期賃貸(民泊)を制限するための枠組みを提案した。これにより、オーバーツーリズム(過剰観光)の緩和が期待されている。

EUの法案は、旅行者向けの短期賃貸を、欧州各地のどこで、どのように削減すべきかを判断する一助となる。一部の観光地では、こうした物件のせいで地元住民向けの住宅供給が減り、過剰観光による圧力が強まっていると指摘されている。EUの法案は、単なる住宅問題にとどまらず、賃借人が現在の住居に住み続けられるか、あるいは所有者が物件を賃貸に出せるかといった問題にも影響を及ぼす可能性がある。

EUが住宅不足問題に介入へ

この法案は、米民泊仲介大手エアビーアンドビーなどが運営する短期賃貸サービスを禁止するものではないが、当局が住宅供給の逼迫(ひっぱく)状況を評価するためのEU共通の枠組みを構築するものとなる。これにより、短期賃貸が周辺の住宅の家賃や供給状況に少なくとも3年間にわたって影響を及ぼしていることを実証できる場合、地元当局は適切な規制を講じられるようになる。

EUは欧州の住宅供給の現状について次のように指摘している。「住宅価格の適正さは、EU全域、特に住宅需要が供給を大幅に上回る特定の都市や島しょ部、観光地で深刻な課題となっている。住宅供給の不足が構造的な要因であり続けている一方で、居住以外の用途に関連する需要が、一部の地域で住宅価格に対する圧力を強めている」

過剰観光が浮き彫りにする「資源」の問題

過剰観光には複数の要因が絡み合っている。特定の場所に観光客が集中することや、旅行者が地域社会に十分な還元をせずに資源を利用すること、さらに地元住民が資源を利用しにくくなることといった問題が挙げられる。

過剰観光が原因で増大する廃棄物の処理や、処理体制の不備が問題となっている地域もある。例えば、米ドラマ『ホワイト・ロータス』第3編の舞台として注目を集めたことで、観光客が急増したタイ南部サムイ島では、1日当たり200トンに上る廃棄物の多くが解決策のないまま埋立地に放置されている。こうした現状から、米旅行誌フォダーズは2025年、同島を「訪れるべきではない場所」に指定した。

また、地域住民がビーチや公園といった公共の場を利用できなくなるほど混雑が深刻化している地域もある。ポルトガルの首都リスボン近郊のアラビダ自然公園では、5つのビーチを私有化しようとする高級不動産会社に対し、地元住民が抗議運動を行った。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は同自然公園を生物圏保護区に指定しており、地元住民は海で泳いだりビーチを訪れたりする権利を基本的人権と捉えている。ポルトガル国民の約3分の1が1週間の旅行に出かけるだけの経済的余裕がないという現状を考えれば、この問題はなおさら深刻だ。

しかし多くの場合、最大の問題となるのは宿泊施設だ。地元住民が抗議活動で常に指摘しているのは、短期賃貸の方が収益性が高いため、不動産所有者は長期居住者向けの賃貸より短期滞在者向けの宿泊施設としての貸し出しを優先するようになる点だ。その結果、地元住民の手が届く手頃な家賃の住宅が圧倒的に不足するようになった。

欧州で急拡大する短期賃貸市場

短期賃貸の制限はこれまで、手頃な価格の住宅不足の解決にはつながらないと考えられてきた。一方で、短期賃貸は観光客の収容の面で大きな比重を占めている。EU統計局によると、旅行予約サイト大手のエアビーアンドビー、ブッキングドットコム、エクスペディアを通じて2025年に予約されたEUの短期賃貸物件の宿泊数は前年比11%以上増加し、合計で9億5160万泊に上った。うち、フランスが2億1300万泊、スペインが1億8900万泊、イタリアが1億3900万泊を占めた。欧州の短期賃貸市場は2018年以降、ほぼ2倍の規模に拡大している。

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翻訳・編集=安藤清香

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