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2026.10.17 12:00

グーグルが原発11基の改修で電力を確保、AI時代に鮮明になる地域格差

Andreas Prott - stock.adobe.com

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グーグルは、米国時間2026年10月6日、原子力発電事業者コンステレーション・エナジーと20年契約を結んだ。データセンター向けの電力を確保するため、コンステレーションが既存原子炉11基の改修で増やす発電分、計890メガワットをグーグルが買い取る。原発を新設する必要はない。

対象はイリノイ、ペンシルベニア、ニュージャージーの3州にある原子炉だ。長期契約により、コンステレーションは43億ドル超(約6794億円)を投じる見通しだ。増強分は大型原子炉約1基に相当する。追加電力は、米国13州と首都ワシントンにまたがる広域送電網へ供給される。同地域の送電網と電力卸売市場を運営するPJMインターコネクションは、約6700万人の電力供給の信頼性を支えている。

AI向け電力を巡り、原発が稼働する州としない州で広がる格差

コロラド州では事情が大きく異なる。電力会社エクセル・エナジーが運営する州内最大の石炭火力発電設備「コマンチ3」は、タービン故障で13カ月間停止し、2026年9月に運転を再開した。発電設備の停止で生じた供給不足を補うため、規制当局は同じ発電所にある運転開始から50年の「コマンチ2」を退役予定後も稼働させた。エクセルは他の電力会社からも電力を購入した。コロラド州には出力を増強できる原子炉がない。州内唯一の原発だったフォート・セント・ブレインは1989年に閉鎖された。

24時間使える電力が、データセンターや工場の投資先を左右する

グーグルの原発改修契約とコロラド州の石炭火力への依存は、米国内で電力確保の地域格差が広がっていることを示す。天候に左右されず24時間発電できる「安定電源」を確保できるかどうかが、企業の進出先を左右する要因になりつつある。既存原発が稼働する州では、グーグルのような技術企業が改修費を負担し、原子炉の発電能力を増やせる。原発がない州は、米国内でまだ稼働していない小型モジュール炉の実用化を待つか、次世代の地熱発電などへ投資する必要がある。代わりに、退役予定の老朽石炭火力を延命したり、天然ガス火力を増やしたりする選択肢もある。AI向け電力需要の増加と石炭火力の退役が重なるにつれ、地域ごとの電力供給能力の差が、データセンターや工場の建設地、企業の投資先を左右することになる。

AI向け電力需要の拡大に対応して発電設備へ投じる資金は、二酸化炭素を排出しない電源の整備に振り向けるべきだ。風力と太陽光で増大する需要に応える電力量を確保し、原子力の安定した発電によって、再生可能エネルギーの割合が高い送電網の信頼性を支える。コンステレーションの最高経営責任者(CEO)、ジョー・ドミンゲスは、グーグルとの契約について「技術企業とエネルギー業界が協力する方法のモデルになり得る」と述べた。政策当局に問われるのは、既存原発がない州でも、技術企業との長期契約を通じて新たな発電事業への投資を促せるかどうかだ。

原子炉の改修で、新設より早く電力を増やせる仕組み

原子炉の「出力増強」は、既存設備を改修して発電能力を高める方法だ。発電所のタービン、蒸気発生器、制御装置を更新し、政府の承認を受けて発電量を増やす。既存の発電所には許認可と運転要員がそろい、送電網への接続も済んでいる。用地を探したり、送電網への接続を何年も待ったりする原発新設の工程を、大幅に省ける。コンステレーションは2028年までに、最初の出力増強を実施する見込みだ。グーグルによると、890メガワットの増強分すべてが2032年末までに稼働する。

グーグルは改修費を全額負担、米政府は出力増強と再稼働で5ギガワットを目指す

PJMは大規模な新規電力需要家に対し、消費する電力を賄う発電能力も自ら確保するよう求める制度を提案している。グーグルの契約は、大口需要家が自ら必要な発電能力を確保するというPJMの提案を試す事例になる。グーグルの電力調達部門で商務を担当するパトリック・テイラーは、「当社の電力購入契約で、各発電所の出力増強工事にかかる費用の100%を賄う」と説明した。

テイラーによると、グーグルにとって過去最大の原子炉出力増強契約だ。グーグルは原発の出力増強と再稼働を支援してきた。追加が可能になった原子力発電能力は、計1.5ギガワット超に達するという。米エネルギー省は、2029年までに出力増強と再稼働で計5ギガワットの発電能力を追加する目標を掲げる。ただし、大半は計画段階だ。出力増強の許可申請の多くも、2027~2028年に提出される見通しとなっている。

中国は原子炉36基を建設中、米国は既存設備の改修を急ぐ

中国では原子炉36基を建設中で、完成すれば約39ギガワットの発電能力が加わる。世界で建設中の原発による発電能力の半分近くを占める規模だ。米国政府が短期的に目指すのは、主に数十年前に建設した原発から発電能力をさらに引き出すことだ。既存設備の改修は時間を稼ぐ手段にはなるが、中国の原発建設ペースに追いつく戦略とはいえない。

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