より困難な課題に取り組むチームもある。彼らは真の「共創」を構築する。集団でアイデアを生み出し、あらゆる方向にフィードバックが行き交い、誰ひとりとして単独では到達できなかった成果を生み出す会議を行う。リーダーシップ開発における大半の尺度において、それこそがゴールラインとされる。
しかし、筆者の経験では、それは最後から2番目のゴールにすぎない。真のコラボレーションに到達したチームは、1つ目よりも静かで、見過ごすと極めて高くつく「第2の境界線」に突き当たる。彼らが構築した「私達(We)」は、依然として会議室の壁の中で終わっているのだ。
コラボレーションが機能している時でさえ直面する限界
近年のリーダーシップ研究も、この点へと収れんしつつある。システム・リーダーシップに関する2025年の定性的システマティック・レビューは、複雑な環境における効果的なリーダーシップは、単一チームの枠組みを大きく超え、組織、制度、文化の境界を越えて利害を一致させ、行動を喚起することにかかっていると結論づけている。
2026年に発表された2000年から2025年までを対象とする責任あるリーダーシップ研究に関する別のシステマティック・レビューは、公式な組織の外部にいるステークホルダー(顧客、地域社会、規制当局、さらには将来の世代)にまで広がる「関係的説明責任」への分野的シフトを追跡している。
重要な意思決定から主要なステークホルダーを排除した企業に関する『ハーバード・ビジネス・レビュー』の分析は、そのパターンを具体的に記録している。遅延、多額の費用を伴う撤回、信頼の崩壊——そのいずれも、最終的な結果には影響を受けるにもかかわらず、議論の場に不在だったグループに起因している。
これら3つの研究はすべて、同じ構造的ギャップを指し示している。ジェネラティブ(生成的)なチームは、自らの「私達」のために見事に最適化を図る。しかし、その「私達」が他に誰に影響を与えるのかを問うことは滅多にない。なぜなら、その部屋には彼らを代弁する者が誰もいないからだ。
成功に見える症状
メタ(Meta)が、つながりよりもエンゲージメントを優先するような形で中核アルゴリズムを再設計した際、影響を受ける「私達」とは、その部屋にいなかった何十億人ものユーザー、青少年のメンタルヘルス研究者、そして最終的には2つの大陸の立法者たちであった。初期の対応は管理可能なように見えたかもしれない。だが違った。規制リスクや1日で2320億ドル(約36兆7000億円)におよぶ時価総額喪失といった要素で測定される波及コストは、迅速かつ痛烈に到来した。ただし、時価総額の変化には他の要因も寄与した可能性があることは注記しておくべきだろう。
その境界線は、内側にいる者からは見えにくかったはずだ。この段階にあるチームは、内部のあらゆる指標において概して絶好調である。強い信頼、真の共創、意見を述べる資格を持つ全員の精査に耐えうる意思決定。会議室にいる全員が合意しているがゆえに、戦略が健全に見えてしまうのだ。
このような会議の外に置かれたままになるのは、計画の中でひそかに優先順位を下げられたステークホルダー層や、誰もモデル化しなかったトレードオフを引き継ぐ末端のチーム、利害が一度も考慮されなかったパートナーや地域社会である。このギャップは意図的というより構造的なものだ。チームの定義する「私達」の範囲は会議室内に限定されがちであり、その範囲外にいるすべての人々は、結果が自分たちに及ぶまで見えない存在であり続ける。
次のシフトを示す問い
コラボレーションが真に機能し始めたら、筆者は経営チームに次のような問いを投げかける。「この意思決定において、経験が欠けているのは誰か?」。その答えが「誰もいない」になることはめったにない。大抵は、コラボレーションが心地よいと感じ始めた瞬間にチームが見失ってしまった、具体的で名前を挙げられるグループである。
もう1つの問いも同様の効果をもたらす。「私達は自チームの成功のために解を出そうとしているのか、それともシステム全体の成功のためか?」。この閾値に達していないチームは、反射的に前者と答える。境界線を越え始めたチームは躊躇する。なぜなら、その2つが乖離し得ることに気づき始めているからだ。
境界線がコストに変わる前に追跡すべきこと
この段階にあるチームは、自らの限界を声高に宣言したりはしない。その兆候は行動にあらわれ、順調に運営されている組織の中では見落とされやすい。数カ月後、元の会議に不在で、いれば結果を変えていたはずの人々によって意思決定が再検討される。プロセスの最初から適用される視点ではなく、プロセスの終盤になって「ステークホルダー」が検討項目として浮上する。成功指標はシステム全体の成果(アウトカム)ではなく、チームの産出物(アウトプット)を測定する。チームは自らの価値観を流暢に語るが、それを実践することによって部屋の外の誰が影響を受けるかを特定するには、著しく長い時間を要する。
2025年の『カリフォルニア・マネジメント・レビュー』の研究は、ステークホルダー意識に関する経営陣の4つの慢性的な盲点を特定しているが、それらはすべて同じ根本原因を指し示している。リーダーシップチームは、社内の結束(アライメント)が最も強く感じられるまさにその瞬間に、自分たちが誰に影響を与えているかを見失うのだ。
盲点は、破綻ではなく境界線の存在を示している。そして境界線こそが、次の真のコストが潜む場所なのだ。システムの中に他に誰が存在しているのかを一切考慮しなかった「優れた意思決定」の内側に。
欠けている存在を表面化させるプロトコル
重要な意思決定を確定させる前に、会議室で次のステップを実行するとよい。
・意思決定を行う者に加えて、この決定の結果を経験することになるすべてのグループを挙げる。全員が見える場所にそのリストを書き出す。
・リストに挙げられた各グループについて、彼らの経験を正確に代弁できる人が部屋の中にいるかどうかを問う。正直な答えが「ノー」である場合、それを意思決定に必要な情報として扱う。
・最も見落とされそうなグループの視点から決定に対して異論を唱える人物を1人割り当てる。その任務は結論を拒否することではなく、会議室でまだ考慮されていない事項を表面化させることである。
・決定が実行されてから90日後にリストを再確認する。挙げられたグループのうち、会議室で予測された通りの結果を実際に経験したのがどれくらいかを追跡する。
このプロトコルは合意形成ではなく視点を求めるものであり、思っているよりも迅速に実行できる。不可視だった境界線を可視化されたリストへと変換するものであり、ジェネラティブなチームは可視化されたリストを扱うことをすでに得意としている。
さらなるシフトは、チームを「自分自身について考える」ことから「自分が属する全体について考える」ことへと移行させる。そして、その能力を意図的に構築するよう求められたことのあるリーダーはごく稀だ。戦略の健全さは、それを形作った最も広い「私達」の広さに左右されるのである。



