SEOおよびデジタルマーケティングのストラテジストとして、新規クライアントと仕事を開始する際、私が最初に行うことの1つがウェブサイト監査だ。戦略立案やコンテンツ計画の前に、まずは自社が置かれている状況を把握する必要がある。20年以上にわたり数千件の監査を行ってきた中で、まったく同じ3つのB2Bにおける間違いが非常に高い頻度で見られるため、サイトを開く前から予想できるほどだ。
これらは、マニアックで難解な技術的問題ではない。自社のウェブサイトがビジネス開発ツールとして機能するか、それとも単にプロっぽく見えているだけで何も生み出さない単なる飾りで終わるかを左右する根本的な問題だ。修正に何カ月もかかるものは1つもない。大半は、集中して取り組めば数日で対応できるものばかりだ。
まずは「5分間のテスト」を試す
大半のB2B企業がまだ受け入れていない事実がある。それは、現在のウェブサイトが2つの異なるオーディエンスにサービスを提供しているということだ。サイトを閲覧する「人間」と、自社を他者に推薦すべきかどうかを判断する「マシン(機械)」である。
次のようなテストを試してみてほしい。自分が買い手(バイヤー)になったつもりで、自社が提供するサービスをGoogleで検索してみる。次に、複数の主要AIエンジンにデータを提供しているBingで検索する。そしてChatGPTに対して、自社の事業分野で誰を推奨するか尋ねてみるのだ。そこに自社は表示されているだろうか。その情報は正しいだろうか。
私が一緒に仕事をしている経営幹部のほとんどは、これを一度も試したことがない。そして、そこで目にする現実は、たいてい議論の前提を一変させる。
間違い1:メッセージが他社と同じに聞こえる
同じ業界のB2Bウェブサイトを5つ開き、ホームページのコピーだけを見てそれらを区別できるか試してみてほしい。「結果を出す革新的なソリューションを提供します」「将来を見据える企業とパートナーシップを組み、成長を引き出します」といった具合だ。
どれも同じように聞こえる。人間が10秒で違いを判別できないなら、検索エンジンやAIツールにも間違いなく判別できない。
このようなことが起きる原因は、大半のB2B企業がメッセージを自社起点(インサイド・アウト)で作成しているからだ。買い手が聞くべき情報ではなく、自社が言いたいことを記述している。その結果、プロフェッショナルな雰囲気は醸し出せるものの、具体的には何も語っていないコピーが出来上がる。
解決策は、ひとつの質問から始まる。見込み客が自社のホームページだけを読んだとき、「自社が何をしているのか」「誰のためにそれを行っているのか」「検討中の他の4つの選択肢ではなく、なぜ自社を選ぶべきなのか」が理解できるだろうか。夕食会で出会った人に自分のビジネスを説明するように書いてみるとよい。「お仕事は何をされているのですか?」と聞かれて「革新的なソリューションを提供しています」と答える人はいない。もっと具体的で現実的な言葉を使うはずだ。
間違い2:機械がサイトを理解できない
見た目が洗練されていて質の高いコンテンツを備えているB2Bウェブサイトであっても、そこにある内容をマシンが解釈するのを助ける技術的なレイヤーが欠けているために、検索エンジンやAIツールからほとんど認識されない場合がある。
ここで言っているのは構造化データ(スキーママークアップ)のことだ。検索エンジンやAIシステムに対し、自社がどのような企業で、どんなサービスを提供しており、誰がキーパーソンであるのかを伝えるコードである。
私が監査するB2Bサイトの大半には、これがほとんど設定されていない。情報はテキストの中に存在するものの、人間にしか読めない状態になっている。これは、ドアに看板が出ていない店舗のようなものだ。
解決策:組織(Organization)スキーマを実装し、提供するサービスごとにサービス(Service)スキーマを追加し、Googleのリッチリザルト テストを使用して現在設定されている内容を確認する。AIツールが買い手のベンダー選定プロセスに組み込まれるにつれ、適切な構造化データを備えた企業が推薦されやすくなる一方、備えていない企業はスキップされる可能性が高くなる。
間違い3:指名検索でしか見つけてもらえない
この間違いは見落とされやすい。サイトにはある程度のトラフィックがある場合があるからだ。しかし詳しく調べてみると、そのほぼすべてが企業名を直接検索したユーザーからのアクセスであることが判明する。自社の存在をまだ知らない買い手にアプローチするためのオーガニックな流入経路(エントリーポイント)が存在しないのだ。
買い手がGoogleに入力したりAIツールに尋ねたりする具体的な質問をターゲットにしたページが存在しない。ブランド名ではなく解決策を探している調査初期段階のユーザーに向けたコンテンツもない。つまり、そのサイトは紹介やアウトバウンドマーケティングを通じてすでに自社を知っている人にしか機能していないのだ。
これは大きな問題だ。ウェブサイトを持つ本来の目的は、自社が提供する製品やサービスを必要としていながら、まだ自社の存在を知らない人々に見つけてもらうことにあるからだ。自社の名前を入力することでしかサイトに到達できないのであれば、オンラインの成果をオフラインの評判に完全に依存していることになる。そして、検索やAIを通じて情報収集を開始する買い手が増えるにつれ、その格差は広がる一方だ。
解決策:買い手が自社の存在を知る前に投げかける10〜15の質問を特定する。それらの質問に対し、買い手が実際に使う言葉を用いて対応するページを構築する。各ページを単に「誰も見つけられない家の中の一室」にするのではなく、自社ビジネスへの「玄関口」として機能させるのだ。
3つの間違いをすべて解消するとどうなるか
これらの修正は、個別に実施してもそれぞれ効果がある。しかし、3つを組み合わせることで、オンラインにおけるビジネスの露出度が劇的に変化する。AIの推奨リストに一切表示されなかったB2B企業が、定期的に参照されるようになる姿を私は何社も見てきた。それはサイト全体を大改修したからではなく、自社の定義をより明確にし、マシンが解釈できるようにサイトを構造化し、自社名を知らない人々のための流入経路をいくつか構築したからだ。
これには莫大な予算は必要ない。必要なのは、マシンが自社のビジネスに接したときに実際に何を見ているのかを確認し、そのギャップを埋めようとする意思だ。大半の企業はまだこの取り組みに着手していない。これこそがチャンスなのだ。今動き出している企業は、月日が経つにつれて追いつくのが難しくなるアドバンテージを、静かに築きつつある。



