私たちの多くは幼い頃に、賢いということは頭の回転が速いことだと学ぶ。学校では最初に手を挙げた生徒が一番よく知っているように見えることが多く、そうした印象は大人になってからもついて回る傾向がある。そのため、答える前に間を置いたり、タスクを終えるのに予想以上に時間がかかったりする人は苦戦しているのだと思い込みやすい。
しかし、その思い込みは往々にして間違っている。慎重で多層的な思考に密接に結びついている習慣の中には、他の人がペースを上げるまさにその瞬間にあえてペースを落とす、というものがある。
傍から見れば、それは躊躇しているように見えるかもしれない。だがその根底にあるのは多くの場合、第一印象を鵜呑みにせず、物事を理解しているように見せることよりも本当に理解することを重視する姿勢だ。この記事ではそうした習慣2つと、それらが効果的である心理的背景を説明する。
習慣1:誰もが簡単だと思う問題で躊躇する
バットとボールの合計価格は1ドル10セントで、バットはボールより1ドル高い。では、ボールはいくらか。大半の人は1、2秒以内に「10セント」と答える。正解は5セントだ。そして正解にたどり着くのはたいてい、一見明らかに正しいと思える答えを一呼吸置いて確かめた人たちだ。
このクイズは認知反射テストの一部で、自分の直観的な反応をどの程度進んで疑うことができるかを測るものだ。二重思考プロセス理論に基づいており、速くて自動的な思考方法と、より遅く慎重な思考方法があるという考え方だ。誰もが両方を使っている。
速い思考が出した答えには確認が必要だと気づく頻度は人によって異なる。学術誌『Intelligence』に2022年に掲載された研究では、この傾向が一般知能と密接に結びついていることが明らかにされている。
これに気づくのが難しいのは、直観的な答えほど、強い確信を伴って現れるからだ。メタ認知、つまり自分の思考をどのように監視するかを研究する研究者たちは、これを「正しさの感覚」と呼んでいる。その感覚を伴う答えが浮かぶと、ほとんどの人はそこで考えるのをやめる。一呼吸置く傾向のある人は、「確信があること」と「正解であること」が同じではないことを学んでいる。
これと似たことは職場でも起こる。マネジャーがチームに、プロジェクトにどれくらいの時間がかかるかを尋ねると、ほとんどの人はその場で具体的な数字を挙げる。だが、1人だけ検討する時間を求め、翌日になってレビューの段階や迫っている休暇までを考慮して見積もった長めの時間を示す。会議ではその人は他の全員より自信がないように見えた。数週間後、その人の見積もりが最も正確だったことが判明する。物事にどれくらい時間がかかるかを過小評価する傾向を、心理学者は計画錯誤と呼ぶ。そして、その人がしたように、タスクを構成要素に分解することは、この錯誤に対抗する確実な方法の1つだ。



