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マーケティング

2026.10.10 07:06

初回購入はインフルエンサー、リピートは「品質」が決める

Adobe Stock

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現代のマーケティングは、トライアル(消費者に初めて商品を使ってもらうこと)を生み出すことに極めて効率的になっている。数十年の間、消費者とブランドとの関係は、店舗の棚やケーブルテレビのCMから始まっていた。今日、その始まりの多くは、会ったこともない人物がスマートフォンのカメラに商品を向け、「これは買う価値があります」と語りかける瞬間になっている。

インフルエンサーは、新たな「発見の入り口」となっており、そこへの流入は膨大である。世界のインフルエンサーマーケティングの市場規模は、2025年に約330億ドル(約5兆2200億円)に達した。また、購買行動に関するスプラウト・ソーシャル(Sprout Social)の「インフルエンサーマーケティングの現状レポート(State of Influencer Marketing Report)」によると、現在、消費者の86%がインフルエンサーをきっかけとした購入を毎年少なくとも1回は行っている(レポート全文の閲覧には登録が必要。調査は2024年2月、少なくとも1つのSNSアカウントを持ち、5つ以上のブランドをフォローしている米国および英国の消費者2000人を対象に実施された)。認知からトライアルまでの距離はかつてないほど縮まっている。消費者は商品を目にしてから、わずか数分で購入に至ることができる。

インフルエンサーはブランドに取って代わったわけでも、商品体験の重要性をなくしたわけでもない。彼らは認知からトライアルまでのギャップを崩し、縮めたのだ。初回の購入を促すことはかつてないほど容易になった。だからこそ、より重要な問いが浮かび上がる。2回目の購入を勝ち取るものは何なのか、ということだ。

インフルエンサーが導けるのは、ある段階まで

多くのブランドは現状を見誤り、トライアルをスタートラインではなくゴールラインのように扱っている。インフルエンサーの価値は、その名前の背後にある商品次第である。彼らはトライアルを生み出すことはできても、その後に続く体験を生み出すことはできない。そして消費者はその違いを知っている。インフルエンサーは招待状であり、商品が評決を下すのだ。

これこそが、現在進んでいる軌道修正だと私は考えている。消費財(CPG)において最も強力な力を持つのは、インフルエンサーによる推奨ではなく、それを肯定、あるいは否定する「実際の使用体験」である。絶賛する動画と、使ってみてがっかりした最初の体験は、相殺されることはない。失望が勝利し、その印象が定着する。

これら2つの結果が展開する様子は、現在進行形で目にすることができる。

CNBCの記事が説明しているように、スタンレー(Stanley)は2016年以降、本質的に同じ40オンスのタンブラーを販売していた。この商品はあまりにも見過ごされていたため、同社はマーケティングすら停止していた。しかし、このカップのファンである少数のクリエイターたちが自らのオーディエンスに紹介すると、商品そのものが残りの役割を果たした。売上は急増し、同社はより多くのカラーバリエーションでタンブラーを再発売した。さらに、限定発売やコラボレーションを継続することで、買い物客が再び購入する理由を提供し続けた。CNBCによると、同ブランドの年間売上高は、約7000万ドル(約111億円)から2023年には約7億5000万ドル(約1190億円)へと急上昇した。インフルエンサーの影響力が扉を開き、商品そのものが家庭での地位を勝ち取ったのだ。

次に、プライム(Prime)の例を考えてみよう。YouTubeのトップスター2人が2022年に立ち上げたこのスポーツドリンクは、熱狂的なブームを巻き起こした。Wiredの報道によると、同社は2022年度に2億5000万ドル(約396億円)の小売売上高を記録した。しかし、目新しさが薄れると需要は冷え込み、2024年末までに、一部の市場において年間売上高が最大70%減少したと報じられている。

たとえブランドの認知拡大が本物であったとしても、リピート購入を勝ち取ることは往々にしてはるかに困難である。

「2回目の購入」にこだわる

インフルエンサーを活用したものであれ、それ以外のものであれ、マーケティングが買い取るのは最初の購入である。事業は2回目の購入の上に築かれる。

すべてのブランドが執着すべき問いは極めてシンプルである。その商品は、消費者が「もう一度欲しい」と思うほど強力な体験を生み出しているだろうか。大半の消費者は、生活に新たな商品を加えようとは考えていない。収納棚はすでにいっぱいで満たされている。永続的なポジションを獲得するためには、通常、新商品は既存の何かと置き換わらなければならない。そのためには、競合製品よりも明らかに優れた役割を果たす必要がある。

これがクリアすべきハードルであり、その基準は容赦ない。「まあまあ良い」程度の商品は、一度は試されるものの、以前使っていた商品が再び目に入れば静かに見捨てられる。真のニーズを既存商品よりも見事に満たすものであれば、何も考えずに再び購入される。過去1年間に、商品やサービスの体験が悪かったという理由で、あるブランドからの購入をやめた消費者は50%以上にのぼる。

消費者の「言葉」と「習慣」の間にあるギャップ

私は、商品が店頭に並ぶ前に消費者がそれを使用する様子を観察することを仕事にしており、その中で最も一貫して見られるギャップは、「購入すると口にするもの」と「最終的に日課(ルーティン)として定着するもの」の間にある。

消費者は実際には、2つの異なる問いに答えている。インフルエンサーは1つ目の問いである「これを試してみるべきか?」に答える。この問いをクリアすることは、かつてないほど容易になっている。しかし、2つ目の問いは、数週間後にキッチンや洗面所の収納棚の中で、商品が単独で答えなければならない。「これは、それまで使っていたものを置き換えるほど、私の生活を向上させてくれたか?」という問いである。

私の経験では、消費者は驚くほど新しいものを試すことに前向きだ。しかし、2回目の購入を納得させることははるかに難しく、ほとんどのブランドが十分なリソースを投じていないのはまさにこの部分である。

本当に問いかけるべきは、どれほど多くの人があなたのブランドを知ったかではない。この商品は家庭での居場所を獲得したか、そして6カ月後もそこにとどまり続けているか、ということだ。

結論

インフルエンサーは、消費者が何を試す価値があるか判断する方法や、トライアルに移行するスピードを変化させた。ブランドが彼らに投資するのは理にかなっている。しかし、その投資ができることとできないことを、冷静に見極める必要がある。インフルエンサーの影響力は、発見とトライアルを促進する。しかし、それ単体でリピートを勝ち取ることはできない。

結局のところ、ブランドにとって最も重要なインフルエンサーとは、提携リストに載っている人物でもアフィリエイトリンクでもない。賢く、懐疑的で、商品が手元に残るに値するかどうかを判断できる「消費者自身」である。商品を正しいものに仕上げれば、彼らが代わりに影響力を発揮してくれるだろう。商品を間違えれば、どれほど認知を広げようとも救うことはできない。

初回の購入は「ローン」である。2回目の購入は、消費者がそれを「返済」するかどうかを決める瞬間なのだ。

(forbes.com 原文)

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