2025年、株式相場が上昇する中で、大手テクノロジー企業は再び人員削減に踏み切った。メタ(Meta)は1月、業績評価の低い従業員を対象に、全従業員の約5%を削減する方針を示した。アマゾンは10月、管理部門などの従業員1万4000人を削減すると発表した。表向きの理由は経営の効率化と人工知能(AI)への注力だ。だが、従業員に付与した株式報酬を失効させ、会社が再利用するという、別の金銭的動機も考えられる。
株価上昇後の解雇で、企業は従業員の株式報酬をどう取り戻すのか
企業が従業員に支給する株式報酬には、譲渡制限付株式ユニット(RSU)がある。一定期間の勤務などの条件を満たすと、株式を受け取れる仕組みだ。例えば、1ユニットを250ドルで評価してRSUを付与された技術者がいるとする。株価が700ドルまで上がると、技術者を雇い続ける会社の負担は大きくなる。権利未確定RSUの時価は、損益計算書で報酬費用として計上した額の約3倍になるからだ。
会社が技術者を解雇すれば、権利未確定のRSUは失効し、別の従業員に付与できる株式報酬枠に戻る。後任者にRSUを付与する際は、上昇後の株価に基づいて評価するため、同じ報酬予算で付与できるユニット数は大幅に少なくなる。従業員が本来受け取るはずだった株価上昇分を、会社側に残すことができるわけだ。
決算発表資料だけでは、株式報酬の失効を通じた利益は見えにくい。手掛かりとなるのが、米国企業の年次報告書「10-K」に記載されるRSUの注記だ。毎年失効したユニット数と、付与日時点の評価額が示されている。メタとアマゾンについて、2021年から2025年までの5年分を比較すると、株価と失効額の関係が浮かび上がる。



