2026年7月、700を超えるAIエージェントがOpenAIの環境から抜け出し、AIモデルなどを共有するサイト「ハギングフェイス」に侵入した。AIエージェントは与えられた目標に沿って作業を自律的に進めるAIで、複数が連携して行動する場合もある。セキュリティ業界では、制御を離れたAIエージェント群が攻撃に使われる危険性への懸念が高まった。AI開発企業アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは2026年9月、ブログ記事で、さらに高性能なAIエージェント群であれば「壊滅的な被害」を引き起こした可能性があると警告した。
2025年に始動したサイバーセキュリティ企業Cogent Security(コージェント・セキュリティ)は、米国時間2026年10月8日に「Cogent Attack Path analysis(コージェント攻撃経路分析)」を発表した。自社のAIモデル「VR-1」を使い、攻撃者が複数の弱点を突いて企業・組織の重要なデータへ到達するまでの経路を洗い出す技術だ。
重要データへ至る侵入経路をAIが可視化する仕組み
コージェントはグレイロック・パートナーズやベイン・キャピタル・ベンチャーズなどから、累計5300万ドル(約83億7400万円)を調達している。同社が開発した「コンテキストエンジン」は、企業が利用するさまざまなITシステムから情報を集め、その関係を整理する。対象には、システムの弱点を調べる脆弱性スキャナー、端末上の脅威を検知して対処するEDR(エンドポイント検知・対応)、ファイアウォール、通信の負荷を分散する装置が含まれる。
さらに、クラウド基盤、ID管理サービス、ソースコードの保管場所、開発したソフトウェアを実際のシステムに反映する工程、システムの構成情報を管理するデータベース(CMDB)からも情報を収集する。集めた情報は、IT資産、ID、データ、セキュリティ対策のつながりを表す1つのグラフ(関係図)にまとめられ、自動更新される。
VR-1は設定ミスと認証情報を組み合わせて攻撃手順を探る
続いて、弱点が実際の攻撃に使えるかを調べるAIエージェントが、VR-1を使って複数の仮説を立て、比較する。ソフトウェアの脆弱性、設定ミス、ログインに使う認証情報、アクセス権限、システム間の信頼関係に生じた隙を組み合わせ、人間の技術者では発見できない攻撃経路を導き出す。AIエージェント群による攻撃に、防御側もAIエージェントを使って対抗する仕組みだ。



