最高のチームを持つ企業が勝つ──私はそう考えるようになった。
ここで言う「最高のチーム」とは、最も華々しい経歴を持つ人々や、スタープレーヤーばかりが集まった集団のことではない。目指す方向について合意でき、組織の境界を越えて連携し、学び続け、そして自ら責任を負うことができるチームのことだ。
当たり前のことのように聞こえるかもしれない。しかし、実践するのは難しい。市場は変化し、戦略は進化する。企業をある段階まで引き上げた人材やスキルが、次の段階を達成するために必要なものとは限らないのだ。
アドビ、ドキュサイン、グーグル、そして現在のレスポンシブでチームの構築と牽引を支援してきた結果、高いパフォーマンスを発揮する組織づくりは、最終的に5つの要素に集約されることが分かった。
1. リーダーシップの方向性を一致させることから始める
多くの経営幹部が十分に投資していない領域が1つあるとすれば、それはトップ層の足並みをそろえることだ。
私がこれまでに共にしたいくつかのリーダーシップチームでは、すべての部門に優秀な人材が揃い、信頼できる計画が立てられていた。しかし、それらの計画は「どこから成長をもたらすか」について、それぞれ異なる前提に基づいていた。
例えば、営業部門と製品部門がそれぞれ異なる顧客層を優先していたり、マーケティング部門が会社として競争する準備ができていない分野で顧客の関心を喚起していたりした。個々の計画は合理的だったが、全体として統合されていなかったのだ。
トレードオフを可視化し、より少数の優先事項に沿って合意した途端、実行は加速した。チームが変わったからではない。進む方向が変わったからである。
リーダーはすべての事柄に合意する必要はないが、いくつかの基本的な問いに対して明確な答えを持つ必要がある。私たちはどこで戦うのか? どうやって勝つのか? 今、最も重要なことは何か? 何を「しない」と選択するのか? そして、進捗をどのように測定するのか?
2. 協働をリーダーの行動にする
ほぼすべての企業がコラボレーションを重視していると言う。だが、それを組織に組み込むことははるかに困難だ。
私たちは、3つの点に焦点を当てることを学んだ。
第一に、単一の部門の成功よりも、会社全体の成功のほうが重要であると信じる経営陣のチームを構築した。物事がうまくいかないとき、他チームの欠点を指摘するのは容易だが、まず自分の組織を見つめ直し、大局的な課題を解決するために自分たちが何を変えられるかを問い直すほうが、はるかに生産的だ。
これは、他所の問題を無視するという意味ではない。強固なチームは、そうした問題について直接話し合う。しかし、問題を指摘することと、その解決を支援することは、まったく別の課題である。
第二に、四半期ビジネスレビュー(QBR)の実施方法を変更した。従来のQBRでは、各部門が業績を報告し、何がうまくいき、何がうまくいかなかったかを説明し、翌四半期の計画を提示する。これは有益ではあるものの、こうした報告は組織の境界線を強化してしまい、過去を振り返ることに時間を費やしすぎる傾向がある。
これに対し、私たちのゴー・トゥ・マーケット(GTM)リーダーシップチームは、共同で対処すべき5つの課題を特定している。そして、複数の部門からなるクロスファンクショナルなグループを編成し、異なる視点から課題を検証させ、具体的な提言を持ち帰らせるようにした。
これにより、QBRの価値は劇的に向上した。分析の質は向上し、提言はより実践的になり、前進するための責任は共有されるようになった。
第三に、顧客ジャーニーと会社全体の成果を共通の判断基準としている。すべての部門が、顧客が当社を見つけて関わりを持ち、製品を購入して稼働させ、価値を実感できるように支援する役割を担っている。リーダーたちは共同で、成長、維持、顧客満足度に責任を負う。営業とマーケティングは共同でパイプラインの創出に責任を持つ。
数値目標が未達だったとき、「どのチームが失敗したのか?」とは問わない。「改善するために、私たちは共に何をすべきか?」と問いかけるのだ。
3. 「次のステージ」を見据えて採用・育成する
優れた採用活動は今でも重要だ。専門知識も同様である。しかし、現在最も知識が豊富な候補者が、将来その役割が変化したときに最も適した人物であるとは限らない。
私は、好奇心、学習の敏捷性(ラーニング・アジリティ)、回復力、判断力、協調性、そして不確実な状況下で行動できる能力をますます重視するようになっている。
また、リーダーは既存の従業員を見落とさないよう注意すべきだ。適さない役割に就いている優秀な従業員は、平凡なパフォーマーに見えることがある。指導的立場を経験したことがない人物であっても、より大きな責任を担う準備ができている場合もある。
人材の成長は、コーチング、率直なフィードバック、ストレッチアサインメント(背伸びが必要な課題)、そして人材に対して思慮深いリスクをいとわないリーダーの姿勢から生まれる。
4. 人員数(ヘッドカウント)ではなく、能力(ケパビリティ)を追加する
ビジネス上の課題を特定すると、すぐに新しい求人枠を設けてしまうリーダーを私は数多く見てきた。
フルタイムの採用が必要な場合もあるが、多くの場合、本当に必要なのは、専門家、請負業者、代理店、テクノロジーパートナー、あるいは既存の従業員を通じて追加できる能力(ケパビリティ)だ。
これはAIに関して特に当てはまる。既存のプロセスに人員を追加する前に、リーダーはそのプロセス自体を変更する必要があるかどうかを検討すべきだ。業務の進め方を再設計することで、チームはより迅速に行動できるようになり、あるいは戦略的な業務により多くの時間を割けるようになるかもしれない。
重要なのは人員数を最小限に抑えることではない。新たなフルタイム従業員を雇うことが解決策だと判断する前に、課題を正しく理解することだ。
5. 難しい人事判断を避けない
これは優れたチームをつくる上で最も不快な部分であり、リーダーが苦労するのも無理はない部分である。
私は過去に、あるチームメンバーのパフォーマンスが明らかに、かつ継続的に低下していたにもかかわらず、決断を先延ばしにするという過ちを犯したことがある。彼らには心から成功してほしいと願っていたし、さらなるコーチングや時間があれば状況を改善できると信じていた。今にして思えば、その猶予は本人にとってもチームにとってもプラスになる限界を超えていた。
リーダーには、明確な期待値、誠実なフィードバック、有意義なサポート、および改善のための妥当な機会を提供する義務がある。人事評価の決定に、本人が驚くようなことがあってはならない。
しかし、善意だけでは、継続的な低パフォーマンスがもたらす影響を解消することはできない。信頼関係は損なわれ、責任感が希薄になり、優秀なパフォーマーへの負担が増大する。
人事異動や解雇を行うことは、その人物が無能であるとか、価値がないということではない。会社や役割が変化したのかもしれないし、その人の強みが別の環境により適しているのかもしれない。重要なのは、明確さ、敬意、そして共感を持って行動することだ。
この取り組みに終わりはない
このような取り組みを完全に終えられるリーダーシップチームなど、存在しないと私は思う。私たちは確かに、まだ終えていない。
企業の戦略や状況が変化するにつれて、チームも進化しなければならない。変化を最も巧みに乗り切るリーダーとは、変化が訪れたときに迅速に対応できるチームを構築しているリーダーだ。
テクノロジーは今後も企業の競争方法を変え続けるだろう。しかし、最終的には、最高のチームを持つ企業がやはり勝つのである。



