量子コンピュータ企業のIonQについては、さまざまな見方が飛び交っている。そのなかで、実態をはっきりと示す数字が1つある。契約は結んだものの、まだ納入していない受注の残高、つまり受注残が増え続けていることだ。
投資家は量子コンピューティングを、まだ研究室で試している段階の技術とみなしがちだ。しかし実際には、顧客がすでに契約を結んでいる。それでも同社の株価はこの1年で48%下落し、同じ期間に17.1%のリターンを上げたS&P500種株価指数を大きく下回った。受注は増えているのに、株価は下がっている。この食い違いに、同社が抱える根本的な矛盾が表れている。
では、IonQの受注残はどれほどの規模なのか。
IonQの納入待ちの受注は4億8500万ドル
IonQの経営陣が米国時間2026年8月5日の決算説明会で明らかにしたところによると、同社が2026年第2四半期(4〜6月)を終えた時点で、契約を結んだもののまだ納入していない受注は4億8500万ドル(約766億円)にのぼった。1年前に報告された1億2200万ドル(約193億円)から、大幅に増えている。
同社はすでに、実機を顧客のもとへ送り出し始めている。第2四半期中には、韓国の研究機関である韓国科学技術情報研究院(KISTI)に向けて、システムの構成部品の出荷を始めた。スイスの量子コンピューティング拠点QuantumBasel(クォンタムバーゼル)向けには、第5世代のコンピューターの組み立ての仕上げにかかっていた。QuantumBaselは、以前にIonQの旧型機を購入したことのある既存顧客である。経営陣は、こうした第5世代システムの納入・設置を、売上高が自社の見通しを上回った最大の理由に挙げた。
こうした設置のすぐあとを追うように、新たな契約も続いている。IonQは米国時間2026年9月24日、量子コンピュータのSuperion 256をフロリダ国際大学に納入する契約を発表した。その直後の米国時間10月7日には、米国の国防研究機関である国防高等研究計画局(DARPA)と契約を結んだ。契約額は最大で3億ドル(約474億円)にのぼる可能性がある。この契約は、量子コンピュータが実用規模に達しうるかを見極めるDARPAの評価プログラムで、同社が最終段階に進んだことに伴うものである。2029年まで、DARPAが同社の機種を検証する。



