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リーダーシップ

2026.10.09 09:56

インクルージョン主導のリーダーシップ:AIにおける文化と技術の整合は「リーダーの決断」である

Adobe Stock

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ビジネスリーダーたちと話をしていると、よくある光景を目にする。開発チームが、書面上では完璧に見える高度なAIツールを誇らしげに披露する。しかし、そのツールが「誰の声」をベースに設計されたのかを尋ねた瞬間、ほぼ例外なく沈黙が流れるのだ。

そして、その沈黙こそが「つながりの危機」を表している。

冷淡なAIの対応に失望して離れていく顧客がいても、システムのアラームが鳴ることも、エラーメッセージが残ることもない。テクノロジーはプログラム通りに作動するが、そのやり取りに違和感を覚えれば、顧客は理由を告げることなく他社へと去っていくだけだ。

こうした事態に直面した組織がAIモデルのせいにする時、彼らは本質を見誤っていると私は考える。私の経験上、問題の本質は、システムを構築した人々、システムが本来サポートすべき極めて多様な顧客、そしてアジア太平洋(APAC)のような多様な地域を想定して設計されていないレガシーなインフラとの間にあるギャップだ。

APACにおける最大のリスクは、AIへの取り組みが遅すぎることではない。この地域を支えられないインフラの上でAIを拡大してしまうことだ。だからこそ私は、インクルーシブなAIを、まずリーダーシップの問題として、次にエンジニアリングの問題として捉えるようになった。

1つのプレイブックと50の市場

APACは単一の市場ではない。50以上の市場が存在し、それぞれに独自の言語、文化、期待値があり、1つの国の中に複数の異なる文化圏が存在することも珍しくない。この地域のすべての顧客は、ブランドが自分にどのように語りかけるべきかについて、それぞれ独自の基準を持っている。そのため、単一の顧客プロファイルに基づいて戦略を構築し、それをすべての市場に展開すれば、瞬く間にほころびが生じることになる。

本格展開(ロールアウト)の前に、より多くのリーダーに考慮してほしいルールがある。それは、「AIはそれを構築し、承認する人々のバイアス(偏見)と前提を引き継ぐ」ということだ。開発・承認チームが同様のバックグラウンドを持ち、同じ「理想の顧客像」を共有している場合、ツールはその1つのペルソナに向けてのみ最適化される。それ以外のすべての人々は、どこか少しズレた体験を強いられることになる。そして顧客体験(CX)において、顧客を失う原因としてはそれだけで十分なのだ。

マヤ・アンジェロウの有名な言葉に「人はあなたが言ったことも、したことも忘れてしまうが、あなたにどんな気分にさせられたかは絶対に忘れない」というものがある。私はこの仕事において、常にこの言葉を意識している。ある文化では冷淡に受け取られ、別の文化では温かく感じられる挨拶や、その場にふさわしくない丁寧さの度合いといったものは、ダッシュボード上で警告アラームを鳴らすことはない。ただ静かに、顧客を失う結果を招くだけだ。

「誰がその場にいるか」がサービスの受け手を決める

私が見出した真の差別化要因は、開発フェーズそのものから生まれるのではない。むしろ、顧客体験に関する意思決定が行われる際に、誰がそのテーブルを囲んでいるかによって決まる。

私は、自身のリーダーシップチームを構築する過程でこのことを学んだ。この地域における当社の事業は複数の企業の買収を通じて統合されたものであり、1つの組織への変革を進める上で、適切なチームを編成することが極めて重要だった。ポイントはその多様性にある。自社の顧客や製品を熟知した各既存事業からの多様なリーダー陣と、新たに外部から採用した人材を融合させたのだ。

外部からの採用メンバーは新たな視点をもたらし、既存の企業のしがらみにとらわれることがなかった。彼らは事業間のギャップを埋め、他のメンバーが見落としていたつながりを再発見してくれた。そして、議論の焦点を「顧客が本当に必要としているものは何か」という点に常に引き戻してくれたのだ。

これこそが、後付けではなく、意図的に設計された多様なインプットの姿である。異なる出発点を持つ人々が、初日から共に計画を形作っていくのだ。

戦略がインフラの壁に突き当たる時

テックチームの構成以外にも、目立たないが同様に致命的な障害が存在する。私はこれまでに、多くのリーダーが、自社がそれを本当に実行できるかどうかを確認することなく、地域に合わせた綿密な戦略を承認する姿を見てきた。

企業が稼働中のAIによる顧客対応を縮小または停止する場合、その原因がモデルの知能にあることは滅多にない。原因は、その背後にあるインフラだ。

この問題が当地域において最も顕著に現れるのが、コミュニケーションチャネルである。シンガポールでは、顧客は主にWhatsAppを使っているだろう。しかし、国境を1つか2つ越えれば、それがLINE、WeChat、あるいはKakaoTalkに変わる。自社のインフラがこれらすべてのチャネルで本物の会話を実現できれば、地域の多様性は強みになる。しかし、それができなければ、自社の技術で対応可能なわずかなチャネルにすべての市場を無理やり合わせることになり、顧客離れを引き起こす重大な盲点となる(開示:著者の勤務先はMetaビジネスパートナーである)。顧客が日常的に使っている場所で関わりを持つことは、多様な顧客ベースにサービスを提供する上で不可欠な要素であり、技術的な後付けで済ませてよいものではない。

インクルーシブなAI CX戦略を構築する

真にインクルーシブなAI戦略を構築するために、リーダーシップレベルで実行すべき4つのアクションがある。

• AIの顧客体験に関する決定を誰が承認しているかを監査する。 そのグループが実際の顧客層を反映していないのであれば、得られる成果も顧客層を反映したものにはならないと心得ること。

• 多様でリアルなオーディエンスを対象にAIのアウトプットをテストする。 これにより、開発プロセスの早い段階で潜在的なバイアスを特定することができる。

• プレローンチの段階で十分にテストを行う。 顧客からの苦情が届く前に、市場に投入する前の段階で改善を繰り返す時間と猶予を確保する。これにより、開発サイクルの極めて早い段階でバイアスを捉えることができ、修正の複雑さを軽減できる。

• リーダーに形骸的な最終確認だけでなく、真の権限を与える。 戦略が決定した後に初めて彼らを巻き込むのであれば、それは「相談」ではなく単なる「通達」である。その段階に達してからのギャップの修正は、多大なコストを伴うゼロからの再構築を意味することが多い。

これらのアクションは、どれか1つだけを行っても機能しない。どれほど文化に配慮した戦略であっても、それを支えるテクノロジーが断片化していれば失敗に終わる。人間のインサイトと柔軟なマルチチャネルインフラは、表裏一体の機能なのだ。一方が市場のニーズを明らかにし、もう一方がそれを実際に届ける役割を果たす。

AIが自らバイアスを排除することはない。AIは、リーダーシップが与えた前提を、それが良くも悪くも拡大するだけだ。インサイトとインフラの双方を正しく機能させ、適切なサポートインフラを構築して初めて、AIは市場に逆らうことなく市場と共に歩み始め、顧客が望むあらゆる言語やチャネルに柔軟に対応できるようになる。

(forbes.com 原文)

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