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経済

2026.10.09 08:09

オイルショック、AIバブル、エルニーニョが金融危機に発展する条件とは?

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危険なのはショックそのものではない。危険なのは、同じ貸し手が3つのショックすべてを背負い込むことになる点だ。

金融危機は、損失が表面化したときに始まるのではない。信用を供給するシステムに損失が達したときに始まる。すなわち、貸し手が弱体化し、資金調達が滞り、自らのコストを管理できていた企業がリファイナンス(債務の借り換え)できなくなったときだ。単一のショックの規模ではなく、このしきい値こそが、今年の秋を評価する基準となるべきである。

3つのショックが、まるでお互いに関係がないかのように分析されている。それらが市場でそのように織り込まれているかどうかが問題だ。気候影響ラボ(Climate Impact Lab)は、行動を起こして命を救うためのモデル推計として、平年と比較して2026年6月から2027年2月までの間に、熱中症など暑さに関連する死者が約45万1000人増加すると予測している。金融の観点から言えば、これは家計がすでに燃料費の高騰に苦しんでいるなかで、労働、収穫、電力需要、保険を同時に直撃するショックを意味する。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の石油在庫は2月から8月までの間に5億700万バレル減少した。貯蔵タンクがこれを吸収したため、私たちの多くはそれを供給不足として実感していない。そしてAI企業は、次の決算期をはるかに超える融資確約を通じて、互いを結びつけている。

これらの圧力の原因はそれぞれ異なる。危険なのは、それらが同じ家計、企業、貸し手に及び、それぞれが次のショックを吸収する力を失ってしまうことだ。

高コストが信用に達する仕組み

その連鎖は4つのステップで進行する。

  • 家計:燃料費の上昇、それに続く食料品のインフレ、そして保険更新料の値上がり。住宅ローン金利が変化する前に、同一の所得に対していくつもの負担が重なる。
  • 企業:コストは上がり、顧客の購買力は落ちる。投資や採用を先送りする企業もあれば、不足分を補うために借入を行う企業もある。
  • 貸し手:借り手の支払いが滞れば、損失によって貸し手の融資意欲や能力が低下し、自らコストを管理できていた企業にまで影響が波及する。
  • タイミング:市場はエクスポージャーの価格を1日で再評価する。企業が手元資金を使い果たすには数カ月かかる。凶作の影響が食料価格に及ぶのは翌年だ。警告が同時に発せられたからといって、その結果が同時に訪れるわけではない。

AIが構築した確約のネットワークと、ガスへの連結

エヌビディア(Nvidia)の最新の四半期報告書は、エクスポージャーがどのようにつながっているかを示している。エヌビディアは、オープンAI(OpenAI)が20年間にわたり9棟のデータセンターを賃貸するSBエナジー(SB Energy)のオハイオ州のキャンパスに対し、最大1050億ドル(約16兆6000億円)の債務保証を提供している。この保証は、オープンAIがデフォルト(債務不履行)に陥り、SBエナジーが建物の再賃貸や売却によって十分な資金を回収できない場合にのみ支払われる。2029会計年度から建物が稼働するのに伴って保証が開始され、オープンAIが賃料を支払うにつれて縮小する。初期費用は15億ドル(約2370億円)の自己資本である。

これは20年間にわたる約束であり、この秋に支払うべき請求書ではない。しかし、市場は今日にでもその価格を再評価する可能性があり、半導体サプライヤーは自社のバランスシートを顧客の存続と結びつけている。国際決済銀行(BIS)は9月10日、AIがプライベートクレジット(非公開債権)を含む債務への依存度を高めていると警告した。株式投資家は予測を誤れば資金を失うが、借り手は予測を誤っても支払いを続けなければならない。

エネルギーは、これらの約束を他の2つのショックと結びつけている。データセンターが一因となり、新規ガス火力発電所への投資決定は2025年に25年ぶりの高水準に達した。

  • xAIは、メンフィスの「コロッサス(Colossus)」サイトに数十台のガスタービンをトラックで輸送した。
  • オープンAIの「スターゲート(Stargate)」アビリーン・キャンパスは、最大300メガワットのガスタービンで稼働している。
  • メタ(Meta)の5ギガワット規模の「ハイペリオン(Hyperion)」ルイジアナ・キャンパスには、メタの負担で3基の新しい事業用ガス発電所が建設される。

それぞれが、安価なガスへの長期的な賭けである。これまでのところ、米国の輸出ターミナルが満杯であることが米国内の価格を保護してきた。4月下旬時点で、欧州とアジアのガス価格はそれぞれ35%と51%上昇したのに対し、米国のガス価格は9%下落した。しかし、輸出は増加しており、約1000億立方フィートの日量生産量に対して、データセンターは2030年までに米国の需要を日量20億〜100億立方フィート増加させる可能性がある。

AIはその未来を、世界が不足している燃料に結びつけており、欧州はこの冬、その不足を実感している。カタールは紛争前、世界のLNGの約5分の1を占めており、シェル(Shell)は今年の供給損失を3600万トンと見込んでいる。欧州の貯蔵量は、通常なら80%台半ばであるのに対し、9月下旬時点で約70%と、ここ20年近くで最も低い水準にあり、ドイツは50%台半ばにとどまる。かつて欧州に向かっていた米国の貨物は、より高い価格を支払うアジアに流れており、日本、韓国、中国、欧州が同じガスを奪い合っている。ゴールドマン・サックスは、ペルシャ湾からの輸出回復が遅れれば、12月の欧州価格は1メガワット時あたり100ユーロを超える必要があると試算している。海峡が再開されても貯蔵タンクが満たされるわけではない。それを満たすための競争が始まるのだ。

中国は、新規データセンターの電力量の80%に再生可能エネルギーを使用することを義務付けるルールを設け、国内の石炭で同様の競争を走っている。どちらもクリーンではない。閉鎖された海峡に依存しているのは一方だけだ。

逆に考えてみよう。もしAIブームが停滞すれば、化石燃料への賭けは崩壊する。ガス火力発電所は、20年のAI契約を前提に融資を受ける30〜40年の資産である。テナントは立ち退くことができるが、タービンは動かせない。損失を誰が負担するかは契約によって決まる。テイク・オア・ペイ(引取基準)契約下のテナントか、保証人か、あるいは顧客の裏付けが規制当局の想定よりも脆弱であると判明した場合は一般の電気料金支払者(レートペイヤー)か。その背後には、タービンメーカー、ガスプロデューサー、そしてプライベート・レンダーが控えている。

前例がある。1990年代後半の需要予測に基づいて建設された電力切り売り型のガス発電所(マーチャントプラント)は、価格下落のなかで開業した。カルパイン(Calpine)は、170億ドル(約2兆6900億円)の負債を抱えて2005年に破産した。今回のサイクルはさらに悪化する可能性がある。IEAは2030年までに年間3000億立方メートルの新規LNG輸出能力が追加されると予測している。海峡の再開、その供給の波、そしてデータセンター需要の急減が重なれば、不足は供給過剰へと転じるだろう。

ガス価格が安くなれば、家計や産業は助かる。しかし損失は、レバレッジをかけたサプライヤーとその貸し手に集中することになる。システムリスクは、その「順序」にある。最初に逼迫が訪れ、次に過剰が訪れるのだ。同じ貸し手が、価格高騰期には不動産や中小企業の損失を抱え、その後に価格下落による座礁資産の損失を背負う可能性がある。この危機はガスの不足ではなく、誰も必要としないガスを、それを供給するために借入を行った人々が所有することから生じる。

2つの詳細が、この状況をさらに奇妙にしている。エヌビディアによる電力供給型キャンパスの残存価値への保証は、半導体メーカーのバランスシートを化石燃料インフラのファイナンスに結びつけている。そして「AIにはガスが必要だ」という主張は、既存の化石燃料企業に対して、新しいパイプラインの建設や気候規制の緩和を要求するための強力な論拠を与えている。需要が蒸発すれば、その論拠もまた消失する。

石油在庫は時間を買うだけで、供給を買うわけではない

IEAの9月報告書によると、ペルシャ湾における日量1000万バレル以上の生産が8月時点でも停止したままであった。同報告書はまた、今年の世界の石油需要が減少すると予想している。これをもう一度読み直してほしい。供給危機の最中に需要が減少しているのだ。急激に需要が減るのは、エネルギー効率が向上したからかもしれない。あるいは、工場が操業を短縮し、人々が燃料を買えなくなったからかもしれない。原油価格の下落は、そのどちらが原因であるかを知るまでは何も教えてくれない。

投資が救いに来るわけではない。IEAは、企業がこの価格高騰がどれくらい続くか分からず、新規プロジェクトに何年もかかることから、石油投資が3年連続で減少し、5000億ドル(約79兆1000億円)未満にとどまると予測している。航路の再開は助けになるが、空になった貯蔵タンクを補充しなければならず、その補充自体が需要となる。そして、戻るべき「正常な状態」など存在しない。私たちが正常と呼ぶ価格は、依存の代償にほかならない。供給が回復すれば、その流れとともに依存関係も復活する。安価な原油が戻ってきたとしても、それはリスクがないことを意味しない。リスクが価格に反映されていないだけなのだ。

エルニーニョ、食料、そして補助金の罠

米国海洋大気庁(NOAA)の9月10日の予測では、この冬に非常に強いエルニーニョが発生する確率を90%以上としている。ここに例の45万1000人が関係してくる。猛暑は労働時間を削り、送電網に負荷をかける。干ばつは収穫や水を必要とする産業に打撃を与える。洪水は資産を破壊し、輸送を遮断する。今回のエルニーニョは過去のどの時期よりも温暖化した地球に到来するため、過去の被害額はあくまで目安にすぎないが、その規模を示している。学術誌「サイエンス(Science)」に掲載された2023年の研究によると、1982〜1983年と1997〜1998年のエルニーニョによる損失は、その後5年間でそれぞれ4兆1000億ドル(約649兆円)、5兆7000億ドル(約902兆円)に達した。その被害は、異常気象が収まった後も長く続く。

国連世界食糧計画(WFP)は、調査対象国において、2027年末までに少なくとも4900万人以上が深刻な飢餓に直面する可能性があるとしている。世界の穀物在庫には余裕があるが、それがどこでも手頃な価格で食料を入手できることを意味するわけではない。各国が自国の価格を守るために輸出を制限すれば、他国は供給を失う。各国にとっての合理的な自己防衛は、他国にとってのショックとなる。また、食料インフレは燃料価格の高騰よりも長引く。2027年初頭の不作は、燃料価格が落ち着いた後も家計や予算を圧迫し続ける可能性がある。だからこそ、欧州中央銀行(ECB)による2.5%への利上げが重要な意味を持つ。中央銀行は流動性供給手段を持っているが、収穫を回復させたり、航路を再開させたりすることはできない。

不足がそれほど感じられない理由の一部は、政府が費用を支払ってそれを隠しているからだ。経済協力開発機構(OECD)は世界各地での介入を数え上げており、そのうち規模の大きい上位10件のうち7件は、一部の地域でガソリン価格が1ガロンあたり12ドル(約1万未満円)相当を超えたEUにおけるものである。

  • ドイツは、1リットルあたり17セントの燃料税引き下げを12月まで延長し、そのコストは25億ユーロに達している。また、1月の価格上限設定についても議論している。
  • マレーシアの月間燃料補助金は4倍の約9億ドル(約1420億円)に膨れ上がり、政府支出の約12%を占めている。
  • スウェーデンは燃料税を再び引き下げ、11月まで店頭価格でさらに1リットルあたり3クローナの削減を目指しており、財政コストは約7億ドル(約1110億円)と推計されている。同国のガソリンは、現在マルタに次いでEUで2番目に安い。スウェーデンのガソリン税は5年間で1リットルあたり8.58クローナから1.96クローナへと下落した。

50カ国以上が燃料税や食料税を引き下げたか、あるいはその計画を立てている。私たちはこれまでに同様の状況を目にしてきた。2022年に化石燃料への補助金は初めて1兆ドル(約158兆円)を突破し、IEAはこれを「的を絞っていない」と批判した。危機のシナリオにおいて、補助金は3つの事態をもたらす。第1に、保険会社や銀行が支援を必要とする前の段階で、公金を早期に浪費してしまう。第2に、需要を維持させるため、全体として高価格が維持され、貧困国が市場から締め出される。第3に、補助金は廃止するのが難しいため、政府が負担しきれなくなったとき、開始時よりも高い金利のもとで、すべてのコスト負担が一気にのしかかることになる。

保険のギャップが銀行の問題へと変化する

私が最も注意深く見守りたいのは保険である。なぜなら、すべての保険会社が利益を上げたままであっても、事態は悪化しうるからだ。保険の補償が利用できなくなったり、手が届かない価格になったりすると、不動産所有者がその損失を抱え込むことになり、銀行は融資の担保となっている建物が依然として担保の役割を果たしているかを自問しなければならなくなる。ECB銀行監督委員会は、すでに保険のギャップ(保障不足)の拡大を信用リスクとして挙げている。この影響を最初に受ける融資は、保険会社が撤退した物件を担保とするものである。すなわち、リスクの高い郵便番号地域(ZIPコード)の住宅ローンや、保険料の増加額が賃料の伸びを上回る商業ビル、あるいは融資引き受け時に想定されていた条件で保険をかけることができなくなった店舗物件を担保とする中小企業向け融資などだ。

カリフォルニア州は、公的な介入が行われたときに何が起こるかを示している。同州の「最終手段」としての保険制度であるFAIRプランは、6月時点で7680億ドル(約122兆円)のエクスポージャーを抱えており、これは2022年水準の3倍以上に達している。ロサンゼルスでの火災の後、同プランは民間保険会社に10億ドル(約1580億円)を課し、民間会社がそのうち半分を上乗せ料金(サーチャージ)として顧客から回収することを認めた。年間の請求額が10億ドル(約1580億円)を超えた分については、すべて顧客に転嫁される。同プラン自体の保険料率も10月に29.1%引き上げられる。保護対象の人々に上乗せ料金を課すことによって賄われる防衛策は、「利子付きの先送り」にすぎない。前回の火災費用を支払うための保険プールの資金が枯渇し始める前に、人々があと何回更新手続きを乗り切れるかについて、誰も言及していない。

私の見解が間違っていることを証明する要因

投資家はこれらのリスクが存在することを知っている。BISの9月レビューは、金利やテック企業のバリュエーション(企業価値評価)に対する懸念とともに、強いリスク選好と狭いクレジットスプレッドについて言及している。だからといって、そのつながりが無視されているとは限らない。しかし、いくつかのショックが同時に訪れた場合、価格におけるバッファー(緩和材)がほとんど存在しないことを意味している。供給が回復するか、AIの収益が支出を正当化するか、銀行が融資を継続するか、あるいは中央銀行が資金逼迫から連鎖破綻への波及を防ぐか。これらのうちのいずれか1つだけでも、連鎖を断ち切ることができる。

最も強力な反論は、規模に関するものだ。特定分野での損失が信用収縮に至るのは、それらが同じ場所に積み重なる場合のみであり、カリフォルニア州の保険のギャップとオハイオ州の収益の不達が、同時にどこの銀行を直撃するのかを具体的に特定することはできない。しかし、そこが重要な点なのだ。もし重複が存在するとすれば、それは不動産、中小企業、データセンター建設のすべてに同時に融資を行っている銀行、とりわけ地方銀行やプライベートクレジット基金に生じる。統合的なストレステストを行えば見つかるだろうが、セクター別のテストでは見つからない。

2027年3月までに、以下の点を確認できるだろう。

  • 石油在庫は安定しているか、また欧州のガス貯蔵量はどこまで減少したか。
  • 1月の更新時に、災害補償の料金は高騰したか、あるいは補償範囲が狭まったか。
  • リスクに直面しているAI企業の借入コストは上昇したか。
  • 作物の収穫予測は悪化しているか、また食料インフレが利下げを遅らせているか。
  • 政府は再び燃料補助金を延長したか、またその費用はどれくらいか。
  • データセンターに関連するガス発電所、タービン発注、電力契約がキャンセルされていないか。

これらの兆候がシナリオを強化するか、あるいは弱める。連鎖反応が生じるには、もう一つの要素、すなわち「ある打撃が次の打撃の原因となったことの証明」が必要だ。不払いの背景にあるエネルギー料金の請求。融資引き締めの背景にある保険のギャップ。サプライヤーのリファイナンス失敗の背景にある顧客側のコスト削減。企業はその証明を待つ必要はない。リファイナンスと保険更新を同時にテストするか、売上の減少と光熱費の高騰を合わせてテストすることだ。銀行は、一見関係がないように見える借り手たちが、同じ顧客や同じライフラインに依存していないかどうかを自問することができる。

基本シナリオ

3月までに、この冬がどれほどのコストを要したかが判明するだろう。欧州は乗り切ると予想されるが、それには対価が伴う。すなわち、工場は生産を縮小し、家計はより多くを支払い、政府は融資支援を延長するために借入を増やす。そして、エネルギー関連のインフレが和らぐタイミングで、エルニーニョに伴う収穫損失が食料価格を押し上げる可能性があり、それによってECBが利下げに踏み切ることが難しくなる。保険はさらに高価になり、補償範囲は狭まる。AI投資は減速し、バリュエーションは低下。その影響を最初に受けるのは輸入ガスに依存するデータセンター群である。

米国のツケが回ってくるのはその先だ。安価な国内ガスのおかげで、米国のデータセンター建設は維持される。最終的な足かせとなるのは、その顧客が利用料金を支払えるかどうかだ。AI需要が期待外れに終われば、新たなLNG供給が市場に届くのと時を同じくして、一部のガス発電所は、電力を必要としなくなったテナントのために稼働を開始せざるを得なくなるかもしれない。3月時点では、そのリスクを評価するには早すぎるだろう。

この冬に銀行システムが崩壊するとは考えていない。むしろ、保険会社が補償を撤回する、顧客が支払いを遅らせる、銀行が融資の更新を拒否するといった日常的な意思決定の積み重ねによって、その脆弱性が高まっていくと予想している。個々の決定はそれ自体が合理的であっても、それらが合わさることで、次のショックを乗り切ることを難しくする。

このエクスポージャーを軽減する方法はある。欧州環境庁(EEA)は、再生可能エネルギーが2026年の最初の16週間で、EUの卸売電力コストを約290億ユーロ削減したと見積もっている。IEAは、今年のクリーンエネルギーへの投資額が、化石燃料への1兆2000億ドル(約190兆円)に対し、2兆2000億ドル(約348兆円)に達すると見込んでいる。備蓄は不足を生き延びる助けになる。化石燃料の使用を減らすことで、次の不足ショックに対する影響度を低く抑えることができる。そうした投資を保護することもまた、危機への備えの一部である。

それがいつ金融危機に発展するのか?

ある店舗オーナーを思い浮かべてみてほしい。光熱費が上がり、顧客の支出は減る。保険料は高くなり、補償範囲は狭まる。そしてついに、銀行が当座貸越枠を削減する。

その銀行は、同じように苦境にある他の企業や、期待された顧客が手を引きつつあるデータセンター開発会社にも融資を行っている。一見無関係に見える損失が、同時に生じ始める。

これらの損失が金融危機へと発展するプロセスは3つのステップからなる。

  1. 家計と企業が自己防衛の手段を失う:貯蓄は使い果たされ、保険では補いきれず、政府の支援もギャップを埋めることができなくなる。
  2. 銀行が多方面で損失を被る:顧客の債務不履行が発生する一方で、借入によって賄われていたAIプロジェクトやエネルギープロジェクトの価値が低下する。
  3. 銀行が融資を引き揚げる:健全な企業でさえローンの更新や日常業務の資金調達ができなくなり、被害が拡大する。

これがしきい値(臨界点)だ。その手前の出来事はすべて単に「高コストなもの」であり、それを超えた先の出来事がすべて「危機」である。気候影響ラボが予測した45万1000人という数字は、これらの貸借対照表(バランスシート)のどこにも登場しない。彼らは連鎖の最初の防波堤であり、最後に数え上げられる存在である。

この連鎖のすべてのリンクに、一つの共通点がある。オイルショックは化石燃料への依存である。ガスへの賭けも化石燃料への依存である。酷暑、凶作、そして保険がかけられない家は、温暖化する地球がそこに暮らす人々にもたらすものである。気候変動に対して行動を起こさないことは、毎年同じリスクへのエクスポージャーを、より高い金利でリファイナンスし続けることを決定し、その金利の発生を「予期せぬ出来事」と呼ぶことに等しい。

事態を予見するためには、ショックを監視するのではなく、信用に注目することだ。そして、年次報告書がめったに答えることのない質問を投げかけてみることだ。「この会社は、その顧客、貸し手、そして保険会社がすべて同様にショックに対処している状況で、次のショックを生き延びることができるだろうか?」と。

(forbes.com 原文)

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