米上院軍事委員会のサイバーセキュリティー小委員会は1月28日、米国防総省のサイバー部隊編成計画に関する公聴会を開いた。公聴会では、サイバー政策を担当するキャサリン・サットン国防次官補やウィリアム・ハートマン中将、R・ライアン・メッサー准将らが証言し、米サイバー軍をどのように変革するのか、またサイバーセキュリティーを通じて米国の重要施設を最大限に防衛するために、人員をどのように訓練し、配置するのかについて説明した。出席者は、セキュリティー政策が引き続きドナルド・トランプ政権の最優先課題の1つであることも強調した。
国防総省が2025年11月に打ち出したサイバー部隊編成計画は、同部隊の戦闘能力を向上させ、作戦成果を拡大することを目指している。この計画により、同省は米国がサイバー領域で主導的な地位を確立することを期待している。
トランプ政権が米国家安全保障戦略を発表した際、サイバーセキュリティーは最優先課題の1つに位置付けられた。政権は、米企業にとって戦略的に重要な買収や投資の機会を特定することを目指すと表明した。その上で、政府と民間企業の緊密な連携は、重要施設を含む米国のネットワークに対する持続的な脅威を監視する上で役立っていると説明した。これにより、米政府は経済の競争力を維持し、技術部門の回復力を強化しつつ、リアルタイムでの脅威の検知や攻撃元の特定と対応に向けた能力を確保することができる。
トランプ政権がサイバーセキュリティーを重視する背景には、敵対勢力による米国の内政への干渉が強まっている状況がある。米紙ヒルが報じたところによると、中国、ロシア、イランは、米国に対する影響力工作に向けた予算を大幅に増額している。これら3カ国はソーシャルメディア(SNS)への投稿に加え、サイバー能力や人工知能(AI)を駆使して悪意のある情報を拡散するために、数十億ドル規模の資金を投じていると推定されている。
これらの国々が米国の内政に干渉しようとしているのは、新しい動きではない。中国のサイバー攻撃集団は、米国の企業や重要施設が抱えるサイバー上の脆弱性を特定するために精力的に活動してきた。その結果、米国では社会保障番号や住所といった個人情報を含むデータ侵害や情報漏えいが発生している。こうした侵害により、米国民は危険にさらされている。
一方、ロシアのサイバー攻撃集団は、米国の政府機関や重要施設を標的にしてきた。こうしたグループの一部はロシア政府の支援を受けている。米国ではこれまでに、エネルギー省や国防総省サイバー犯罪センター、環境保護庁などが標的になってきた。特に注目すべき事例として、ロシアのハッカー集団が2020年12月、1000を超える米国の政府機関や民間企業に侵入した「ソーラーウィンズ・サイバー攻撃」が挙げられる。2021年には、米パイプライン大手コロニアル・パイプラインがロシアに関連するランサムウエア運営者によるサイバー攻撃を受け、米国のエネルギー施設が標的となった。
米連邦捜査局(FBI)や国土安全保障省サイバー・インフラ安全局(CISA)はこれらの攻撃を調査し、司法省と財務省が数十のロシアの組織やテクノロジー企業、個人に制裁を科した。こうした制裁措置は第1次トランプ政権やジョー・バイデン前政権でも実施されており、共和党と民主党の双方がサイバー攻撃を極めて深刻な問題と捉えていることがうかがえる。



