戦略は、机上では素晴らしく見えても、実行に移すと破綻することがある。目標は明確であり、経営陣も合意している。責任の所在も決まり、会議が開かれ、フォローアップのメールが送信され、全員が次に何をすべきかを理解しているように見える。
しかしその後、現実が立ちはだかる。
数カ月後、ある部門は期待された通りに動いている一方で、別の部門はその戦略を別の意味に解釈しており、さらに別の場所ではほとんど何も変わっていない、という事態が発生する。
リーダーの意図と、現場の人々が実際に行う行動との間にあるこのギャップこそが、組織変革において最も興味深い部分の一つである。
また、このギャップは、まったく異なる環境であっても驚くほど共通して見られる。筆者が高等教育、研究、物流分野で長年働いて得た経験から、意外な共通点が明らかになった。大学の方針と企業の経営戦略はまったく異なるように見えるかもしれないが、最終的にはどちらも「人」に依存している。そして、人は指示を受け取った通りにそのまま実行するわけではない。彼らはそれを「解釈」するのだ。
そこにこそ、実行の真の始まりがある。
「伝えた」ことと「理解された」ことは同じではない
組織は多くの場合、コミュニケーションに長けている。メール、会議、プレゼンテーション、ガイドライン、そしてますます高度化する社内プラットフォームがある。しかし、コミュニケーションと理解は同じではない。
例えば、あるマネージャーが新しい業務手順を導入する場合を考えてみよう。マネージャーの視点からは、その指示は完全に明確であるように思える。しかし、指示を受け取る従業員は、その指示を既存の業務手順、顧客の要望、業務量、そしてこれまでの経験と結びつけようとする。
その結果は、リーダー層が思い描いていたものとはかなり異なる可能性がある。
これは、筆者の方針実行に関する研究において特に顕著に見られる現象である。すなわち、人々は変革を実行に移す前に、まず自分なりにその変革を理解しようとする。これと同じパターンは、日々の業務運営でも見られる。
したがって、より有用な問いは「全員がその戦略を受け取ったか」ではないのかもしれない。「人々はその戦略をどのような意味だと理解したのか」である。この二つはまったく異なる問いである。
現場の視点(ミクロレベル)が重要である理由
戦略には、もう一つの問題がある。実際の現場から遠ざかるほど、実行が容易に見えてしまうということだ。
紙の上では、プロセスの変更は3つの単純な手順で済むように見えるかもしれない。しかし現場では、その3つの手順が顧客、ドライバー、管理者、サプライヤー、そして納期に同時に影響を及ぼす可能性がある。
これは特に物流分野で顕著であり、一見ささいに見える運用の意思決定が、サプライチェーンの川下に連鎖的な影響を及ぼすことがある。高等教育も同様だ。大学本部で策定された方針は、最終的に講師や学生に届くが、その成否は、彼らの日々の環境においてその方針がどれだけ実用性があるかに部分的に左右される。
だからこそ、現場の視点が重要なのだ。すべての従業員がすべての戦略的意思決定を承認する必要があるからではなく、実際に業務を行っている人々には、会議室からは見えない障害が見えていることが多いからである。
実行に移す前に簡単な対話を行うだけで、それらの障害を明らかにできる。「何が原因で実行が難しくなるか」「何を見落としているか」「実行を助けるものは何か」を問いかけるのだ。
「抵抗」という言葉の使い方には注意が必要
実行がうまくいかないとき、よく使われがちな解釈がある。「人々が変化に抵抗している」というものだ。
確かにそのような場合もある。しかし、「抵抗」という言葉は、十分に調査されていない問題に対して、最も簡単に貼ることができるラベルにすぎないこともある。
従業員は目標を理解していても、自分に何を期待されているのかがわからないのかもしれない。2人のマネージャーがそれぞれ異なる指示を出しているのかもしれない。新しい手順が、廃止されていない古い手順と衝突しているのかもしれない。あるいは、変化には賛同しているものの、実行するための時間、ツール、自信が不足しているのかもしれない。
これらをすべて「抵抗」の一言で片付けてしまうのは、本質を見誤っている。
行動が変化しないとき、最初に問いかけるべきは「なぜか」である。その対話を通じて、問題が態度、理解度、リソース、あるいは戦略そのもののいずれにあるのかを明らかにできる。
戦略は「現実の生活」に耐えうるものでなければならない
組織が犯す最大の過ちの一つは、戦略の策定には膨大な労力を注ぐ一方で、発表後に何が起きるかには比較的わずかな注意しか払わないことかもしれない。
実行には、それ自体のための注意が必要である。実際にこれを実行するのは誰なのか。彼らは月曜日の朝に、これまでと何を変えなければならないのか。何が彼らの障害になり得るのか。そして、実践が意図した方向に進んでいるかどうかを、リーダーシップ層はどうやって把握するのか。
そして、最も忘れられがちなのが「振り返って確認する」プロセスである。業績数値によって問題が明らかになる半年後では遅すぎる。戦略がまだ形づくられている初期段階で、現場がどのような経験をしているかを聞き取り、調整できるだけ早い時期に行う必要がある。それは計画の不備ではない。状況に応じて柔軟に動くリーダーシップのあり方なのだ。
意図と行動の間のギャップに注意せよ
学術界とビジネス界の交差点で働くことで、この問題について独特の視点を得ることができる。研究は実行が複雑である理由を説明するのに役立ち、実務におけるリーダーシップは、その複雑さがいかに早く現実のものとなるかを示している。
どちらの世界においても、教訓は驚くほどシンプルだ。戦略は、それが知的につくられたから成功するのではない。人々がそれを理解し、自分自身の文脈に落とし込み、実践において機能させることができたときに成功するのだ。
したがって、戦略の発表は、戦略的リーダーシップの終わりではない。
それは始まりにすぎないのかもしれない。



