あらゆる職業を更新せよ!────既成の概念をぶち破り、従来の職業意識を変えることが、未来の社会を創造する。「道を究めるプロフェッショナル」たちは自らの仕事観を、いつ、なぜ、どのように変えようとするのか。『転職の思考法』などのベストセラーで「働く人への応援ソング」を執筆し続けている作家、北野唯我がナビゲートする(隔月掲載予定)。
北野唯我(以下、北野):今、SNSを開くと植草さんの動画が次々に流れてきます。テレビ出演も増えて、ちょっとした社会現象のようですが、実感はありますか?
植草美幸(以下、植草):あまりないですね。私はとにかく仕事ばかりしていて、1日12時間は働きます。本業とメディア出演の割合が変わってきたぐらいで、忙しさは感じません。ただ、外を歩いていると「写真を撮らせてください」と声をかけられるので、知名度が上がったのかなとは思います。
北野:植草さんの助言は、かなりはっきりしています。迷っている人の背中を半ば強引に押す。そのスタイルが、選択肢は増えたのに決められない人が多い今、求められているのではないかと感じました。
植草:婚活は、会員さんに任せていたら進まないことが多いんですよ。私は「この人とこの人はピッタリ」と思ったら引っ張ってきます。ふたりがお見合いをして真剣交際に入ったときには「よし、やった!」と思う。しかし真剣交際に入っても、結婚まで行かないことはあります。いちばんうれしいのは、やっぱりプロポーズをして、受けてもらったと聞いたときですね。
北野:そもそも、結婚相談所を始めたきっかけは何だったのでしょう。
植草:2008年のリーマンショックです。当時はアパレルの販売代行と人材派遣を手がけていたのですが、どちらも厳しくなると考え、急いで新しい事業を立ち上げなければならなくなりました。派遣先から社員が戻ってきても、給料は払わなければいけません。毎月何百万円ものお金が出ていく。2年後、3年後では間に合わなかったんです。
そんな時、以前からプライベートで人の縁をつないでいたことを知る人に、「仲人は結婚相談所という事業になるんですよ」と言われたんです。新たに勉強しなくても始められるし、人材派遣業の経験からもマッチングには自信がありました。100人を超える社員がいる会社の事は責任者に任せ、「私ひとりでやってみる」と結婚相談所を立ち上げました。
北野:すでに競合はたくさんあったはずですが、勝算はありましたか?
植草:何社かに「新参者です」と挨拶に行きましたが、すぐに「一生懸命やれば勝てる」と思いました。仲人同士の集まりに行っても、ゆっくりお茶を飲んで世間話をされていることが多かったんです。私はずっと販売の世界にいましたから、必ず目標を決めます。急いで事業を立ち上げて収入を得なければいけないのに、のんびりしていられない。会員のプロフィールを持参して集まりへ行き、「30分で10組のお見合いを成立させて帰ろう」と動いたんです。
北野:アパレルで身につけた営業感覚をもち込んだのですね。
植草:当時の結婚相談所はどこか閉ざされ、気軽には利用しづらい印象があったんです。自分が入った業界のイメージが良くないのは嫌でしたから、もっとオープンで楽しく利用できるサービスにしようと思いました。



