8月25日の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2026」の発表に合わせ、スペシャルセッション「才能は、環境によって再定義される。」が行われた。
異なる立場から人の可能性と向き合ってきた3人が語り合った、才能を伸ばす環境のつくり方をレポートする。
『Forbes JAPAN』は8月25日、2026年の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」の記者会見を東京・原宿のWITH HARAJUKU HALLで開催。発表に先立ち、同イベントをサポートするアサイン主催の「CAREER LEADERSHIP AWARD」とのコラボレーションによるスペシャルセッションが行われた。
CAREER LEADERSHIP AWARDは、若手ハイエンド人材のキャリア形成や育成環境に優れた企業を選出・表彰することを主旨とし、約6万人を対象としたアンケートや全10項目におよぶ評価結果をもとに受賞企業が決定される。背景にあるのは、若手のキャリア観の変化だ。セッションに登壇した、アサイン若手支援事業部プリンシパルの長谷川翔(写真右。以下、長谷川)が説明する。
「これまでは年収やワークライフバランスで次に行く会社を決める方が多かったのですが、終身雇用の前提が崩れるなか、最近では、どのような経験を積めるかを重視する方が増えています」
同アワードは、そうした若手人材の企業選びの指標となることを目指している。
今回のセッションには、同アワードで1位を獲得したセレブリックスからコーポレート本部人事統括ドメインリクルーティング室 中途採用Gr.マネージャーの田中幹大(写真中左。以下、田中)、3位を獲得したULSコンサルティングから代表取締役社長の横山芳成(写真中右。以下、横山)が登壇した。セレブリックスは営業支援を、ULSコンサルティングはITコンサルティングを手がけている。
セッションのテーマは「才能は、環境によって再定義される」。3人が人の可能性を引き出す組織のあり方について議論した。
周囲が見いだすことで才能は開花
司会を務めたNewMe CCOでフリーアナウンサーの笹川友里(写真左。以下、笹川)から提示された最初のテーマは、「才能はどこに表れるのか」。
営業未経験者を数多く採用・育成してきた田中は、「才能は無意識の言動に表れる」と語る。
「仕事の進め方や顧客への向き合い方など、本人は当たり前に行っていることのなかに強みが隠れています。営業のスキルは入社後に磨けますが、それらは変わりづらいもの。周囲が見いだして自覚させることで、光る原石としての才能が開花します」
約200人もの20代が活躍するULSコンサルティングの横山は、田中の発言に頷く。
「スキルやタレント的な部分は、本人は気づかないことがあります。我々シニアが見つけ、引き上げていくことが大切です」
2,000人以上のキャリア支援に携わってきた長谷川も共感を示し、その人の経験に基づいた価値観の重要性を指摘した。
「過去のご経験のなかで大変だったのに、なぜか熱中してしまったこと。自分は普通にやっていることだけど、周りから褒められたこと。こういったものを紐といていくことで、その人のかたちが見えてきます」
続いて議論は、「才能をどう開花させるか」というテーマへ移った。
横山は、若手に挑戦の機会を大胆に与えることこそが、才能を伸ばす最大のポイントだと力説する。
「まずは一回やらせてみる。そこで問題があれば、周りの大人がちゃんとカバーする前提で、大胆にやってもらうことがいちばんだと思っています」
さらに横山は、同期や先輩・後輩が一体となって困難に向き合う環境こそが、人を成長させると話す。
一方、田中は挑戦を促すには、「安心して失敗し、戻ってこられる土壌」が必要不可欠だと説く。
「当社では全社員に400ページに及ぶ顧客開拓メソッドを配布し、教育や育成に活用しています。これは、迷ったときに立ち返れる“北極星”のような存在です。挑戦してダメだったら見直す。この過程が非常に重要だと考えています」
続けて横山は、挑戦の前提となる3つの要素の重要性を強調し、それを身につけるためにULSコンサルティングが実践している取り組みを紹介した。
「業務に関するハードスキル、それを仕事で生かすソフトスキル、そして意志をもって動くためのマインドセット。この3点を体系的に整備したトレーニング教材やシミュレーションが不可欠と考え、私自らそのメニューづくりにかかわっています」
挑戦に必要な知識やスキルをあらかじめ提供し、そのうえで実践の機会を与える。「挑戦を支える仕組み」があってこそ、環境は人の成長につながるのだという。
司会の笹川は若手人材について、「ゆとり」と評されることがある一方で、熱心な人もいると指摘。その差について問うと、横山はここでも「環境」の違いを指摘した。
「みんなが切磋琢磨しなければ、成果は上がりません。ゆとりといっても、実はやる気のある人たちが多いので、そうした切磋琢磨するマインドセットを醸成していくことが大事です」
長谷川は、環境の重要性に共感しつつも、それだけでは十分ではないと言う。
「どれだけその基礎となるコンテンツがあるのか、挑戦する土台があるのか、さらには目指したいと思えるロールモデルがいるのかといった環境も大事です。そのうえで、それと同じか、場合によってはそれ以上に重要だと考えているのが覚悟です」
いくら環境が整っていても、覚悟がなければその状況に甘んじてしまい、成長が止まってしまう。目的を明確にし、覚悟をもって挑戦することが重要だという。
セッションの最後に、田中と横山からメッセージが送られた。田中は採用する企業側の視点から、若手を迎え入れて共に磨いていく設計の重要性を語った。
「才能がまだ顕在化していない人はたくさんいます。企業は、その可能性にベットする覚悟と、一緒に可能性の原石を磨いていく設計をすることが重要です」
横山は「やりたくないことで覚悟するべきではない」と指摘したうえで、若手人材にこうエールを送った。
「自分が好きで志向性のある領域でこそ挑戦できると思いますので、自己実現できる環境を探し、そのなかでまい進してほしいと思います」
どんな環境で何に挑戦するか
今回のセッションを通じて浮かび上がったのは、「才能は最初から完成されたものではない」という共通認識だった。本人が気づいていない強みを誰かに見つけてもらうことで、自分の可能性に気づくことができる。そして、そこから一歩踏み出すには、挑戦を支える環境と、自ら飛び込む覚悟が必要になる。
それは、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」が見つめてきた若き才能の姿とも重なる。そこに選ばれるのは、単に才能がある人ではない。自らの可能性を信じ、既存の枠を越える挑戦を続け、その先に新たな価値を生み出している人たちだ。
AI時代でキャリアの正解が見えにくくなった今だからこそ、「どこで働くか」ではなく、「どんな環境で、何に挑戦するか」が、これまで以上に重要になっている。
「才能は、環境によって再定義される」
その言葉は、これからのキャリアを考えるすべての人に、自分自身の可能性について考えるきっかけを与えてくれる。
ASSIGN
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たなか・みきひろ◎セレブリックス コーポレート本部人事統括ドメインリクルーティング室中途採用Gr.マネージャー。慶大在学中よりスタートアップで事業開発、採用、組織開発を経験。入社後はビジネス職の採用にも従事。
よこやま・よしなり◎ULSコンサルティング 代表取締役社長。大手電機メーカー子会社のSEを経て、2005年より同社に参画。ITグランドデザインやPM、デジタルガバナンスなどでも実績を重ね、22年より現職。
はせがわ・しょう◎アサイン 若手支援事業部プリンシパル。薬剤師資格を生かし、医療業界特化のキャリア支援に従事。3年連続で支援実績No.1を達成後、関西支社を立ち上げ、その後アサインに参画。



