宇宙

2026.10.20 10:30

冥王星の大気、「崩壊の危機」に直面 16%の気圧低下を観測

冥王星の「青い空」を捉えた画像。NASA探査機ニューホライズンズに搭載の観測機器Ralphの多波長可視光撮像カメラ(MVIC)で撮影したこの画像では、冥王星を覆う靄(もや)の層が青く見えている(NASA/JHUAPL/SwRI)

冥王星の「青い空」を捉えた画像。NASA探査機ニューホライズンズに搭載の観測機器Ralphの多波長可視光撮像カメラ(MVIC)で撮影したこの画像では、冥王星を覆う靄(もや)の層が青く見えている(NASA/JHUAPL/SwRI)

準惑星の冥王星で、窒素を主成分とする大気の気圧が低下し始めているという研究結果が発表された。冥王星が太陽から遠ざかるのに伴い、最終的に冥王星の大気が薄くなり始める可能性があるという。

米アリゾナ州にある惑星科学研究所(PSI)の研究チームは、2017年~2023年の期間に発生した、冥王星が遠方の恒星の前を通過する星食(掩蔽、えんぺい)現象の観測データを分析した。過去の観測データと組み合わせた結果は、冥王星の気圧が1988年から2015年頃まで上昇し、2021年までほぼ一定で推移した後に下降し始めたことを示していた。

研究チームが開発した大気モデルに冥王星の靄(もや)を組み込んで計算すると、気圧が約16%低下していると推定された。

今回の研究結果は、冥王星の大気が重要な転換点を迎えたことを示しているのかもしれない。だが、この傾向の裏付けを得るには、さらなる観測データが必要だと、研究チームは指摘している。研究結果をまとめた論文は科学誌The Planetary Science Journalに掲載された。

冥王星は遠ざかるにつれ寒くなっている

冥王星は太陽を約248年かけて公転しており、非常に離心率の高い(引き伸ばされた)楕円軌道を描いている。1989年に最も太陽に接近(近日点を通過)した後、現在は太陽系外縁部のより寒冷な領域に向かって移動している。今後は2114年に太陽から最も遠い点(遠日点)に達し、その後は再び徐々に太陽に近づいていく。

太陽系の惑星と冥王星(Pluto)の公転軌道を比較したイラスト。冥王星の軌道は細長い楕円形で大きく傾いた特異な形状をしている(NASA)
太陽系の惑星と冥王星(Pluto)の公転軌道を比較したイラスト。冥王星の軌道は細長い楕円形で大きく傾いた特異な形状をしている(NASA)

冥王星の大気は大部分が窒素で、その他少量のメタンや一酸化炭素などの化合物が含まれている。大気は表面の氷と密接に関連している。太陽光で温められると表面の氷から気体が放出され、温度の低下に伴い大気が凝結して再び表面に降り積もる。

そのため冥王星が太陽から遠ざかるにつれ、冥王星の気圧が低下していくと、科学者は予測している。

星の光で冥王星大気の希薄化を解き明かす

現在のところ、冥王星の近くには探査機が存在しないため、研究者は星食現象を利用して冥王星の大気を観測する。星食は、冥王星が遠方にある恒星の前を横切る際に発生する。星の光がどのようにして暗くなり、そして再び明るくなるかを測定することにより、天文学者は冥王星の極めて希薄な大気を調査できる。

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翻訳=河原稔

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