Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は11月号(9月25日発売)より、「天狗舞 五凛 玻璃」。透明感のあるうまさ、美しいキレ、なめらかなのど越しをもちながら、上質な食と調和する1本だ。
日本酒の国内消費は、長らく減少傾向にある。酒類全体の消費も1999年度をピークに減少傾向にあり、日本酒を取り巻く環境が厳しさを増していることは間違いないようだ。背景にあるのは、人口減少や高齢化をはじめ、若者のアルコール離れ、飲酒習慣の変化……今や、私たちと酒との付き合い方は大きく変わった。となれば日本酒もまた、愛好家に飲んでもらうだけでは需要を広げていくことは難しい。これから問われるのは、どんなときに、何と一緒に日本酒を飲みたいと思ってもらえるか。つまり、「日本酒を飲む場面」をいかに増やしていくかに尽きるだろう。
そこであらためて注目したいのが、「食中酒」という日本酒のあり方だ。世界的に食中酒といえばワインがまず挙げられるが、すしなど日本料理が注目され、また世界的に料理が軽く、薄味傾向になっている現在、日本酒の食中酒としてのポテンシャルは以前にも増して高くなっている。
そんな食中酒としての日本酒を20年前から追求してきたのは、石川県白山市で1823年に創業された車多酒造。山廃仕込みの「天狗舞」を筆頭銘柄に、石川を代表する老舗酒蔵のひとつである。
その車多酒造が2006年、現代の食中酒として誕生させたのが「五凛」。8代目蔵元の車多一成と杜氏の岡田謙治のタッグにより、伝統的な「天狗舞」とは異なるアプローチから、繊細な食を引き立てる凛とした酒質を追求してきた。
それから20年……料理はより軽やかに、そして多様化し、日本酒を取り巻く環境も大きく変化した。そこで「五凛」もまた、次なるステージとして「天狗舞 五凛」へと進化する。目指す酒質は“凛麗”。透明感のあるうまさ、美しいキレ、なめらかなのど越しをもちながら、上質な食と調和する酒である。
「『天狗舞』を彷彿とさせるうまさや骨格をもちながらも、より軽やか。ひと言で表すなら飲み飽きない。料理と合わせることでともに高め合っていくようなお酒です」
この日、「うなぎのかば焼き」とともに「天狗舞 五凛」をすすめてくれたのは「西麻布 野口」(東京・西麻布)の野口正太朗だ。香ばしく焼かれたうなぎをかめばふっくらとした身から脂とうまみが広がる。そこへ酒をひと口……豊かな脂をすっと切りながらも、うまみの余韻を先へとのばしていくよう。口の中をリセットするのではなく、料理のおいしさを残したまま、次のひと口を誘う。これぞ食中酒と膝を打った次第だ。
天狗舞 五凛 玻璃

容量|720ml
度数|16.0%
使用|米石川県産 百万石乃白
価格|11000円(参考小売価格)
問い合わせ|車多酒造 https://www.tengumai.co.jp/



