史上最大のIPOから4カ月が経過した現在も、スペースX株は評価が大きく分かれる銘柄であり、2026年6月につけた史上最高値225ドルを26%下回って取引されている。それでも、8月初旬の安値105ドルからは大幅に回復している。
時価総額2兆2000億ドル(約348兆円)の同社株は割安なのか。従来型のファンダメンタルズで見れば、同社は40〜64%過大評価されている可能性がある。だが、スペースXの資本調達をぜひ支援したい銀行に所属するアナリストを中心に、同社のAI事業に極めて高い価値を見いだす強気派も多い。
同社の第2四半期決算はまちまちの内容だった。Yahoo Financeによると、売上高は市場予想を上回り、ほぼ倍増の78億1000万ドル(約1兆2400億円)となり、スターリンクの加入者数は1200万人に達した。しかし、スターリンクが唯一の黒字部門である一方、スペースXのAI部門は設備投資に158億ドル(約2兆5000億円)を投じている。
スペースX株の次の行方について、ウォール街の見方は割れている。バリュエーションの専門家は44%下落するとみる一方、米金融大手レイモンド・ジェームズは800ドルまで、ほぼ3.8倍に上昇すると予想している。
スペースX株が割高とみられる理由
モーニングスターによると、売上高の79倍で取引されるスペースXは、これまで上場したメガキャップ銘柄の中でも最も割高な部類に入る。同社のアナリスト、ニコラス・オーウェンズは、同社の適正株価を1株62ドルと見積もっており、現在の株価は本来価値の3倍近くにあることを示唆している。オーウェンズは詳細なレポートで、スペースXのAI事業が2024年のAIコンピューティング市場の20%を獲得するという、いわゆる「ムーンショット」シナリオの確率をわずか7%と見ている。
「バリュエーションの第一人者」として知られるニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授は、スペースXの株式価値を約1兆3000億ドル(約206兆円)、現在の時価総額を約44%下回る水準、すなわち1株約100ドルと見積もった。
ダモダランは、目論見書に記載されたAIのアドレサブル市場26兆ドル(約4110兆円)という見通しについて、妥当性を超えていると異議を唱えている。ただし、スペースX株の売買はモメンタム投資家が支配しているため、バリュエーションの面で正しいことが、株価下落を意味するわけではないとも警告した。
強気シナリオ:スペースXはどこまで上がり得るか
TipRanksによると、スペースXの平均目標株価は235ドルで、株価が約40%割安であることを示している。
モルガン・スタンレーのアダム・ジョナスは、同社の売上高が2030年までに3190億ドル(約50兆5000億円)へ増加すると予想し、ベースケースを300ドル、強気ケースを600ドルとしている。同氏はスペースXを「世代を超える複利成長企業となる可能性がある」と評し、目標株価の半分超をスペースXとxAIの合併に、残りを打ち上げサービスとスターリンクの接続サービスに割り当てている。
強気派の根拠は、契約済みのAI収入にある。例えば、Anthropicは2029年5月まで月額12億5000万ドル(約1980億円)を支払うと予想されており、CNBCによると、Googleは2026年10月から月額9億2000万ドル(約1460億円)を支払うことに合意した。
さらにスペースXは、ロイターによれば、ゴールデン・ドームの追跡衛星をめぐり宇宙軍から41億6000万ドル(約6580億円)の契約も獲得しているほか、22億9000万ドル(約3620億円)のネットワーク契約も結んでいる。
ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカは強気の見通しを示しており、これらの金融機関はIPOの引き受けを支援した。



