何十年もの間、株式公開は、米国で最も成功した企業の成長に一般投資家が参加する機会をもたらしてきた。しかし、スタートアップからIPOに至る道筋は変わった。
企業は今や、多額の資金を調達し、企業価値を大きく高めながら、何年も非公開のままでいることができる。一般投資家がようやくアクセスできるようになる頃には、重要な成長期がすでに過ぎている可能性がある。
そこで難しい問いが浮かび上がる。一般投資家を保護するために設計されたルールが、同時に彼らが潜在的な富の創出に参加することを妨げてもいるのではないか。
企業の株式公開は遅くなっている
この変化は単なる逸話ではない。資本形成に関する米証券取引委員会(SEC)の2025年スタッフレポートによると、IPO発行体の年齢の中央値は2024年に14年に達した。2000年は6年だった。
より最近のデータも、この傾向を裏付けている。WilmerHaleの2026年ベンチャーキャピタルレポートによれば、ベンチャー出資企業の初回資金調達からIPOまでの期間の中央値は、2025年には7.1年に増加した。IPO前に調達された金額の中央値は前年から2倍以上に増え、1億6780万ドル(約266億円)となり、IPO前評価額の中央値は177%増の9億900万ドル(約1440億円)に達した。
言い換えれば、今日の企業は、数十年前にIPOを行った企業と比べて、はるかに成熟し、資金力を持ち、価値を高めた状態で公開市場に登場し得るということだ。
それは企業にとっては望ましいことかもしれない。だが、その向こう側で待つ投資家にとっては何を意味するのか。
一般投資家はより早いアクセスを望んでいる
企業が個人投資家から資金を調達するのを支援する投資テクノロジープラットフォームのDealMakerは最近、2000人超の米国成人を対象に調査を委託した。その結果、回答者の67%が、一般の人々も個人投資家としてAIの成長から恩恵を受けられるべきだと考えていることがわかった。
さらに示唆的なのは、OpenAIやAnthropicのような高く評価された企業について、インサイダーがすでに上昇余地の多くを獲得した後で、一般投資家がようやく買えるようになる可能性を63%が懸念している点だ。
DealMakerのCEO兼共同創業者であるレベッカ・カカバは、IPOまでの時間軸の変化が、投資家が参加機会を得られる場所を変えていると考えている。「企業がより長く非公開のままでいる間に、非常に大きな富の創出が起きている」とカカバは筆者に語った。
彼女は「所有の経済」と呼ぶものを提唱している。より多くの人が、企業が公開市場に到達する前に投資する機会を持てる仕組みだ。
早期アクセスにはより大きなリスクが伴う
その主張には明白な問題がある。非公開企業は、極めてリスクの高い投資先になり得るということだ。
早い段階の事業は失敗する可能性がある。非公開投資は売却が難しい場合がある。投資家が非公開企業を評価するために利用できる情報も、上場企業の場合に比べて大幅に少ない可能性がある。
カカバも、このトレードオフを認めている。「より早い段階に進むほど、投資のリスクは高くなる」と彼女は述べた。彼女の主張は、アクセス拡大が無制限のアクセスを意味する必要はないというものだ。少額投資、分散投資、一部の非適格投資家が投資できる金額を制限する規制は、安全策になり得る。
ここに議論の核心がある。
歴史的に、特定の非公開投資へのアクセスを制限することは、投資家保護の一環として正当化されてきた。しかし、企業がはるかに長く非公開のままで、IPO前に大きな価値を蓄積するようになると、こうした制限は別の結果ももたらし得る。すなわち、その数年間に誰が参加の機会を得るかを制限することだ。
ルールは市場に追いつく必要があるかもしれない
これは、誰もが非公開企業への投資を始めるべきだという意味ではない。IPO前に企業へ投資すれば、より高いリターンが保証されるという意味でもない。早期アクセスには早期のリスクが伴い、有望に見える企業の一部は必然的に失敗する。
しかし、市場は変わった。
したがって、この議論を、個人投資家には保護が必要なのか、それともアクセスに値するのか、という二択に矮小化すべきではない。必要なのは、その両方をどう実現するかを考えることだ。
規制は適切な安全策を提供しながら、より多くの投資家に非公開企業の成長に参加する機会を与えられるのか。投資最低額の引き下げや分散投資によって、人々に許容できないリスクを取ることを促すことなく、非公開投資をよりアクセスしやすいものにできるのか。
米国で最も注目される企業の一部が公開市場の外にとどまり続けるなか、これらの問いはますます重要になっている。
結論
非公開市場へのアクセスをめぐる議論は、単に次の大型IPOに早く参加することについてのものではない。企業がはるかに早い段階で株式公開していた時代に構築された投資システムが、企業が非公開のまま並外れた価値を持ち得る市場でもなお機能するのか、という問題である。
投資家保護は重要だ。機会へのアクセスもまた重要である。
IPO前により多くの富が生み出される可能性が高まるなか、その2つの適切なバランスを見いだすことは、今後10年の投資を定義する問いの1つになるかもしれない。



