気候・環境

2026.10.07 20:42

カナダが「世界の炭素」の回収・除去に名乗りを上げる理由

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木曜日、ニューヨーク・クライメート・ウィーク(気候週間)の終盤、そして国連総会のために世界の指導者たちがまだ同市に滞在しているなか、カナダのジュリー・ダブルーシン環境・気候変動相は、パリ協定に基づく二国間クレジット(ITMO:国際的に移転される緩和成果)を取引するための枠組みを検討していると発表した。このタイミングは偶然とは思えない。この1週間、炭素除去市場を構成する投資家や登記機関、企業の買い手たちが一堂に会しており、将来的に炭素除去枠(トン単位)の購入が必要となる多くの政府関係者も、目と鼻の先にある国連本部に集まっていたのだ。「これは、わが国の自然の優位性と国内の気候イノベーションを、投資や良質な雇用、そして新たな輸出機会へと結びつけるための取り組みだ」とダブルーシンは述べた。

何十年もの間、カナダは気候変動を自国内で対処すべき問題と考えてきた。今回の発表は、同国がそれとは異なる役割、すなわち「世界の」排出物をクリーンアップする国としての役割も見出していることを示す、初めての明確な兆候である。

まず、このアクロニム(頭字語)から説明しよう。ここには重要な意味が込められている。パリ協定第6条は、加盟国が気候変動目標の達成に向けて協力することを認めている。ITMO(国際的に移転される緩和成果)とは、ある国で削減または除去された炭素(トン単位)を他国に移転し、移転先の国が自国の削減目標の達成にカウントできる仕組みだ。このシステム全体は、ある一つのルールに基づいている。もし日本がその1トンを自国の成果として主張すれば、カナダはそれを主張できない。1トンにつき主張できるのは1カ国のみであり、その追跡は政府間で行われる。

なぜカナダはその取引の売り手側になりたいのだろうか。それは、炭素除去が地理的な問題だからだ。空気中から二酸化炭素(CO2)を回収し、それを永続的に貯留するには、3つの要素が必要となる。豊富なクリーンエネルギー、炭素を永久に保持できる地下深くの岩盤、および過酷な環境で大規模な産業プロジェクトを構築するノウハウを持つ人材だ。ほとんどの国はそのうちの1つしか持っておらず、2つ持っている国もごくわずかだ。しかし、カナダはその3つすべてを極めて高いレベルで備えている。だからこそ私は2年前、カナダは数兆ドル規模の炭素除去産業の誕生前夜にあると主張したのだ。石油・ガス部門を築き上げた掘削、地下技術、パイプラインのスキルは、ほぼそのまま炭素除去技術へと応用できる。

アルバータ州は世界で最も成熟したCO2貯留制度を有しており、同州のプロジェクトはこれまでに1800万トン以上のCO2を貯留してきた。スイスのダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)のパイオニアであるクライムワークス(Climeworks)は、今年カルガリーにカナダ本社を設立した。カーボンキャプチャー(CarbonCapture Inc.)は、最初の商業プロジェクトをアリゾナからアルバータに移転させた。同社のCEOは、「カナダは当然の選択肢だった」と明快に語っている。ピースリバーでは、スヴァンテ(Svante)とマーサー・インターナショナル(Mercer International)が、パルプ工場で年間約50万トンのバイオジェニック(生物起源)CO2を回収できるバイオマス炭素回収プロジェクトを進めている。大西洋沿岸では、プラネタリー(Planetary)やカーボンラン(CarbonRun)が、海洋や河川を利用して炭素を貯留する分野で世界をリードしている。カナダ・エネルギー規制庁(CER)の集計によると、現在国内には78社の炭素除去企業と、48件の稼働中または計画中のプロジェクトが存在する。

このように供給は整いつつある。問題は需要だった。

これまでに永続的な炭素除去枠を購入したカナダ企業は、ほんの一握りにとどまる。カーボン・レムーバル・カナダの調査では、購入者は約14社、購入量は約15万トンにすぎない。カナダのプロジェクトはボランタリー(自主的)市場を通じていつでもマイクロソフトに販売できたが、同社が新規購入を一時停止したことで、ボランタリー市場は最近縮小している。将来的に最大の買い手となるのは、常にパリ協定の目標達成のために除去枠を必要とする各国政府だ。第6条の枠組みがなければ、他国はカナダで除去された炭素を自国の削減実績にカウントすることはできない。カーボン・ビジネス・カウンシル(Carbon Business Council)によると、カナダの会員企業は、海外の買い手に届く手段を待つ約9億カナダドルにのぼる潜在的なクレジット売上を抱えているという。今週まで、その手段は存在しなかった。

これが「今」起きている理由も重要だ。今年1月、マーク・カーニー首相はダボス会議で、世界は「移行(トランジション)ではなく、決裂(ラプチャー)」のさなかにあると語った。米国はパリ協定や同盟国、そしてかつて自ら資金を提供した炭素除去ハブから手を引いた。そこに空白が生じたのだ。国際的な気候協力が、依然として具体的な成果(削減量、雇用、信頼)を生み出せることを、誰かが証明しなければならない。カナダは自らその役割を買って出ている。

これは、カナダが長年培ってきた役割に合致する。同国は平和維持活動から開発援助に至るまで、国際舞台でその実力以上の財献を果たしてきた国だ。すでに2026年以降に向けて、130億ドル(約2兆600億円)以上の国際気候資金を提供することを約束している。ITMOはそこに新たなツールをもたらす。例えば、人口密度が高く、土地が限られており、大規模な地質学的貯留地を持たないシンガポールのような国を想定してほしい。同国は自国内で残余排出物を除去することができない。カナダは、厳格な会計管理のもと、シンガポールに代わってその除去を行うことができる。炭素除去は、重要鉱物や小麦、カリ塩(炭酸カリ)と同様に、カナダが輸出する新たな資源となるのだ。

ここには、直視すべき本質的な緊張関係が存在する。カナダが輸出する炭素1トンは、自国の目標達成にはカウントできない1トンであり、カナダはすでに自国の目標を達成できていない。このトレードオフは極めて現実的だ。しかし世界は、単一の国の国内市場だけでは賄いきれない規模の炭素除去を必要としている。その処理能力を構築する唯一の方法は、世界全体にそのコストを負担してもらうことだ。海外の買い手が現在資金を提供しているプラントやパイプラインは、将来的にカナダが自国の排出物をクリーンアップするために依存するものと同じインフラになる。

カーニー首相はこの1年の大半を世界中の外遊に費やし、エネルギーや重要鉱物、食料、そしてそれらを支える専門知識といった、カナダが生産するものを売り込んできた。そう捉えれば、今週の発表は単なる専門的な補足事項ではない。周到に計画された次のステップなのだ。カナダは、自国が世界に提供できる最も価値のあるものの一つが、空から炭素を回収する能力であることに気づいた。地球はよりクリーンになり、貿易相手国は自国の約束を果たし、ピースリバーからノバスコシアに至るまでの地域社会には、築き上げる価値のある産業が生まれる。

これはまさに、「三方よし」の勝利である。

(forbes.com 原文)

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