社会課題解決に取り組む事業共創を表彰する「クロストレプレナーアワード」。4回目の今回は、大企業要件を外し多彩な顔ぶれが集まった。選ばれた6つのプロジェクトに迫る。

クロストレプレナー(事業共創家)とは、複数の事業者が手を組むことで、一社では生み出せない社会的インパクトを狙う挑戦者たちだ。元請け・下請けという「タテ」の関係でも、同業他社同士の協業という「ヨコ」の関係でもなく、業界も規模も異なる企業や団体が、アセットを対等にもち寄る「ナナメ(クロス)」の関係性がポイントだ。2023年にスタートした「Xtrepreneur AWARD」は、4回目を迎える。
今回は、パートナー企業からの推薦と公募を通じ、53のプロジェクトが集まった。編集部の1次審査でノミネート22事業(うち16事業はP75で紹介)に絞り込み、審査員による最終選考を経て6つのプロジェクトが決まった。「日本発・グローバル」「インパクト」「意外性」の3点を軸に議論した。
今回の大きな変更点として、エントリー基準から「大企業の参画」を外したことだ。技術やネットワーク、ブランド力といったレガシー(資産)は、大企業だけのものではないという考えからである。受賞6プロジェクトには、多彩な顔ぶれが並び、漁業協同組合と自治体、スタートアップが組んだ「トリガイの種苗生産」事業や、地場企業とディープテック・スタートアップによる「次世代自動車構造の共創」のプロダクトなど、地方や中小企業のレガシーも共創の礎となった。
そしてグランプリに輝いたのは「失敗できる患者」プロジェクトだ。人体の3Dデータ化を進めてきたミライズウェルメディカルグループ/MEDiDENTと、自動車試作品などで培った高度な試作・造形技術をもつ日南が手を組み、「血圧」まで再現した3Dクローンを共同開発した。臨床経験を積む機会が限られてきた若手医師の教育現場を変革させる大きな可能性を秘めている。
まるで必然であったかのように見える、医療とものづくり技術の「新結合」は、実は偶然の出会いから生まれたものだった。グランプリの物語をはじめ、6つの共創プロジェクトの全貌に迫ろう。



