AIを活用したソフトウェア開発には、代償がともなう。たしかにAIツールは、人間のエンジニアより多くのコードを、しかもより速く書ける。
だが、そのコードには誤りが多く含まれがちだ。誤りがない場合でも、コードの量がこれだけ増えれば、システムを本番稼働させたあとに起きる障害への対応も、修正しなければならないセキュリティ上の脆弱性も、どうしても増える。そのしわ寄せは深刻だ。米調査会社ガートナーの予測によると、エージェント型AI(人の指示を受けて、自ら判断しながら作業を進めるAI)のプロジェクトの40%超が、コストの高騰や、ビジネス上の価値がはっきりしないこと、リスク管理の不備を理由に、2027年末までに中止されるという。
約12億円を調達したAutoheal、障害対応や脆弱性対策をAIが肩代わり
AIコーディングがもたらす負担を軽くできると考えているのがAutoheal(オートヒール)だ。サンフランシスコを拠点とするスタートアップで、米国時間9月28日に、790万ドル(約12億円)の新たな資金調達を発表した。同社は自らの技術を「自ら改善を重ねるソフトウェア工場」と呼んでいる。AIエージェントがソフトウェアの開発や運用の工程を分担して担う仕組みを、工場に見立てた呼び名である。
ひと言でいえば、AutohealのAIエージェントは、企業でコードが書かれたあとに必要になる作業の多くを引き受ける。問題が起きたらこれまでより素早く対応し、解決策を示すとうたっている。その解決策を実際に適用するかどうかは、人間のエンジニアが判断する。同社のプラットフォームはさらに、こうしたエージェントの働きぶりを評価し、次からの対応の改善につなげる。
エージェントは1度受けた修正を記憶し、別のエンジニアに同じ質問を繰り返さない
「やり終えた仕事の一つひとつが、会社が次にもっとうまくやるための糧になるべきなのです」と、Autohealの共同創業者かつCEO、シド・チョウドリーは説明する。「エンジニアがエージェントの誤りを1度正したら、その学びが必ずエージェントの記憶に残るようにしています。そうすれば次に別のエンジニアが同じエージェントと作業するとき、同じ質問を1から繰り返されずに済みます」。
AIコーディング支援市場は10倍に拡大へ、出力を信頼しきれない開発者は9割超
AIによるコーディングが例外ではなく当たり前になりつつある今、エージェントの学びを次に生かすこうした仕組みの価値は、ますます高まっていく。調査会社Astute Analytica(アスチュート・アナリティカ)の調査は、AIコーディングアシスタントの市場が、2025年から2035年までに10倍に成長し、400億ドル(約6兆3200億円)超の規模になると予測している。一方、コード品質の検査ツールを手がけるSonar(ソナー)の分析によると、今やコードの42%もが何らかの形でAIの手を借りて書かれているにもかかわらず、開発者の9割超はその出力を全面的には信頼していない。
点検作業を増やしたくない技術者に向け、不具合の原因と見られる箇所を示す
そのためエンジニアは、AIによるコーディングをもっと自分たちで制御したいと考えている。ただし、AIコーディングアシスタントの仕事に目を通して問題を探すことに、増える一方の時間を費やしたいわけではない。チョウドリーはそう主張する。「Autohealを顧客のシステムにつなぎ、私たちが問題を調べます」と彼は説明する。「原因として考えられるものを示すので、エンジニアは取りかかる手がかりを得られますし、対処に使える時間も増えます」。



