直近12カ月の営業利益率は35.7%で、S&P500の構成企業全体の18.6%を大きく上回る。営業利益率は、売上高から事業の運営にかかった費用を差し引いて、どれだけが残るかを示す割合だ。1年前のこの数字は36%だったので、わずかに低下したことになる。一方、アドビの負債は時価総額の7.2%にとどまる。S&P500の構成企業全体では、この割合は20.8%である。
アドビが直面する課題と成長鈍化の要因
契約済みでまだ売上高に計上していない金額である「受注残」(アドビの決算資料では残存履行義務)の伸びが、1桁台に鈍った。時を同じくして、アドビはフリーミアム(基本機能を無料で使わせ、上位の機能で課金する方式)に力を入れ、有料プランへの入り口となる無料ユーザーを広く集めている。2026年度第3四半期末の受注残は、前年同期比8%増だった。
米国時間9月10日の決算説明会で、経営陣は、この伸び率がなぜ1桁台に落ちたのかを問われた。経営陣の説明によれば、この数字は、無料プランを通じて新しいユーザーを取り込むという戦略上の取り組みを映したものだという。アドビは値上げも見送った。値上げをしていれば短期的な下支えにはなったかもしれない、と同社は述べている。こうした戦略の転換に加えて、アドビはトップの交代も控えている。12月1日付で、アニル・チャクラバーシーが新しいCEOに就任する。
経営陣は、2026年度末時点の経常収益の伸びについて、いまより低い目標を掲げている。アドビのサブスクリプション(定額課金)の契約額を年額に直した年間経常収益(ARR)は、第3四半期末に前年同期比11.2%増だった。これに対し、2026年度末の目標は10.2%増で、同社は9月10日の決算発表でもこの目標を変えなかった。第4四半期(9〜11月期)末の伸びが10.2%を下回れば、経営陣が示した通期の道筋に届かないことになる。


