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2026.10.07 09:11

データセンター建設ラッシュがもたらす投資、真の受益者は誰か

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多くのデータセンターが建設済み、あるいは建設中であるにもかかわらず、業界はクラウドコンピューティングと人工知能(AI)に対する世界の旺盛な需要に依然として追いつけていない。Data Center Mapの推計によると、現在、世界には1万2250カ所を超えるデータセンターがあり、その半数弱が米国にある。JLL Inc.の分析によれば、データセンターの容量は今後4年間で全体として増加し、2030年までに103ギガワット(GW)から200GWへ拡大すると見込まれている。この急速な建設拡大は、電力、水供給、周辺環境に及ぼし得る悪影響をめぐり、地域社会の懸念を高めている。

地域社会の反発は開発のペースを鈍らせる可能性がある。課題は、データセンターがもたらす恩恵と、こうした負の影響とのトレードオフをどう均衡させるかにある。地域社会や企業にもたらされる恩恵は幅広く、税基盤の拡大、雇用の増加、経済活動全体の活発化などが含まれる。

データセンターの成長は地域社会に及んでいる

北米だけでも、建設や拡張が計画されているデータセンターは多数あり、JLLのレポートによれば、計画中または開発中の容量は66GWを超える。これは、電力需要に換算するとドイツ全体を上回る規模になる。

米国では、Pew Researchのデータによると、米国人の42%が稼働中のデータセンターから5マイル以内に住んでいるか、計画中のデータセンターの近くに住んでいる。最大の集積地はバージニア州(とりわけ同州北部のラウドン郡)、テキサス州、カリフォルニア州である。

JLLによれば、新規容量の大半にあたる77%は現在、テキサス州西部のほか、オハイオ州、ルイジアナ州、インディアナ州、カロライナ地域で建設されている。これらはいずれも、10年前にはデータセンター容量がほとんどなかった市場である。同時に、この成長に対する地域社会の反対も強まっている。

Rubicon Professional Servicesのプレコンストラクション担当ディレクター、アンネマリー・マルビヒル氏は「地域社会の懸念によって、多数のプロジェクトが遅延、変更、または阻止されており、反対は超党派で強まっている」と述べた。こうした懸念の中心にあるのは、電力需要、水消費、騒音、税制優遇、土地利用、環境への影響、開発業者や運営事業者の意図に関する透明性である。

地域経済にもたらし得るデータセンターの利点

データセンターは、AIとクラウドコンピューティングがもたらす今日の経済ブームの一端を地域社会が享受する助けとなり得る。地域社会にとって、データセンターは地域の税基盤を大幅に拡大し、雇用を創出し、インフラ投資を呼び込む可能性がある。

バージニア州ラウドン郡は、データセンターが地域社会にもたらす有益な影響を示す顕著な例である。郡政府の報告によると、同郡には230カ所を超えるデータセンターがあり、建設済みまたは建設プロセスの各段階にある施設の延べ床面積は約5650万平方フィートに上る。同郡では、専門職種、テクノロジー、専門サービス、警備を含め、データセンター関連の直接・間接雇用が1万7000人超創出されている。

Brookingsがまとめたデータによれば、データセンターは当初、多くの一時的な建設雇用を生み出すことがあるが、ひとたび運用が始まると、常勤の現地従業員の数は大幅に少なくなる場合がある。

こうした恩恵を実現するには、地域社会がデータセンター政策を「より広範な経済開発戦略に組み込み、インセンティブを労働力育成プログラム、インフラへの共同投資、環境性能に紐付ける」必要があると、NTT Global Data CentersのCEO、ダグ・アダムス氏は述べた。

経済効果

GSMA Intelligenceの予測によれば、データセンターは今日そして明日のデジタル経済の基盤であり、2030年までに世界GDPのほぼ3分の1を占めると見込まれている。International Data Center AuthorityのCEO兼会長であるメフディ・パリャビ氏は「データセンターは21世紀のデジタル経済の基盤であり、現代生活の利便性を提供し、企業、医療、教育、航空、小売、さらにはその先を支えている」と述べた。

その恩恵は、データセンタープロジェクトで最初に地面にシャベルが入れられた時点から流れ始める。たとえば北バージニアでは、Joint Legislative Audit and Review Commissionが公表した報告書によると、地域の建設業者がこれらのプロジェクトから恩恵を受けている。

パリャビ氏は「この資金は学校、道路、サービスに向かい、ラウドン郡の経済を米国で最も裕福な地域の一つへと押し上げた」と述べた。「小規模な地域社会にも、かなりの規模で貢献している」。たとえばイリノイ州デカルブのMetaのデータセンターは、最初の4年間で約7200万ドル(約114億円)の追加固定資産税収をもたらしたと、同市のビル・ニクラス市政担当者がWGLTの放送で語っている。

地域税基盤への影響

データセンターが地域の税基盤にもたらし得る影響は、特に事業税、動産税、固定資産税を通じて大きなものになり得る。Joint Legislative Audit and Review Commissionの報告書によれば、歳入額はデータセンターの規模や地域の税率によって異なる。

成熟したデータセンター市場を有する地域では、税収は地方税収全体の1%未満から31%までの幅があったと同報告書は述べている。バージニア州ラウドン郡は報告で、2026会計年度にデータセンターが不動産および動産の税収として12億ドル(約1900億円)を生み、郡全体の予算の39%を占めたとしている。州レベルでは、特にデータセンター運営事業者が購入する設備やシステムに対する売上税を通じた歳入の可能性がある。Tax Foundationの推計によれば、一部の大規模データセンターでは年間10億ドル(約1580億円)超の購入に伴う税収が見込まれ得る。

土地利用への影響

今日のデータセンター建設は、多くの地域社会で土地利用のあり方を変えつつある。World Resource Instituteの推計によれば、現在、一般的なデータセンターは約224エーカー、サッカー場約450面分の広さに相当し、2022年以降で規模は144%拡大している。データセンターの敷地面積の拡大と施設数の増加は、地域社会における存在感の増大を意味し、不動産価値、住宅供給、他用途に利用可能な土地の減少に影響を及ぼす。

National Taxpayers Unionによれば、住宅地や商業地への影響と同様に、住宅価格が上昇し、地域の土地の総供給が縮小する可能性がある。

World Resource Instituteの報告書は、地方政府には、農地を保全する政策に加え、より賢明な土地利用に向けた緩衝地帯の設定や交通管理によって、データセンターが使用する空間とのバランスを取る責任があると促している。

電力および公益事業グリッドへの影響

データセンターは、水と電力の過大な割合を消費し得る。同時に、データセンターの設置は、これまでサービスが十分でなかった地域社会において、こうしたサービスの利用可能性を高める契機にもなる。半導体サプライチェーン業界のアドバイザーであるスティーブ・ウィリアムズ氏は「これらの施設は送電網への投資を支え、税基盤を生み、最良の場合には、単独では資金調達できなかった地域に新たな発電と水インフラを引き込む」と述べた。

一方で、データセンターは他の種類の施設より多くのエネルギーを消費する。Joint Legislative Audit and Review Commissionの報告書は「バージニア州におけるデータセンター産業のブームは、同州のエネルギー需要を大幅に押し上げており、需要は予見可能な将来にわたり増加し続けると予測されている」と警告している。

とはいえ、データセンターは他のタイプの産業施設にはない利点、すなわち一貫性を備えている。アダムス氏は「住宅用や商業用の利用は1日の中で変動し、予測不能に急増することがあるのに対し、データセンターの負荷は非常に予測しやすく、契約された一定容量に近い水準で稼働する」と述べた。「施設は需要に応じて急増させるのではなく、安定した稼働率で運用されるよう設計されている。その予測可能性は、実は送電網にとって資産である。だからこそデータセンター運営事業者は、住宅需要では不可能な形でディマンドレスポンスプログラムに参加し、送電網のストレスがピークに達する時間帯に、一時的にバックアップ電源へ切り替えたり、重要でない負荷を減らしたりできる」

データ主権

特定の地域にデータセンターを設置することで、企業はデータ主権に関する法律を満たせる可能性がある。これは、特定の地域、国、または地方で収集または保存されたデータが、その統治主体の法律や規制の対象となり、国境内で保存する必要が生じる可能性が高いというものだ。これは特に、国境をまたぐデジタルサービスで該当する。

データガバナンスに加え、物理的な所在地はデータセンターに関する意思決定で大きな比重を占める可能性がある。Equinixによる概説によると、海外顧客を持つ米国企業は、各国のデータ主権およびローカライゼーション法に従わなければならない。企業は、別々の法域内にデータのローカルコピーを物理的に保持することを求められる場合がある。これは国によって異なる。パリャビ氏は「コミュニティ、国家、州をどう定義するかにもよるが、その境界内に適切な計算能力がなければ、主権を持つことはできない」と述べた。

地域社会への影響は常にプラスとは限らない

データセンターは大量の電力と水を消費する。Brookingsによれば、PJMの送電網地域では電力供給コストが1年で22億ドル(約3480億円)から147億ドル(約2兆3200億円)に増加し、データセンターが大きく寄与した。

データセンターの恩恵を享受することは、発生し得る課題とのトレードオフを意味する。エネルギー省の元ホワイトハウス・フェローで、Dappleの創業者兼CEOであるトリシア・マルティネス氏は「米国で過剰建設しているのではない。非効率に建設しているのだ」と述べた。「環境面で大きいのは水だ。水がほぼ存在しないアリゾナ州やネバダ州のデータセンターは、100%再生可能電力の北欧では生じない問題を生み出す」。水冷システムはデータセンターのエネルギー使用量の削減に役立つが、地域の水供給を圧迫する可能性がある。

GreensparcのCEO兼創業者であるサム・エノカ氏は、適切に設計された施設であれば「住民と公共料金の支払者は、新たなコストを負担することなくデジタルアクセスを得られる」と付け加えた。「データセンターの規模拡大が資源容量や需要を上回る場合、地域社会は損失を被るリスクがある」

では、新たなデータセンターから実際に恩恵を受けるのは誰か

新たなデータセンターの受益者は幅広く、地方政府、地元企業、そして新たな雇用機会を活用できる市民自身が含まれる。もちろん、これらのセンターを建設し所有する開発業者やテック企業も事業の拡大を享受する。

マルビヒル氏は、一般市民も一定の恩恵を受け得ると述べる。「データセンターは、AIやクラウドコンピューティングをますます伴う日常的なデジタル活動のためのインフラを提供している。たとえばメール、オンライン調査、買い物とコミュニケーション、ソーシャルメディア、文書、画像、動画の閲覧と作成、ファイル保存などである」

同時に、地域社会にその成長のコストを負担させるべきではない。CleanSparkの最高事業責任者であるハリー・スードック氏は「最も重要な問いの一つは、これらの施設を支えるために必要な電力とインフラの費用を誰が支払うのかという点だ」と述べた。「開発業者は、電力を供給するために必要な変電所建設や送電線の改修の費用を負担する必要がある。住民が、それに見合う経済的便益を見ないままインフラを補助するよう求められるのであれば、開発業者は正当な反発を想定すべきだ」

地域社会はデータセンター案件の価値をどう評価すべきか

データセンターを前進させるには、意思決定プロセスに多くの関係者が関与する。スードック氏は「こうしたプロジェクトには、開発業者、公益事業者、地方政府、計画・許認可当局、地域社会など、多くのグループ間の調整が必要だ」と述べた。「だからこそ、信頼と関係性は、基礎となる経済性と同じくらい重要になる」

市議会、郡委員会、ゾーニング委員会、州の公益事業規制機関を含む地方政府は、データセンターの立地や規模に関する最終承認に大きな権限を持つ。こうした委員会や機関は、声の大きい地域団体の影響を受ける。

e intelligenceのCEO兼創業者であるジテシュ・ケスワニ氏は「地域社会が組織化し、テープカット式の前に選出公職者に案件の内容を示すよう求めるだけで、地域社会はデータセンタープロジェクトを退けることができる」と述べた。

たとえば、バージニア州プリンスウィリアム郡のプロジェクトは、住民の反対により中止されたと、スードック氏は説明した。

データセンター提案を経済効果と雇用の観点から評価する際、地域住民が問うべき質問は以下の通りである。

  • インフラ費用はいくらで、誰が負担するのか。
  • どのような雇用が創出され、賃金はいくらになるのか。データセンター運営事業者は地元で採用し、地元の請負業者を利用するのか。
  • どの程度の税収が見込まれているのか。データセンターの開発業者または運営事業者に、どのような減税や税の減免が提供されるのか。
  • 開発業者または運営事業者は、コミュニティ便益協定への署名に同意するのか。
  • 約束された税収や雇用数は、納税者または料金支払者が負担する道路、水道、送電網の改修費用と比較してどう評価されるのか。
  • 建設段階、そして稼働段階で、どの程度の交通量と渋滞が発生するのか。

総じて、データセンターは地域社会にとって有益な資産となり得る。雇用機会と税収を生み出すからだ。また、デジタルサービスやAIアプリケーションを含む重要なデジタルサービスを、より広い地域に提供する。同時に、データセンターは電力と水資源を過大に消費する可能性がある。適切な地域社会の監視と意見反映があれば、これらの施設は環境への影響を最小限に抑え、資源を保全する形で責任ある開発が可能である。

(forbes.com 原文)

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