確かに、iPhone 12は5Gに対応して登場した。確かに、フラットエッジのインダストリアルデザインをアップルのコミュニティにもたらした。しかし、それだけではなかった。MagSafeというブランド名は再利用されたものかもしれないが、iPhone向けのMagSafeは、それ以上に強力なものだった。それは、磁石による吸着機構とワイヤレス充電システムを一体化させたものだった。
これは、スマートフォン時代を形作った瞬間を振り返る連載「30 Days of iPhone」の26日目の記事である。
強力な進化を遂げてiPhoneに復活したMagSafe
アップルはワイヤレス充電の競争に出遅れていた。ワイヤレス充電器の「AirPower(エアパワー)」は発表されたものの、発売されることはなかった。その代わりにアップルは、最も幅広いアクセサリーとの互換性を確保できるワイヤレス充電規格「Qi(チー)」を採用した。しかし、ワイヤレス充電を行うには、電力を送受信する一対の電磁誘導コイルの位置を合わせる必要があった。
この課題に対するエレガントな解決策として、アップルはQi充電システムとiPhoneの背面に配置したリング状の磁石を一体化させた。この磁石により、充電コイルの位置が自動的に調整され、最も効率的な充電接続が可能になる。かつては、端末を少し動かしたり回転させたりして画面が点灯するか確認する作業だったものが、磁石がカチッと吸着するだけで、Qi2のより高出力な15Wでの充電が開始されるようになった。
アップルは充電コイルにNFC(近距離無線通信)も組み込んだ。これにより、対応するアクセサリーが近づくとNFCで認識され、シームレスな相互認証(ハンドシェイク)とバックグラウンド接続が可能になった。これは単なる充電システムではなく、アップルが「アクセサリー向けのモジュラープラットフォーム」と説明したものである。
iPhoneのMagSafeをAndroidに開放
かつてのLightning(ライトニング)ケーブルと同様、MagSafeシステムの独自仕様の部分については、メーカーがアクセサリーを製造するためにアップルからライセンスを取得する必要があった。しかし、アップルは自社の磁力による位置合わせシステムをWireless Power Consortium(WPC)に提供し、Qi2規格に組み込ませた。この動きにより、アクセサリー市場はiPhoneだけでなく、あらゆる対応スマートフォンへと開かれることになった。
これは瞬く間に標準となり、現在では数え切れないほどのスマートフォンで採用されている。モバイルバッテリーや卓上ホルダーから、クレジットカードウォレット、カメラリグに至るまで、アップルはiPhoneの課題を解決し、それを世界に開放したのである。
本記事は「30 Days of iPhone」の26日目である。昨日は、iPhone Xのナイトモードで導入されたコンピュテーショナル・フォトグラフィを取り上げた。



