iPhone7売上不振で「アップル帝国崩壊」の不吉なシナリオ

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アップルが次に世に放つ「iPhone 7」が失敗の烙印を押されるとしたら、それはどのような時だろうか。iPhone 7の実績がiPhone 6Sシリーズを下回ることがあれば、メディアは「アップルの凋落の始まり」だとか「iOSプラットフォームの終焉」などと書き立てるだろう。

あるアナリストはiPhoneの販売台数の減少を予測している。モルガン・スタンレーのケイティ・ハバーティは、来年度のiPhoneの販売台数を2億1800万台と予測する。これは、2015年度の2億3122万台と比べて6%少ない数字だ。飽和状態にある欧米のスマートフォン市場でiPhoneがこれまでのペースで成長し続けることは困難であり、またAndroidを中心に中価格帯の端末が増えて競争の激化も予想される。

iPhoneの売上が永遠に増え続けることはなく、いつかは前年比がマイナスになる日が訪れる。たとえ100万台でも販売台数が減少すれば、否定的な報道が流れて株価は下落し「アップルの時代は終わった」という見方が噴出するだろう。

次世代iPhoneに対する需要が低下している兆候は出始めている。Mark HibbenがiPhoneを生産するFoxconnの業績を分析したところ、iPhone 6Sシリーズの売上は昨年のiPhone 6の実績を上回るペースで推移している。Hibbenは大まかな数字だと断りつつ、2015年10-12月の実績を7800から8100万台と予測する。一方でKGIのMing-Chi Kuoの予測レンジは7000万台から7500万台とHibbenよりも少ない。前年同期の実績は7450万台で、両者の予測の中間となっている。

アップルには難題が待ち構えている。iPhone 6SとiPhone 6は大画面を求めるユーザーに支持され、iPhone 5シリーズユーザーらの買い替え需要をつかんだ。しかし、iPhone 7はそうした武器を持たない中で、iPhone 6のユーザーの多くをアップグレードさせなければならない。

アップルはiPhone 7へのアップグレード促進策として、iPhone 6Sを対象に「iPhoneアップグレードプログラム」を提供している。入会したユーザーは、1年後に新モデルにアップグレードできるため、iPhone 7ユーザーの増加に寄与するだろう。さらにアップルはiTunesストアでiPhone 5Sのユーザー向けに全面ポップアップ広告を表示し、新モデルへの切り替えを促している。この広告は一部で批判も浴びているが、これと同様の試みをiPhone 7向けに行えば、アップグレード率を高め、今年以上の販売実績を達成できるかもしれない。

しかし、その効果は未知数だ。万が一、Phone 7が輝かしい実績を残すことができなかった場合は、瞬く間に失敗の烙印が押されることになる。そうなったとき、アップルがどのように対処するかは見物だ。アップルは先日、iPhone 6/6s用の純正バッテリー内蔵ケースを発売したが、その外見は電池部分が奇妙なこぶのように盛り上がっており「アップルのセンスの消失を感じる」というブーイングも起きた。しかし、バッテリーケースは単なるアクセサリーだが、iPhone 7が不振だった場合の衝撃は相当なものになるだろう。

ティム・クックが来年のiPhone 7を成功だと自己評価したとしても、世間が「失敗」の烙印を押せば、そこからアップルの凋落がはじまるのかもしねない。

編集=上田裕資

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