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2026.10.07 08:12

Eコマースの次なる主戦場は「顧客との会話」を誰が握るか

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何十年もの間、買い物客はオンラインで興味のある商品を見つける方法として、検索ボックスに2、3個のキーワードを入力し、グリッド状に並んだ商品をスキャンし、フィルターを調整して商品をチェックするか、別の検索語を試すという方法を学んできた。

生成AIは、その行動を変えつつある。消費者は、問題を説明し、質問を投げかければ、Eコマースプラットフォームが自分の求める商品や構成を正確に提示してくれると期待するようになっている。オンライン小売業者にとって、検索はデータベースの照合というより、デジタルの販売員に近い存在になりつつある。

Eコマースの店舗や小売業者が注目すべき理由がここにある。検索クエリは、顧客が自分の言葉で店舗に「本当に欲しいもの」を伝える、いわゆる購買意図(インテント)を示す数少ない瞬間の1つだからだ。歴史的にその情報の多くは有効活用されてこなかったが、AIを活用することで、こうしたクエリを推奨商品(レコメンデーション)、在庫、カスタマーサービス、広告へと結びつけることができる。

買い物の場がChatGPT、GoogleのAI Mode、Gemini、その他のAIインターフェースへと移行するにつれ、利害はさらに大きくなる。より重要なのは、こうしたAIツールがEコマース店舗との直接的なやり取りや可視性を介さずに、それを実行できる点だ。

この変化はすでにトラフィックに現れている。アドビの報告によると、2025年のホリデーシーズン中、生成AIサービスによって米国の小売サイトへのトラフィックが前年比でほぼ700%増加した。また、Shopify(ショッピファイ)によると、2026年第1四半期における同社加盟店へのAI主導のトラフィックは前年同期比で8倍に成長し、AI搭載検索による注文数は約13倍に増加したという。

そこでさらに厄介な問題が生じる。それは「買い物客を囲い込んでいるのは誰か」という点だ。消費者が最初にChatGPTやGeminiなどのAIアシスタントを使い始めるようになれば、小売業者は顧客との最初の接点をコントロールできなくなる可能性がある。店舗は、他社のインターフェースの背後にあるデータソースにすぎなくなるかもしれない。

検索が「会話」に変わるとき、顧客との関係を所有するのは誰なのか。小売業者はなお商品発見を管理できるのか。AIプラットフォームが新たな店舗の入口になるのか。それともコマースは複数のレイヤーに分かれ、AIエージェントが会話を支配し、小売業者は自社カタログをそれらのエージェントに理解可能にすることで競争するようになるのか。

キーワードから意図(インテント)へ

リトアニア・カウナスを拠点とするAI検索・商品発見企業LupaSearch(ルパサーチ)の共同創業者で成長責任者を務めるパウリウス・ナギス(Paulius Nagys)氏は、その答えはチャットボットのように華やかなものではなく、その下にある商品データから始まると考えている。

私たちは何十年ものウェブ体験を通じて、欲しいものを手に入れるために機械と対話する方法を学んできた。

ランニングシューズが欲しいときは「メンズ ランニングシューズ」と入力する。ドリルが必要なら「コードレスドリル」と検索する。購入したいものを絞り込んでたどり着くために、私たちは文脈を取り除き、有用な結果が得られそうな数個の言葉へとアイデアを凝縮することを学んできた。

ナギス氏は、そのアプローチが今や崩壊しつつあると考えている。

「人々はキーワードを入力することから、質問全体を投げかけて答えを期待することへと移行しています」と、彼は個別インタビューで語った。「自分で分類しなければならない結果ページを求めているのではありません。そのため、検索ボックスは単にインデックスを引くだけではなく、今や実際に答えを返さなければならないのです」

Googleはすでに人々の行動を変化させつつある。同社によると、同社のAI Modeの回答ボックスは2026年に月間ユーザー数10億人を突破し、そのクエリ数はサービス開始以来、毎四半期で2倍以上に増加している。Googleが再設計した検索体験により、ユーザーは複雑な要望を詳細に説明したり、追加の質問を重ねたりするための、より広い余地を得ている。

セールスフォースも買い物行動の変化を確認している。同社の2025年コネクテッド・ショッパー調査では、消費者の39%が商品発見にAIを利用したことがあり、Z世代の回答者ではその割合が半数を超えた。

セールスフォースの業界インサイト担当ディレクター、カイラ・シュワルツ(Caila Schwartz)氏は、この課題を次のように表現した。「最も成果を上げるコンテンツは、買い物客が何を検索しているかだけでなく、何を解決しようとしているかを先回りして理解している」

買い物客が求めているものに結びつけるという点において、この違いは極めて重要である。これまでは、小売業者は買い物客が自分のニーズを満たす商品を理解していることに依存していた。例えば、買い物客が「コードレスドリル」と入力してくれれば、小売業者は容易に対応できた。しかし、質問が「コンクリートの壁に棚を取り付けるには何が必要か?」だったらどうだろうか。

顧客はドリル、コンクリート用ビット、アンカー、ねじを必要としているかもしれないが、そのいずれにも言及していない。適切な答えを見つけるには、クエリ内の言葉と商品ページの言葉を一致させるだけでは不十分である。システムは、なすべき作業を推測しなければならない。

それは注文処理というより、コンサルティング型の販売に近づき始めている。

検索ボックスは販売員のようになり始めている

ナギス氏は、Eコマース検索、商品発見、カスタマーサービスが相互に溶け合い始めると見ている。

買い物客は、商品について尋ねた後、近くの店舗に在庫があるか、別のモデルでも代用できるか、そして返品の手続きはどうなっているか、といった質問を重ねるかもしれない。現在、こうした要求があると、ユーザーは検索、商品ページ、レビュー、FAQ、カスタマーサポートの間を行き来しなければならない。これまでは、問題を解決しようとする過程で、大量のタブを開き、何度も検索を繰り返し、コピー&ペーストを行う必要があった。

ナギス氏は、この行動が変わると予想している。インタビューで彼は、個別の検索ではなく質問と回答を中心に構築される将来のEコマース体験について説明した。

Googleも関連する方向へ進んでいる。1月に開催された全米小売業協会(NRF)のカンファレンスで、CEOのサンダー・ピチャイ氏は、AIが商品発見、購入、顧客体験を通じて浸透していくと述べた。Googleは、詳細な質問に答え、パーソナライズされたレコメンデーションを行えるショッピングエージェントについて、小売業者と共同で開発を進めている。

Amazonはすでに実環境で実験を進めている。同社によると、AIショッピングアシスタント「Rufus(ルーファス)」は2025年に3億人超の顧客に利用され、約120億ドル(約1兆9000億円)の新たな年間売上増加に貢献したという。Rufusは商品に関する質問に答え、Amazonの「Buy For Me(代理購入)」機能は、他のオンラインストアから特定の商品を購入することができる。

すべての検索にLLMが必要なわけではない

AIが方程式の一部であり、会話体験を所有することが極めて重要になり得る一方で、問題は誰かが推論コストを負担しなければならない点だ。小売規模で会話型AIを稼働させるには、すぐに高額になり得る。

小規模事業者なら、処理する検索数は管理可能な範囲に収まるかもしれない。だがグローバル小売業者は、数十万から数百万のSKU(最小管理単位)を含むカタログに対して、何百万件ものクエリを処理し得る。ナギス氏は、そうしたリクエストのすべてを大規模言語モデル(LLM)に直接送ることは、経済的にほとんど意味をなさないと主張する。

ナギス氏は「すべてのAIの課題にLLMのソリューションが必要なわけではない」と述べる。

彼の会社が提供するLupaSearchのソリューションは、より選択的なアプローチを採用しているという。従来のデータ検索技術は、効率的に解決できるクエリを処理する。より負荷の高いモデルの呼び出しは、風変わりな自然言語による要求や、有用な結果が得られない検索など、従来の手法では対応が困難なケースに限定して使用される。その後、それらのやり取りから得られたデータを検索システムにフィードバックし、改善に役立てることができる。

この観点から見ると、現代の商品検索の背後に1つのAIが存在するわけではない。小売業者は、同義語を理解するためにセマンティックベクトルを使い、次に何を求める可能性があるかを予測するためにレコメンデーションモデルを使い、商品説明から欠落している属性を抽出するために画像認識を使い、より安価な手法が失敗したときにLLMを使うかもしれない。

顧客が質問を持ち、小売業者がそれに答えたいと考えているのであれば、あえて「AI検索」と呼ぶ必要はまったくない。その技術名自体が、加盟店が本当に答えを必要としている疑問(それは機能するのか、高速なのか、クエリあたりのコストはいくらか、など)を覆い隠してしまうからだ。

ナギス氏は、AIを取り巻く業界の曖昧な言葉遣いに辟易している。インタビューの中で、彼は現在の熱狂をドットコム時代になぞらえた。当時は、ビジネスに最新テクノロジーを結びつけることが、そのテクノロジーが実際に何を行うかを説明することよりも重要視されることがあった。

Algolia(アルゴリア)もまた、ハイブリッドアーキテクチャに行き着いた。同社のコマース技術は、キーワード検索とセマンティック検索を、加盟店データに基づいた会話型システムと組み合わせている。同社の製品「Agent Studio」は、AIエージェントの機能とともにコスト管理機能を備えており、どんなに素晴らしいデモであっても、最終的には運用予算の壁に直面することを思い出させてくれる。

結局のところ、すべてはデータだ

どのような技術的アプローチをとるにせよ、これらすべては高品質なデータを有していることが大前提となる。データが不十分であったり、接続性が悪かったりすれば、どれほど強固なカタログであっても、会話型アシスタントがその内容を理解することはできなくなる。

例えば、AIショッピングアシスタントに「200ドル(約3万円)未満の防水仕様の通勤用ジャケット」を求めたとする。これは一見シンプルに思えるが、この要求の裏には厄介なデータ問題が存在する。

小売業者は防水性能を確実に記録しているのか。「撥水性(耐水性)」は別物として扱われているのか。サイズは正規化されているのか。システムはどの色が在庫に残っているかを把握しているのか。冬用のシェルジャケットと軽防寒のレインジャケットを区別できるのか。そして、別のAIシステムがそれらの情報にアクセスできるのか。

「あなたのカタログは、このための準備が整っていますか?」と、ナギス氏は対話の中で問いかけた。彼は、構造化された商品データこそが、より高度なAI機能を構築するための基盤であると説明する。

Shopifyはこの課題に極めて大きな規模で取り組んでいる。同社の「Catalog API」は、数百万の加盟店からの商品情報を、ソフトウェアがクエリ可能な構造化データへと変換する。Googleと共同開発したShopifyの「Universal Commerce Protocol(ユニバーサル・コマース・プロトコル)」は、エージェントが発見や取引を通じて加盟店と対話するための標準化された手法を提供する。2026年、Shopifyはこのエージェント型コマースインフラの多くを開発者に開放し、公開されたModel Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル、MCP)のエンドポイント経由でのアクセスも可能にした。

Algoliaは9月に独自のMCPサーバーをリリースした。これは、ChatGPT、Claude、Geminiなどのシステムを、在庫、価格、マーチャンダイジングルールを含むリアルタイムの商品情報と接続するように設計されている。

企業が検索での露出を高めるために、たとえ在庫がなくてもSKUを利用している場合、在庫の問題も重要になってくる。これはSEOが支配する世界では通用するかもしれないが、エージェントが確固たる購入意思を持つ買い手を、今すぐ購入可能な商品に結びつけようとする際には、はるかに厄介な障害となる。

例えば、特定のメモリ容量を搭載したコンピュータが欲しいのに、常に在庫切れと表示される状況を想像してほしい。現在であれば、Amazonで検索し、次にMicro Centerで検索し、さらにNeweggで検索するといった具合に、複数のタブを開いてほぼ同じクエリを繰り返すことになるだろう。

しかし異なるモデルを使えば、AIアシスタントが私の代わりに提携しているカタログに問い合わせてくれるようになる。私は欲しいマシンの特徴を一度説明するだけで、どの業者が実際にそれを在庫として持っており、いくらで、どのような配送条件で提供しているかをエージェントに調べさせることができる。そのような世界では、小売業者の検索における視認性はそれほど重要ではなくなる。その下にあるデータの品質とアクセスのしやすさのほうが、はるかに重要になるのだ。

ここに、小売業者が主導権を失う可能性のあるポイントがある。

顧客は、GoogleのAI Modeとの会話やChatGPTのチャットなどのAIアシスタントに対して、「金曜日までに届く、200ドル(約3万円)未満の防水仕様の通勤用ジャケットを探して」と指示するだけで済むようになる。

アシスタントは、どのブランドを表示するか、どの小売業者に問い合わせるか、そしてどの商品が最終選考に残り、顧客の予算内で即座に入手可能な最良の選択肢として提示されるかを決定する。顧客は、10個ものウェブサイトを訪れたり、在庫切れの選択肢をクリックし続けたりする必要がなくなるのだ。

この変化をさらに複雑にしているのが広告だ。小売業者は、検索の背後にある意図が極めて価値の高いものであると認識している。広告主は、AIや検索を手がける企業に費用を支払い、取引を自社に誘導してもらうことで、この価値を活用したいと考えている。

大手のAIプラットフォームはすでにその方向へと動いている。Googleは、Geminiを利用して買い物客の質問に合わせた説明とともにスポンサー商品を提示する「AI Mode」での広告テストを行っている。OpenAIはさらに一歩進め、ChatGPT内で広告を開始し、クリック課金(CPC)型のセルフサービス式広告プラットフォームを構築している。

ここで疑問が生じる。顧客は回答の中に何を見るべきなのだろうか。最もマッチした商品なのか、それともスポンサー商品なのか。AIは、従来のキーワード広告がかつて持ち得なかったほど多くの文脈をもとに、その判断を下すことができる。AIアシスタントが検索エンジン、販売員、そして広告チャネルの役割を兼ね備えるようになるとき、買い物客の質問に答えることと、その買い物客の意図から収益を得ることの境界線が極めて重要になる。

ナギス氏は、これによって小売業者のウェブサイトが完全に消滅するとは考えていない。彼は有益な前例としてGoogleショッピングを挙げている。アグリゲーター(集約サイト)は強力になったが、それでも加盟店は取引の一部であり続けた。

彼の見立てでは、小売業者はリクエストがどこから発信されたものであっても、買い物客に対応できるインフラを用意する必要がある。

「私たちは、誰かが語りかけるエージェントそのものになろうとしているわけではありません」と、LupaSearchについてナギス氏は語った。「私たちは、どんなエージェントが現れても、小売業者のカタログを実際に読み取れるようにするレイヤーなのです」

それはLupaSearch自体の検索インターフェースかもしれない。Googleかもしれない。あるいは、顧客のChatGPTのセッションやAI Modeでの対話かもしれない。入口は予測しにくくなるが、いずれにせよ、Eコマース店舗や小売業者はこの新たな現実に備える必要がある。

(forbes.com 原文)

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